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ほむら(文春文庫)

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2016/09/26 18:18

投稿元:ブクログ

洗練された大人の文学。
時代小説で、人間の業やら燃え盛るような心情を淡々と描いた8話からなる短編集。
初期の作品らしいけど、これを20代で書けるなんて昔の作家は今よりも随分成熟してたんだ・・・と思う。

子供の頃、大人の小説を読んでも意味が分からなかった。
単純に言葉の意味が分からない、というのもあったけど、大人の感情の流れというものが理解できなかったから。
それが歳をとると分からなかったものが分かるようになった。
そして、今はもう分からない、というものが少なくなってきた。
それなのに、この短編集では1作目から登場人物の心情が分からず、「あれ?」となり、あせってしまった。
ただ、分からないというのは何かを考えさせてくれる。
その意味でも個人的に読んでいて有意義な気持ちになれる本だった。

「ほむら」
主人公の少女の仕える媼の家には僧の住む庵がある。
少女は媼から僧が庵に住むようになったいきさつを聞く。
彼は若い頃、女犯の罪を犯し、落ちる所まで落ちてここに流れついたのだと言う。
そして、庵に住みついてから20年経った現在。
媼は少女にある事をほのめかす。

 これを読み終えた時、「分からない!」とあせった。媼の気持ちが分からない。僧が反対の事をしたなら分かるのに・・・。分からないから作者がすごいと思うし、自分はまだまだだな・・・とつくづく思った。

「赤猪子物語」
赤猪子という若く美しい女性はある日、川辺で猪狩りに出向いた帝と出会う。
帝は彼女に求婚し、女はその言葉を信じてずっと年月を重ねるがー。

 この話はよく分かった。主人公の女性の心情が手にとるように分かる。それは自分もある程度歳をとったからだと思う。これを20代で書ける人って空恐ろしいと思う。

「千姫桜」
将軍の姉、千姫の一夜の余興として女歌舞伎の一座が呼ばれた。
その中には唯一の男性で元武士の四郎がいた。

「紫絵」
大店の跡取りとして生まれながら人気画家となった白磁という男性の話。

「「薬湯便覧」由来」
仕立物の仕事をしながら掏摸をする美人のお勢。
彼女はある男に掏摸を働き、それがもとで彼とつきあうようになる。

「第八戒」
キリシタン弾圧の頃、キリシタンでないのにそうだと誤解された女郎の話。

「落陽」
後宮の女性を描く事で人気絵師となった男。
老いた男のもとに新たに後宮に入った女性を描いてほしいという依頼が入るが、彼はその美しさを絵におさめる力がなかった。
彼が描いた肖像画は似ても似つかないみすぼらしい絵で、それを見た帝王は彼女を乱を起こした匈奴に贈ることにした。

「石の庭」
寺に枯山水を築く庭師の姿をシナリオ形式で描いた話。

どの話も微妙で繊細な人の心の流れがあますところなく描かれていて、それを目で追うだけでも十分楽しめる。
大きな出来事や奇をてらったことをしなくても、ちゃんとした物語としての骨格と文章力があればこれだけ読みがいのある話になるんだな・・・と思う。
相変わらず、読んでいる時は引き込まれ、読み終わったらしみじみとした余韻と感慨のある本だった。

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