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黒い瞳のブロンド(ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス)

黒い瞳のブロンド みんなのレビュー

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みんなのレビュー7件

みんなの評価3.8

評価内訳

  • 星 5 (0件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (4件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
7 件中 1 件~ 7 件を表示

2015/01/07 16:47

投稿元:ブクログ

 熱心なチャンドリアンではないまでも、フィリップ・マーロー・シリーズの後日談と言われて食指が動かないわけもない。この世の文学の中で最も信奉するハードボイルドの根っこの一つみたいな存在であるチャンドラーを、現代に蘇らせようという人がいるならば、せっせとその火事場に駆けつけたいという野次馬根性もしっかり持ち合わせている限り。

 チャンドラーはハードボイルドと言われるが、ハメットやヘミングウェイに比べるとやはり饒舌と言われる。もっともハメットのサム・スペードやコンチネンタル・オプに比べ、マーローは明らかに饒舌である。作者が託した饒舌の妙、と言ってもいい。米国に移住したとは言えチャンドラーはパルプフィクションの作家にとどまらず、ハードボイルドと言われる地平においても騎士道精神を貫かざるを得ない英国文学の血流のもとに生きていた。娯楽小説でありながら英米文学の正当なる直系として脈々と受け継がれるための条件を備えていた。文学性、気品、あるいはそれ以上の人間的なる何か、等々。

 しかし、そうしたチャンドラーという、およそ手法とキャラクターが確立してしまった作風のシリーズを、改めて再現させようというのは、よほどのやる気と強い自負、誇り、その他(あればあるほど心強い)がなければ、できない試みであったろう。作者のベンジャミン・ブラックはジョン・バンヴィルの本作におけるペンネームであるとのことである。書きかけ原稿の続きを完成させてみせたロバート・P・パーカー(『プードル・スプリングス物語』)に続くチャンドラー再生の試みに挑んだ名誉あるペンネームであると言っていいだろう。

 また本作は、『長いお別れ』の後日談である。『長いお別れ』は、『ロング・グッドバイ』として後に村上春樹が翻訳したり、NHKでテレビドラマ化されたり、もちろん映画ファンの中では70年代を敢えて舞台にし、ラストは原作と異なる結末としてあまりに印象的であったロバート・アルトマン監督の映画などで、様々なジャンルの人たちにチャンドラーの何たるかは知らなくても、これだけは、というくらいよく知られているであろう、シリーズ中、おそらく最も人気の高い作品である。

 そしてテリー・レノックスという非常に重要な登場人物。マーローの戦争時代の仲間であり、個性豊かで、探偵の人生にとても影響を与えている男の存在が、原書と今甦った続編を繋ぐキーワードみたいなものなのだが、もちろん他にもお馴染みの顔ぶれが、顔または名前を出してゆく。

 何よりもチャンドラーが書いたように書かれている本書のフィリップ・マーローは、映画のエリオット・グールドよりは、ロバート・ミッチャムやハンフリー・ボガートを想起させる純正チャンドラーワールドの住人として安心させられる。グールドのマーローが、アメリカン・ニューシネマの旗手が描いたマーローとしてたまらなく衝撃的で魅力的な探偵だったことはさておいて。

 そしてひねられたストーリーと逆転の見事さ。黒い瞳をしたブロンドといういかにも怪しげな雰囲気を立ち上らせた依頼人に加え、死んだと思われる男がピンピンしているのを見かけたとい���出だし。何よりもマーローがまた熱い恋に胸を焼かれる気配、等々、まさに『長いお別れ』と重なる、チャンドラーですらこれほどのサービスはしないだろうと思われるようなお膳立てがたっぷりで、現代作家が過去の歴史的金字塔作品の続編に挑むというチャレンジ精神と、フェアに行きたいという騎士道精神を同時に発揮してくれた仕事っぷりがじっくり味わえる逸品となっている。

 ハードボイルド・ファンには垂涎物の話題作であろうが、そうでない方にももしかしてこれがチャンドラー作品に触れるきっかけとなってくれるなら、大変有難いような出版であるように思う。なんであれば、このままシリーズに挑めばどうだろうかね、ベンジャミン・ブラックさん。

2015/01/17 08:23

投稿元:ブクログ

レイモンド・チャンドラーの遺族公認の『ロング・グッドバイ』の続編らしい。著者はジョン・バンヴィル(別名義ベンジャミン・ブラックという名前を使っている)

