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2016/10/12 05:35

投稿元:ブクログ

本書は出版当時から気になってはいたものの,高くはないけど安くはないので,保留状態にしていた。Amazonで少し安く出ていたので購入。早速読みました。帯に「福原記念英米文学賞受賞」とあります。これがどのような賞かは分かりませんが,ともかく一定の評価を得ているのでしょう。
シェイクスピアそのものは5,6冊しか呼んでいませんが,シェイクスピア関係はけっこう読んでいます。本書でもいくつか登場するスティーヴン・グリーンブラットの他,フランセス・イエイツ,テリー・イーグルトン,本橋哲也などを読んできました。それはある意味,地理学とは関係のない興味で読んでいたわけですが,本書はシェイクスピア研究の方から地図学に接近しようというのですから,読まないわけにはいきません。

序章 地図の解釈学
第一章 アイルランド地図の誕生と『ヘンリー六世・第二部』
第二章 イングランド地図の成立と歴史劇――『ウッドストック』,『リチャード二世』,『ヘンリー四世』二部作
第三章 キャムデンの地誌『ブリタニア』の出版と『リア王』
第四章 ブリテン地図と『マクベス』
第五章 二つのロンドン地図と『コリオレイナス』
第六章 新大陸の植民地地図と『テンペスト』

さて,著者の地図への興味はJ.B.ハーレー氏の研究を読んだことから始まるという。序章はハーレー氏の地図研究の概要がかなりを占めています。著者は1958年生まれの同志社大学教授とのことですが,留学経験もあり,参照されるシェイクスピア研究も英語が中心で,日本語の研究や日本語された研究書などにはほとんど言及していないので,しかたがありませんが,私も参加したコスグローブ・ダニエルス編『風景の図像学』にもハーレーの論文が収録されているのは知らないようです。また,日本の地図研究の第一人者,長谷川孝治氏の仕事も参照されていないし,若林幹夫『地図の想像力』もなく,かなり日本の研究者とは距離を置いている様子。
しかし,本書の内容はなかなか興味深い。基本的にはどの章も,前半に地図の話があり,後半にシェイクスピアの話がくるという展開で,はっきりいうと,前後の関係性はあまり密接に詰められはいない。しかし,第三章では16世紀のキャムデンによる地誌書『ブリタニア』に関する記述もかなり詳細で,本書の出版年に出した私の論文にも反映したかった。
第四章,第五章における歴史記述は私にとってけっこう難解で,取り上げられるシェイクスピア作品も読んでいないので,理解が追いつかなかった。
基本的にイングランド,ブリテン,アイルランドという範囲で話が展開する第五章までに対し,第六章は植民地政策の話に展開し,面白い。本文でも書いているように,『テンペスト』を植民地時代の文脈で解釈するのは,グリーンブラットや本橋哲也が行ってきたことだが,本橋氏の名前をさらっと挙げただけで,こうした一連の研究を一掃する。これがなかなか説得的で,17世紀初頭の英国の植民地政策について詳細に調査することで,英国の植民地政策はまだ初歩的な段階にすぎなかったという。そういうなかで,『テンペスト』を植民地主義的まなざしの典型のように解釈するのはやはり無���があるといい,当時の具体的な植民地の段階に即して,『テンペスト』を読み直そうという本書の試みはなかなかだ。
展望もなかなか興味深い。つまり,シェイクスピアの作品は英国に限定されるわけではないからだ。しかし,その際に本書と同様に地図のみに興味を限定するのではなく,第三章で地誌を取り上げたように,より広い意味での地理学的な想像力のなかでシェイクスピア解釈が展開されれば,私のような読者にとっても興味ある研究になると思う。

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