サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

送料無料(~2/28)

【ネットストア】雑誌全品ポイント2倍(~2/28)

  1. hontoトップ
  2. 本の通販ストア
  3. 文庫
  4. 奇蹟
  5. ユーザーレビュー一覧

hontoレビュー

奇蹟(河出文庫)

奇蹟 みんなのレビュー

文庫

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー4件

みんなの評価3.8

評価内訳

  • 星 5 (0件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (1件)
  • 星 1 (0件)
4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

美しくも呪われた血

2015/11/26 04:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

中本に生まれた男たちの破滅的な生きざまが描かれる。容姿に恵まれながらも、みな酒や刃傷沙汰などで短命に終わる。著者の代表作「千年の愉楽」に比べると、1人1人の描写がいまいち弱かった。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2015/01/10 20:05

投稿元:ブクログ

中上健次が歴史的に引き受けてきた日本の土着性を、最高純度まで高めた結果として、語りのマントルとでも言うべき領域に達した作品。あるいは「日本」という国号を持ち出すことも不適切なのではないかと思えるような、日本以前のこの土地の口承文芸が突然変異により小説の形をとって現れた異形の物語。あまりに前近代的/非近代的な物語世界を、幻想的な語り口に担わせることで無理やり現代の文学と接続する、という大変な力技である。

回想と回想が輻輳し、予感と出来事が錯綜する文体は一見読みづらいが、読み進むうちに「これこそが正統な日本語の時間感覚なのではないか」と説得されてしまう。「金色の小鳥が群れ夏芙蓉の花咲き乱れる」とか、「高貴にして淫蕩の血」といったフレーズが繰り返され、口承文芸的に調子を整える効果がある。どの章も精神病院の裏庭でのトモノオジの描写から徐々に語り起こされるという構造にも、日が落ちて焚き火を囲んで語り部の前に集まるような効果がある。強固な構造と、古い卑語が飛び交う闊達な文体が設定されたことで、「ここでなら書ける」とばかりに放りこまれる「イクオ外伝」が全体の重石となっている。「イクオ外伝」の前後がタイチの盛と衰に分かたれ、それぞれに一つづつの死、出産、産湯のシーンが繰り返される点対称的な構成のうちにタイチの一代記が終わる。

圧巻の構成力、文章力に酔っている間に小説は終わってしまう。読む曼荼羅とでも言えるような稠密な構図の下に繰り返されるいくつもの根源的な生と死の挿話、その挿話ひとつひとつの強度に巻き込まれるように読み進まされる。繰り出される一手一手のスピードに見とれているうちに読みおわる、という意味での読みやすさはあるが、他方でその小説世界に現在の読者が体験的な没入感を得ることは難しいのではないかとも思わされる。語られる世界はほとんど絶え間ない闘争と、血筋をめぐる因縁と愛情だからだ。それらは留保のない現実として突きつけられる。たった数十年前の日本を舞台にしているのに、ハイ・ファンタジーもかくやというぐらいに遠さを感じてしまうのだ。血や土地について考えることと自分について考えることが等しかった時代の生き方から私は離れすぎているし、逆に自分が実際にそういうことを考えていた幼い時分からは十分離れていないので、うまく別のものに置き換えて読むことも出来ないのだ。「たとえばこれは自分のこういう経験に……」といった身に引き寄せる思考は許されない。ただただ目の前の映像を(音を、匂いを)受け入れるしかない。わからない国の言葉で字幕もなしに映画を見るようなものである。

受け入れた結果何が残ったか? 密度だ。この語りの密度でもって自分の抱える物語にぶつからなければ本当じゃない、というようなことを思わされる作品である。乱暴といえるほど自発的な文章を得て溢れ出す物語を、緻密な構造のうちに押し込める巨大な圧力がもっとも強く印象に残る。考えてみれば、語り手を描く部分(クエに変身するトモノオジ)が幻想的な描写で、語られる内容(タイチの一代記)が現実的な出来事、というのは口承文芸の状況を反転したものである。さらにその現実的な出来事を書いていく言葉自体には幻���的な修飾がこれでもかと盛られている。多層的だ。そのようにしてできたタイチの一代記のまん中に、ほとんど私小説のように家族に翻弄されるイクオの最期の時間が納められており、しかし卑小ではなく、タイチの物語という外殻と均等な力で引き合っている。この多層性には極めて人工的な、理性的な構築の痕跡を認めないわけにはいかない。

極道の勢力争い、路地の人々の生き方、血筋で定められる一生、といったものは、もはや私たちの生活からは神話といえるほどにかけ離れたものでしかない。しかしそれらを語る文言の巧みさ、構成の見事さによって、私たちは間接的に──いわば常世を介して──触れることができる。小説でありながら、むしろ非言語的な芸術体験に近接しようという野心の漲った、日本文学の特異点にして、特異点だらけになってしまった現在の日本文学の端緒を飾る記念碑的な作品。

2015/01/08 20:43

投稿元:ブクログ

中上健次を初めて読んだ。
これまで読んでいなかった理由は特に無いのだが(敢えて言うなら機会を逸した?)、何でもっと早く読まなかったんだろう……。
語り口は南米文学を彷彿とさせるマジック・リアリズムで、第一印象ではあまり日本の文学という感じがしない。しかし描かれているのは紛れもなく日本人で、新宮というローカルな場所の匂いを感じるところが面白かった。
そういえば熊野には行ったことが無いんだよなぁ。なのに不思議と、自分と近い場所にあるような気がする。小説のパワーって凄い。

2014/12/12 18:00

投稿元:ブクログ

金色の小鳥が群れ夏芙蓉の花咲き乱れる路地。高貴にして淫蕩の血に澱んだ仏の因果を背負う一統で、「闘いの性」に生まれついた極道タイチの短い生涯。人間の生と死、その罪と罰が語られた崇高な世界文学。

4 件中 1 件~ 4 件を表示