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完結巻
文句なしで、良い不良漫画だった、この『アキラNo.2』はっっっ
ここまで震えた胸が熱くなったのは、『BOY-HareluyaⅡ』や『A-BOUT!!』を読んで以来である
しかも、奥嶋先生は、これまでの不良漫画とは違い、ただただ強いだけの最強の男でなく、そんな暴君を支えつつも、虎視眈々と、その首を狙っている二番手を主役に据えた。新しいジャンルの不良漫画を作った、と言っても過言ではあるまい。今後、喧嘩しか能がないヤンキーを主人公にした漫画を描いて、名を売ろうとしている新人漫画家がナンバー2の話を描いても、文字通りの二番煎じになってしまうだろう
また、物珍しさだけで終わらず、アキラの個性がまた、読み手を共感を持たせ、好感を湧かせるのだ
不良に必須な喧嘩の強さは並みより少し上程度、常勝って訳でもないし、重ねた勝ちも紙一重ギリギリで掴んだモノが多い。それでも、アキラの周りには不良らしくない人柄の良さ、フォロー力の高さ、何より、野心のデカさに惹かれ、奇妙な男の友情で結ばれた、彼と一緒に楽しくバカをやって、青春を満たす事を選んだ、器の大きい男ばかりが集まる。腕っ節ではない、アキラの秘める本物の強さを野生の嗅覚で気付き、真喜志ですら一目を置いてしまうのだから、凄まじいの一言に尽きる
しかし、この漫画で最も肉体、精神ともに、凄かったのは、下剋上を本気で狙い、地道にその計画を練っていたアキラを傍に置いていたツトムであろう。アキラが自分にコキ使われる境遇になれ、牙が丸くなった途端に見限った点からも、彼が最強の不良である事が理屈抜きで理解できた
また、アキラとツトムの関係、手に汗握る喧嘩だけでなく、ブッチとジェシーの深まる友情も楽しめるトコも、この作品の強味だろう
ツトムを社長、アキラを副社長に、彼らに惚れたジェシーを初めにした、本物の雄らを仲間にして会社を立ち上げたら、業界全体を揺るがすような会社になりそうだ
リアルタイムで雑誌を読んでいた訳じゃないから、断定はできないが、恐らく、最終回迫っても、相当な人気があったんだろう。まだ、連載を続投する事も可能だったはずだが、あえて、ツトムvsアキラで幕を下ろした、そこに漫画家としても、一人の人間としても男気を感じられる
次回作も骨太のヤンキー漫画、アウトロー漫画を執筆して欲しい。まぁ、欲を言っていいなら、『ばぶれもん―最強ヤンキー幕末画録―』を再開してほしいんだけども
この台詞を引用に選んだのは、正に『アキラNo.2』の面白さ、そして、男が上を目指す意味を表現している台詞だからだ