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2013年1月の再放送である。テキストも内容は全く同じだと思うが、前回のものは処分してしまったので再購入した。
読み始めて驚いたのはほとんど覚えていなかったことだ。あまり身を入れて読んだり視聴したりしていなかったのだろう。改めて熟読した。併せて池口惠觀の「般若心経・読経教則CD ~誰でも般若心経が唱えられる~」を購入、実際の読経を聴いた。途中惠觀のメッセージが入るが、これには些かガッカリした。教則CD だけあってお経の唱え方は解説するが、『般若心経』の内容に深く言及した言葉は聞かれなかった。
またアマゾンで五種類のお経が収められたアルバム曹洞宗大本山永平寺維那指導による信徒勤行の『般若心経』のみを購入。これは読経のみの音である。実は全部収録されているのかと思い購入したら『般若心経』だけであった。
今回改めて『般若心経』に触れて思いを新たにした。これまでいかに『般若心経』の表面だけを見ていたのか。つまり上辺だけで真髄に触れていなかった。『般若心経』は大乗仏教の経典であり、ある意味で釈迦の仏教を否定することから始まっていると知った。
釈迦の仏教では厳格な修行により悟りを開いた人が救済される。しかしそれでは修行できない環境にある人は救われないことになる。これに対し大乗仏教では、出家しなくても救われる道を開いた。これを示したのが「般若経」であり、中でもそれを簡潔明瞭に語るのが『般若心経』なのだという。
あまりに有名な「色即是空」のフレーズは『般若心経』の代名詞とも言われ「この世は空だ」と宣言する最強の四文字熟語だという。「空」の思想が『般若心経』の核をなしているという。
若い頃書道をかじっていたが、たまに先生について近隣の寺院に出向き写経をしたことがあった。写経後住職に合わせて生まれて初めて読経したが、全くついていけなかった。ところが一緒に行ったおばさんたちは平気できちんと読経していた。この光景に私はショックを受けた。人気の『般若心経』とは言え、こんなに勉強しているおばさんたちもいるのだと知った。中には暗唱しているおばさんたちも多数いたのだ。
その後は教室に戻ってからも、時々『般若心経』の写経は行われた。でもその頃は『般若心経』の内容や意味までも追求する事はなかった。
しかし今回、今更ながら本書を読み、放送の講義を聴いて、改めて『般若心経』の理解が深まった気がする。というよりも、やっと『般若心経』の端緒を開いたのかなと思うのだ。