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2014/11/28 02:33

投稿元:ブクログ

ウィリアム・キャクストンは、いかにして困難を乗り越えサー・トマス・マロリー『アーサー王の死』の出版にこぎつけたか。15世紀末のイングランドを舞台に、写本工房の少年ベンディが奮闘するミステリ仕立ての歴史物。

作家自身による挿絵が豊富で、内容も明らかに児童書なのだが、訳書の体裁はそうはなっていない。お値段もかなり張る…(3200円)。

15世紀当時のロンドンとその近郊の生活風景や、キャクストンの印刷所の精細な描写など、非常に興味深い。ベンディが宝物にしていたアーサー王物語の巻物の来歴を辿るうちにマロリーに心酔するようになり、ウォーリックの聖母教会で彼の心的世界に触れる場面が印象的。

題材はユニークでとても楽しく読めるのだが、筆力という点で少々物足りなさを感じてしまう。ベンディ以下登場人物の魅力もいまひとつ。他の優れた英国児童文学作品、例えばジョーン・エイキンのダイドー・トワイト・シリーズなど、多少のアラがあろうとも力業で読者を作品世界に引きずり込んでいく。そういう吸引力に欠けるように思えた。

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