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2015/10/24 21:11

投稿元:ブクログ

 著者が1980~2000年にわたって発表した論文。幅広いテーマについて、その変遷(≒歴史)を考察している。地域を欧州のみに限定しているが、少なくとも19世紀までは欧州がその中心と考えるならば、その変遷をたどるのには妥当な選択だと思う。また、価値観のダイナミックな転換がなされた地域という点でも欧州が選択されるのは当然かも知れない。
 書かれたタイミングもテーマもバラバラな論文をまとめているが、それらの並べ方は非常に上手い。「神話」・「宇宙」・「自然」そして「個人」という流れでマクロからミクロへと視点を移した後、「奴隷」・「身体変工」・「医術」という何らかの形で個人を縛るものへと視点を移す。その後は「倉庫」・「口伝」・「科学」・「美術」というモノと情報の蓄積に関すること、そして「法」・「王権」という社会構造を土台に蓄積したモノ、情報が「教養」・「知の繋がり」としてどのような変遷を辿ったか、そして最後に「グローバリゼーション」について触れることで総括としている。広範な話題を論じることのできる知識量もさることながら、編纂の上手さもすばらしい。

2015/03/20 23:51

投稿元:ブクログ

私たちと同じような意味で地球が生命だというのは、ことによると勘違いであるかもしれない。しかしながら、宇宙も生命だと説明したことによって人類は、自分たちと同じ重さを持ち、自分たちとお互いに共鳴し合い、声をかけ合うことができる地球や、そのような自然、そのような環境というものを思い描いてきたのである。そのことの意図、事柄の意味は、私たちにとってはいまだに重要な意味を持ち続けていると思う。(p.57)

ここでの(ルネサンス)古代の不活とは、べつの言い方をすれば、地中海古典文明の「ヨーロッパ」による簒奪であった。ギリシアは「ヨーロッパの古代」という名目をおびて、復活されたのである。(p.124)

しかしながら、あらたな世紀にあっても、われわれ人類は暦という時間精度がもつ得意な性格に敏感に反応することがある。現代日本にあってすら、季節行事が太陰暦をもとに施行され、仏滅や大安などの吉凶が生活を支配していることは否定しがたい。世紀の末、始まりという数字合わせが、一種の精神的緊張をうながすことも、また事実である。暦の呪縛といっては過言であろうが、しかし、暦によって歴史が作られてゆくという側面は、いまなお否認できないように思われる。はたして、二一世紀の人間は、すっかり暦の呪縛から解放され、たんなる時間計測の係数法として、冷徹な取りあつかいを達成するのであろうか。(p.166)

12、3世紀となって、事情はおおきく変化する。都市における職人と商人の活動が、時間のありかたをかえた。ものの生産と流通の有用性をめざして、時間は計画的に「測定」さるべきものとなった。いかなる時間によって生産された商品か、どれだけの運搬と在庫の時間によって市場に提供された商品か。それが、商品の価格と酬いられるべき利潤とを決定する。ときあたかも、古典ギリシア時代の時間コンセプトが紹介され、時間は始点と終点とを設定した時系列においてではなく、均質的で、量として測定しうる連続態として理解されうるようになった。時間は質ではなく、量であるとの了解が優位をしめるにいたったのである。「商人の時間」が「教会の時間」を凌駕する。(p.168)

倉庫での貯蔵にあたっては、慎重な防御措置が講じられる必要がある。ほとんど人類史の全体にわたって、この技術上の配慮が続行されてきた。火災や自然災害にたいする防護。あるいは、東南や略奪に対抗するための防犯機構。それに、害虫や鼠害を回避するための措置。そして、腐敗や品質劣化を防止するための環境保持。それらは、倉庫の機能を左右するもっとも重要な要件である。容易には達成されない、技術上の課題にたいして、洋の東西を問わず、巧妙な方法が発案され、通用されてきた。一見すると、はなはだ凡庸にみえる技術であるが、じつは人類の英知を結集した体系であるといっても過言ではない。(p.294)

知は、閉塞した庫のうちでは、あやしげな香気をはなってはいるが、いったん開庫された場合には、その魔力とはことなった使用価値を誇示することになろう。このことを、ベーコンが「知は力なり」という標語に集約したことは、よく知られた事実である。知は所有者や使用者にたいして、批評力や判断力、あるいは端的に社会的な発言力���保障するとの意味である。(p.419)

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