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2017/03/04 19:20

投稿元:ブクログ

 『花岡事件と中国人 大隊長耿諄の蜂起』(三一書房、1997年)をもとに、その後の展開を踏まえた加筆修正に、耿諄の息子や支援にかかわったメンバーの論文3本とを加えて再編集したもの。日本敗戦直前に秋田花岡で起こった強制連行された中国人たちの武装蜂起・逃亡事件のリーダーだった耿諄の生涯と、鹿島建設を相手取った戦後補償闘争での苦闘について記す。
 
 わたしの中では、西の筑豊に林えいだい氏がいるなら、東の秋田には野添憲治氏がいる、という位置づけの書き手。本書でも、抑制的な筆致でありながら、じつに丹念に、耿諄の見たこと聞いたこと感じたことを文字に定着させようという姿勢が一貫している。だからこそ、最期まで耿諄に信頼される日本人の一人ともなったのだろう。
 第二部の論文で張宏波は、花岡事件の〈和解〉に反対した研究者が、「罪を認めず金だけ払えばよいと考えること」は、「アジア女性基金と何の区別があるでしょうか?」と批判の声をあげていたと記している。あくまで当事者の声を聞こうと寄り添う人々と、〈和解〉を急ぐあまりに、譲ってはいけない線まで妥協し、それを指摘されると論理的な応答ではなく、〈逆ギレ〉してしまう人々—。たしかにここでも、どこかで見た光景が繰り返されているようにも見える。これが、アジアに対する「日本型〈和解〉」のパターンなのか。ここに分断を持ち込むことで、いったい誰が利得を得ているのだろうか?

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