『ロング・グッドバイ』ファン向けのパスティーシュという感じでした。テリー・レノックスを始めとした登場人物もたくさん再登場するし、物語もそれなりに楽しめた。

クレア・キャヴェンディッシュという黒い瞳のブロンド美女がフィリップ・マーロウを訪ねる。ニコ・ピーターソンという男性を探して欲しいと依頼するも、その男性はすでに死亡していた。しかし、クレアは死んだはずのピーターソンを目撃したという。

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memo:

1023
私は、ビールを注いだグラスをわきに2センチほどずらし、こぼれた泡がつくった輪の上に再び戻した。二時間ほど前に同じ動作をしたクレア・キャヴェンディッシュのことを思い出した。ある女が頭にこべりつくと、どんなことでも彼女を思い出すきっかけになる。

1802
「アイオワ州ホープ・スプリングズで生まれたの。もちろん行ったことなどないでしょうね。行ったことがある人なんていないわ。ホープ・スプリングズは行くところじゃなくて去るところだから」

2386
彼女は立ち上がり、スカートに足を通し、わきのジッパーをとめた、女が服を着るのを眺めるのが好きだ。もちろん、服を脱ぐのを見るのと同じほど楽しいというのではない。どちらかと言えば審美的な目の保養ということだ。

3834
私はグラスの中身を飲み干し、バーニーの飲み残しも飲んでやろうかと思ったが、我々マーロウ族がけっして越えない一線というやつがある。

2014/11/09 16:10

投稿元:ブクログ

チャンドラーの創作ノートに未発表作品の題名としてリストアップされていた“The Black-Eyed Blonde”(稲葉明雄訳は「殴られたブロンド」)をちゃっかり拝借して書かれた、あの『ロング・グッドバイ』の「公認続篇」だそうだ。作家は疾うに亡くなっているのに誰が公認したんだろう、と疑問に思って調べてみたら「遺族」公認とのこと。ブッカー賞受賞作家で、ミステリでも実績のある作家だからだろうか。草葉の陰でチャンドラーが苦虫をかみつぶしたような顔をしているのが見えるようだ。

ある暑い日、マーロウのオフィスを訪ねてきたとびっきりの美女はブロンドにはめずらしい黒い瞳の持ち主だった。失踪したかつての愛人を捜してほしいという依頼だ。さっそく捜査を開始すると、マーロウの足を向ける先々に死体が転がりだす。マーロウ本人も危険な目に遭うが、からくも脱出し、事件の真相にたどり着く。そこには意外な人物の姿があった。

矢車草の瞳の次は黒い瞳か、と皮肉の一つも言いたいくらいに、チャンドラーのこれまでの作品を下敷きにして書かれた、流行りの言葉で言えばパスティーシュ。平たく言えば模倣作で、そう考えれば出来はさほど悪くはない。仕事の依頼人は、一代で資産を築き上げたやり手の資産家の娘で、これ見よがしの豪邸に住み、広い邸の中には問題を抱えた兄弟姉妹がいる。凄腕のギャングや、政界に顔のきく実業家が次々と登場しては、マーロウを質問攻めにし、挙句が薬を盛っての拷問で、いつまでたっても真相に近づかないのもお約束である。

登場人物の顔ぶれだが、『ロング・グッドバイ』の続篇と銘打っているだけに、バーニー・オールズは勿論のこと、警官のグリーン、<ヴィクターズ>のバーテン、それに、なんとあのローリング医師まで登場するに至っては、笑ってしまった。会話のなかにはリンダ・ローリングもハーラン・ポッターも出てくるという大盤振舞い。そうなると、テリー・レノックスを登場させない手はない。なにしろ公認続篇なのだ。

アイルランド系の作家がアイリッシュの血を引くチャンドラーのパスティーシュを書くのだから、独立戦争が残した傷に触れようが、マーロウをアイリッシュ酒場に立ち寄らせようがそれはかまわない。問題は、作品自体が贔屓の引き倒しになってしまっていることだ。一人称で語るマーロウの口が、いつになく滑りやすくなっているのはまだ我慢ができる。もともと、おしゃべりが過ぎるのだ。ただ、話が始まって間もないうちに、依頼人であるクレアとベッドに、というのはちょっといただけない。

それだけではない。どちらかと言えば女嫌いなのではと思わせるほど、いつもは女にクールな態度をとる男が、寝ても覚めてもクレアのことが頭から離れないというのでは、これは我々がよく知っている、あのフィリップ・マーロウではない。マーロウがマーロウらしくないように、バーニーもバーニーらしくない。かつては同じ部署で働いていた同僚であるが、今は私立探偵と警察官という微妙な関係にある二人のいわくつきの「友情」は、ここで書かれるような、映画『リーサル・ウェポン』めいたバディムービーを思わせる類の軽妙なものではない。

