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hontoレビュー

贈与論 他二篇(岩波文庫)

贈与論 他二篇 みんなのレビュー

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みんなのレビュー4件

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

全体的給付の体系

2015/08/10 07:12

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:わんこー - この投稿者のレビュー一覧を見る

女性を交換することによって競合関係にある氏族と友好する。
近親婚からの脱出と家族関係の拡大についても触れられている。
今回の改定で追加された2篇の小論が巻頭に配置されていて、
贈与論を読むうえでの理解に大きく役立っている。

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2014/10/29 15:53

投稿元:ブクログ

個人が個人の利益の追求に走る社会に警鐘を鳴らし、全体に対する意識(全体給付)を向け、円満な社会(アーサー王の円卓[p]のような)を目指そうという論。社会主義的か?成功した富裕層が、被災者に多額の寄付やNPOなどを組織をしたり、匿名で学校などに何かを寄付したりするようなことについての考察。

一方的にお返しもせずに、贈り物をもらうことはどういうことなのか、部族などのトップたるものがなぜ贈り物などを与えなければ威信を保てないのか[※ポトラッチ]というのはおよそ信仰(迷信)と結びついている[p100、p231など]。類似した例が世界各地にみられる。例示内容は興味深い。

個人と個人が契約を履行するとしても、それは個人ではなく集団と集団(の連盟関係(アリアンス))である。集団はクランや部族や家族のこと。過去はいまほど「個人」が際立つことはなかったらしい[p446]。従って、あるまとまった集団のなかで権力を持つには、ポトラッチは欠かせなかったのであり、それが下位集団との信頼関係、自分の身分の明示。

誰かから何かを一方的に貰う(贈与される)、ということは従属である。ただし、例えば、返済能力のない被災者が寄付を受け取るのは、しっかりとした生活を取り戻すということなどによって返済できるといえるだろう。





ポトラッチ(競覇型の全体的給付)[p74]

贈与[p212]


ネクスム(法的な縛り)[p304、307など]

2016/02/05 11:13

投稿元:ブクログ

『贈与論 他二篇』(岩波文庫 2014)

原題:
 Une forme ancienne de contrat chez les Thraces, 1921
 Gift, Gift, 1924
 Essai sur le don: forme et raison de l'échange dans les sociétés archaïques, 1923-24
著者:Marcel Mauss(1872-1950)
訳者:森山工(1965-)〔もりやま たくみ〕

【メモ】
・「そのた」の二つの論文は、日本語訳が初めてだそうな。
・目次を手打ちした後に、ウィキには『贈与論』の大まかな目次が載せられているいることに気づきました。
<https://ja.wikipedia.org/wiki/贈与論>


【簡易目次】
凡例 [003-005]
目次 [007-009]

トラキア人における古代的な契約形態 011
  I  013
  II  017


ギフト、ギフト 035


贈与論――アルカイックな社会における交換の形態と理由 051
序論 贈与について、とりわけ、贈り物に対してお返しをする義務について 053
 エピグラフ/プログラム/方法/給付。贈与とポトラッチ 

第一章 贈り物を交換すること、および、贈り物に対してお返しをする義務(ポリネシア) 079
 一 全体的給付、女の財‐対‐男の財(サモア) 079
 二 与えられた物の霊(マオリ) 089
 三 その他の主題。与える義務、受け取る義務 100
 四 備考――人への贈り物と神々への贈り物 108

第二章 この体系の広がり。気前の良さ、名誉、貨幣 131
 一 寛大さに関する諸規則。アンダマン諸島 131
 二 贈り物の交換の原理と理由と強度(メラネシア) 136
 三 アメリカ北西部 196

第三章 こうした諸原理の古代法および古代経済における残存 301
 一 人の法と物の法(非常に古拙なローマ法) 303
 二 古典ヒンドゥー法 338
 三 ゲルマン法(担保と贈り物) 372

第四章 結論 393
 一 倫理に関する結論 393
 二 経済社会学ならびに政治経済学上の結論 413
 三 一般社会学ならびに倫理上の結論 436

訳注 [455-466]
訳者解説――マルセル・モースという「場所」 [467-489]

2016/10/22 10:17

投稿元:ブクログ

(01)
最終章では、政治、社会、経済、倫理の各側面から現代における贈与のあり方を示唆しており、著者が過去や他の民族を生きられている世界としてとらえている点は重く受け止める。
贈与は、決して一方的な(*02)ものでもないし、贈与が非対称である場合は、社会全体としてバランス(*03)が図られるように機能することをも示している。物々交換や自然経済といった概念が一般的に流布している未開の単純さといった認識を批判し、贈与や交換が単なる経済の範疇にとどまらない拡散や集中を現象することを捉えている。

(02)
売買がバイバイとして、売ることと買うことが等価というよりも同義であること、担保や保証や分割や賃貸などの現行の制度にも残る物のやりとりをめぐる諸々の契約も贈与が示すある点で統合されることなどは目から鱗の視点かと思う。
語源をあたり語幹を見出すことで贈与の諸関連を暴くという方法論も、まだまだ適用できる範囲が広いように感じた。

(03)
賭けとその賭場、シャーマニックな呪術、名前と言葉、性と結婚といったテーマも贈与をキーとすることで、そこにある問題に新たな視野を開いており、非常に冴えた論考として読める。富の集積や蓄積(*04)といった権力集中にも、権力の停止や廃棄すら予感させるポトラッチというバランサーを与えることで、贈与システム(*05)の有効を説いている。

(04)
考古学的な対象となる、何らかの理由で図るも図らざるも埋設されたモノについてもこの贈与論によることで理解が進む。意図的に壊され埋められたモノ、保存と伝授のために埋められ伝えられたモノ、それらの聖性が拠るところを本書からはうかがい知れよう。

(05)
レヴィ・ブリュルの未開社会の心性との関連、柳田國男が説いた「おつり」との関連も、この贈与論から改めて考えてみたいものである。

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