ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密 みんなのレビュー
- ポール・アダム (著), 青木 悦子 (訳)
- 税込価格:1,188円(10pt)
- 出版社:東京創元社
- 発売日:2014/11/12
- 発送可能日:1~3日
文庫
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
聴きたくなります
2017/12/21 17:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:xyz - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初はヴァイオリンの名前と人の名前、土地の名前がどんどん出て来て、登場人物を覚えるのが大変ですが、どの人物も個性豊かでどんどん引き込まれていきます。
まるで自分がヴァイオリンを手にしているかのような気持ちになります。
作者は音楽の専門家でないのにこれだけの知識がある事なの脱帽です。
けっして読み易い本ではありませんが、ずっしりと読み応えのある一冊です。
読み終わった後にヴァイオリンを聴きたくなりました。
紙の本
今回はパガニーニですよ!
2015/08/24 17:55
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ef - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴァイオリン職人のジャンニを探偵役とするシリーズ第2作目の作品です。
ご存知のとおり、パガニーニは18世紀から19世紀にかけて活躍した、超絶技巧で名高いイタリアのヴァイオリニストですが、今回のお話は、彼が愛用したとされるグァルネリ・”デル・ジェス”、別名「大砲」の異名を取る銘機のヴァイオリンが、ジャンニのもとに修理のために届けられたことから始まります。
このヴァイオリンは、いつもはジェノヴァ市の市庁舎に保管されているのですが、パガニーニ国際ヴァイオリンコンクールの優勝者には、副賞の一部として貸し与えられ、演奏することが許されているというものでした。
今回、コンクールに優勝したのは、まだ若いエフゲニーという演奏家だったのですが、このヴァイオリンを使って練習していたところ、誤ってぶつけてしまったらしく、以来、異音がするので、その夜のコンサートまでに大至急修理して欲しいとの依頼でした。
ジャンニがうまく修理をしてあげたことから、エフゲニーとも親しくなり、彼を招いて友人同士で弦楽四重奏を楽しむなどの機会も得ることができました。
ところで、エフゲニーにはいつも母親がべったりと張り付いているんですね。
すべては母親の言いなりになっていました。
エフゲニーだってもう子供ではないというのに、母親の決めたことが絶対という生活を強いられていたのです。
そうこうしているうちに第1の殺人事件が発生します。
それと前後して、エフゲニーも行方不明になってしまうのです。
今回のお話は、殺人事件の捜査とエフゲニーの捜索が絡み合う展開となります。
このシリーズは、普通のミステリのように殺人事件などの謎解きを楽しむというよりは(それももちろんありますが)、むしろ歴史的な謎(今回はパガニーニにまつわる謎です。ロッシーニも登場しますよ)を解き明かしていくところに独特の面白さがあるんですね。
パガニーニが贈られたというモーセが描かれた黄金の箱と、その中に入っていたと思われる小さなヴァイオリンの行方がその謎になりますし、また、パガニーニが作曲したと思われる幻の曲の行方も絡んできます。
大変上質なミステリではないでしょうか。
紙の本
豊かで贅沢な音楽ミステリー
2015/08/09 22:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴァイオリン職人のジャンニは60代半ば。ミラノ郊外のクレモナという小さな田舎町に一人住んで、ヴァイオリンの製作と修復を生業にしている。ストラディヴァリにまつわる事件と、その歴史上の謎に迫った前作に続く第二作目。
ある日、電話で修復の依頼が入り、当日に持ち込まれることになった一本のヴァイオリンは、かのパガニーニが愛用したグアルネリの名器、その名も「イル・カノーネ(大砲)」。推定価格二千万ユーロ(?)とかいう世紀の名器だ。
ジャンニの住む片田舎の一軒家に、これが演奏家とその取り巻きと護衛に警察がついて、物々しい6台車列の護送艦隊(?)とともに登場。しかしこのグァルネリの名器を携えた、ロシアの若き天才ヴァイオリニストエフゲニーは、実生活では母の影におびえる実に気の弱い青年だ。その青年の気持ちをほぐし、温かな交友を持つジャンニ。
その後、殺人事件が起こる。同時に天才ヴァイオリニストのエフゲニーは謎の失踪。背景にはパガニーニとその愛人の秘められた物語が絡むらしい。愛人はナポレオンの妹で女公でもあった。彼女が恋人に愛を込めて贈った宝物と、お返しにパガニーニが送ったと思しき未発見の小曲の行方。そこに殺人事件が絡み合いながらストーリーが展開していく。はたしてエフゲニーは犯罪とどうかかわっているのか・・・?
まずは冒頭の名器登場で思わず大笑いして、すっかり話に掴まれてしまった。行間から様々な音楽が、豊かに流れてくるような感覚も相変わらず。
ジャンニは前作で経済学者のマルゲリータと穏やかな関係を育み始めるのだが、この二人の静かな会話もよい。
全体に静かで穏やかな語り口なのだが、ストーリーテリングはよどみなく、一気に読み耽らせてくれる。多少飛躍したように思える筋もあるのだが、この際そんなもんどうでもいいなと思えるくらい、登場人物や背景が魅力的な話だ。
ちなみに新作の状況を調べてみたら、まだ続編は出ていない由。次を首を長くして待とうと思う。
最新作では本シリーズと打って変わって、1910年代のニューオーリンズとその頃のジャズを背景にしたミステリーもあるとかで、こっちも楽しみな一作。
どっちでもいいから早く出ないかな♪