いわんや、あのテリーとの思い出の場所である<ヴィクターズ>にバーニーを誘い、ギムレットで乾杯するなんてことは、マーロウなら絶対にするはずがない。まだある。麻薬の過剰摂取で危険な状態にあるクレアの弟をスキャンダルから守るためにとはいえ、あのローリング医師に電話をして呼ぶだなんて。正編で徹底的に侮蔑されているあの男が、ここではいっぱしの旧友のように登場するのを見て、果たしてチャンドラーは喜ぶだろうか。ポッター老をマスコミ界を支配する巨悪のように描くのも遺憾だ。著者は、本当に『ロング・グッドバイ』を読んだのだろうか。

言いたいことはまだあるが、一応「探偵小説」なので、これ以上正編との差異をあげつらうのはやめておくのが無難だろう。つい最近、テレビでも日本版『ロング・グッドバイ』をやっていた。それほど人気がある作品なのだ。それだけに続篇を名のるなら、正編に対するリスペクトを失ってはならないと思う。たしかに、謎を秘めた魅惑的な美女やそれなりに魅力を備えた悪役の造形はできている。マーロウを登場させるに相応しい舞台設定も巧みである。それならそれで、堂々と新作を書けばいい。チャンドラー自身、若い頃のマーロウと歳を感じ出したマーロウとを書き分けている。いっそ、若い頃の話にでもしてしまえば、すぐに女と寝ても若さゆえの愚かしさと見過ごすこともできる。なまじ、『ロング・グッドバイ』の後日談のような設定にするから差異が目立つのだ。

あえて、『長いお別れ』ではなく、『ロング・グッドバイ』と書いてきたのには理由がある。それは、訳者小鷹信光氏が訳に際し、村上版の『ロング・グッドバイ』を意識して訳されたと言われているからだ。そういえば“cheapy”の訳語として「はんちく」という、あまり馴染みのない言葉を引っ張り出してきたのは村上氏だったが、小鷹氏がそれを踏襲しているのが愉快だった。

ハムレット役者は孤独なものだ、という意味のことを言ったのはピーター・オトゥールだったと記憶するが、ハムレットと同じように、誰にも自分なりのマーロウ像がある。あえて、マーロウを主人公に据えるならそれだけの覚悟をもってやるがいい、と言いたいところだが、チャンドラーのファンでなくても読むかもしれない。もし、この手の小説が気に入ったら、是非チャンドラーの書いた『ロング・グッドバイ』を読んでほしい。そこには、まぎれもない正真正銘のフィリップ・マーロウがいるはずだから。

2015/05/24 23:30

投稿元:ブクログ

「長いお別れ」よりテンポがいいし、なにより描写が上手い。オリジナル作品より私は気に入りました。不満をあげるとすればクライマックスの終わり方かなぁ。

2014/11/22 20:53

投稿元:ブクログ

結構愉しんで読んだ一方、やはり訳文にいまいち感を覚えた。村上ファンでは決してないけれども、やはり作家と翻訳家の間にある文体のリズムに関しての絶対的な差を感じたかな。
まぁそれもこれも原文そのものに起因するものかもしれない。
当方この作家につきお恥ずかしながら全く存じ上げていないですが、チャンドラー、特に『ロング・グッドバイ』にあった絶妙のオチというか間合いが欠落していると思ったかな。その結果、愉しんだとは言いつつ、何となく冗長さも感じたんですよ。
結局、本家と作家には勝てんというありきたりの結論なんでしょうかね。

2014/11/30 15:56

投稿元:ブクログ

今年「ロング・グッドバイ」を読んだということもあって読んでみました。が。

他の方のレビューでも言われているように、女の事で頭がいっぱいすぎる。タイトルがその女性の事ずばりだから、そういうものだと言えばそうなのかもしれないけれど、ほぼ最初から最後まで事件よりも彼女のことばかり。しかもマーロウにしてはちょっとくよくよ女々しい。

「ロング・グッドバイ」の続編ということで手に取っておいてなんだけど、続編じゃ無い方が良かった気がする。故人の作品を引き継ぐというのは本当に、難しいことだ。

2014/12/17 19:41

投稿元:ブクログ

かつてジョー・ゴアズが『マルタの鷹』の前日譚『スペード&アーチャー探偵事務所』を書いたのを思い出した。あれも面白かったが、こちらも負けず劣らずの傑作。アイルランド人作家がここまでアメリカらしい作品を書けるとは。ラストで懐かしのあの人物と再会。何ともほろ苦い。読み逃していた『バーチウッド』、なるべく早く読もうっと。

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