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hontoレビュー

石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち

石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち みんなのレビュー

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みんなのレビュー9件

みんなの評価3.7

評価内訳

  • 星 5 (0件)
  • 星 4 (2件)
  • 星 3 (5件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
9 件中 1 件~ 9 件を表示

2015/04/27 09:42

投稿元:ブクログ

旧石器捏造事件関連本なのだが、そもそも相沢忠洋の軌跡を追う中で芹沢長介を知り、芹沢を知るには晩年に起きた捏造事件を調べないわけにはいかなくなった、という経緯で書かれた本。
そのため、藤森氏の事件が怒るまでに醸成されていた考古学内の対立、在野アマチュア活動家の扱われ方などを理解することができた。
事件を中心に据えて入るものの、アプローチの仕方によって流れが捉えやすいので良かった。
その後の藤森氏とのやりとりが載っている点でも貴重である。

2015/03/08 09:37

投稿元:ブクログ

分野の違いはあれ、一連のSTAP細胞とこの旧石器捏造はよく似ていると思う。素人、もしくは限りなく素人に近い研究者による捏造を、専門家が見抜けずに世に出てしまう。それをマスコミが異常なほど持ち上げ、捏造した人間は一躍時の人となる。やがて、捏造が発覚するも、検証は十分にされずにうやむやのうちに幕引きになる。マスコミも持ち上げた後ろめたさがあるから、それ以上は突っ込まない。

2015/06/14 15:36

投稿元:ブクログ

 前期旧石器時代の遺跡を捏造した「神の手」藤村新一につらなる日本考古学会の裏面?史。猜疑と嫉妬と権力欲。ドロドロの人間関係。科学に対して全く謙虚ではなく、従って人間関係が「成果」を決めていく。科学的ではないから、事実に基づく論争も、方法論に対する論争もない。そこに、「神の手」が付け入る隙があったのだろう。

 考古学会だけの話ではないような気がする。日本のアカデミズムの多分今でも多くがこんなものだ・・と思う。STAP細胞の大騒ぎも突き詰めればそんなことではないか。だから付け入られる。

2016/11/26 14:26

投稿元:ブクログ

 相澤忠洋氏の岩宿遺跡の発見については、多分教科書で知ったと思う。彼の著書の装丁は、ぼんやり覚えている。歴史に対する興味は持っていても、石器時代の発掘にまつわることまでは、手を広げて読んでいませんでした。でも、藤原新一氏の捏造事件では、一気に嫌悪感を覚え、考古学の文献や書物は、一切読むことはなくなりました。あれから、十五年もたったのです。この本によって、事件の概要や、考古学の変遷をたどることができ、幾分かは嫌悪感も静まったと思います。

2014/10/21 17:33

投稿元:ブクログ

学歴や学閥の意地の張り合い、功名心や権力への欲、こういうものは学問とはなんの関係もないばかりか、ときに学問を著しく歪め崩壊させる。
とまあ通りいっぺんの感想ではなく、著者が的確に記しているようにここに社会と個人の心の闇をみることは誤りでも大げさでもないだろう。
フロイトが自身の研究を考古学になぞらえたことを想う。

2015/06/16 15:27

投稿元:ブクログ

 副題に「考古学に憑かれた男たち」とあるように、日本旧石器時代研究の嚆矢となった岩宿遺跡の「発見者」相沢忠洋と、相沢の庇護者にして、後に捏造事件を起こす藤村新一を重用して旧石器研究をリードした芹沢長介を中心に、いわば「日本旧石器考古学の青春」を形成した考古学者たちの、まさに「憑かれた」というほかない野心と狂気をパーソナル・ヒストリーによって生々しく描いたノンフィクション。

 芹沢の論敵であった杉原荘介の再評価を行った点や、失脚後の藤村への本格的インタビューに初めて成功した点で注目されるが、人間関係や学閥の醜悪な縄張り争いに問題を還元している傾向があり、旧石器捏造事件に至る学術上の必然性についての考察は薄く、竹岡俊樹『考古学崩壊』(勉誠出版、2014年)や岡村道雄『旧石器遺跡捏造事件』(山川出版社、2010年)などとの併読が望ましい。修士論文を「分割」して投稿したことを「狡猾」と評するなど学問に対する無知が散見されるのも気になる。

2015/05/29 10:14

投稿元:ブクログ

旧石器をめぐる話なんだけど、これを読んで日本文化の起源や、現代のわれわれにも通じる歴史の連続性といったものを感じられる読者は少ないだろう。前半は相澤の学問との幸福な出会いが描かれ希望に満ちた始まりだが、後半は考古学が学問なのか、学者同士の意地の張り合いなのかわからなくなってくる。旧石器時代の人骨が日本で見つかりにくいのは、酸性土壌をもつ関東ローム層のせいで、百年もすれば骨を溶かしてしまう。掘り出して出土するものも、「前期旧石器」なのか「自然礫」なのか、つまりは石器かただの石ころか判別しがたいときている。

講演などで小林秀雄が口をきわめて考古学を批判していた理由がよくわかる。戦後の考古学が日本書紀や古事記を否定し、「皇国史観」から脱却するところから始まったのもそうだし、重鎮にマルクス主義者が多かったのもそうだが、なにより「考古学のための考古学」に終始していて、とても学問とはみなしにくい。発掘の多くは正式な論文も作られず、学会発表もされないのは、その最たるものだろう。

不思議に面白く感じられたのは、相澤と芹沢両氏の生き方で、相澤は父親によって被った家族離散というつらい境遇を忘れるために考古学に没頭するのだが、ついには自分も父親がたどった生き方をなぞるように繰り返してしまう。芹沢の地元の研究者を次々と登用というのも、実は恩師への意趣返しで、学歴で差別することなく広く受け入れるが、同時に彼らを搾取し自身の業績に変えていたのだ。

2015/03/30 22:03

投稿元:ブクログ

プロであれアマチュアであれ研究者というのは、そのプライドゆえ妬みと誹謗中傷をいとわない性格が形成される。その結果事実が見えなくなってくる。

2016/02/03 12:20

投稿元:ブクログ

事件に関わった人に焦点をあてたドキュメンタリー。考古学というより明治の学内政治のえげつなさが白い巨塔ならぬ石の巨塔。

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