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みんなのレビュー41件

みんなの評価4.2

評価内訳

41 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

グローバリズムとは。

2016/05/02 21:21

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

グローバリズム:
現代では、多国籍企業が国境を越えて地球規模で経済活動を展開する行為や、自由貿易および市場主義経済を全地球上に拡大させる思想などを表す。

 この本を読んで改めて、グローバリズムであるとか、グローバリゼーションといった国際的とどう違うの?と不思議に思っていたカタカナ言葉の意味を考えたような気がします。

 甲府の産業用人口水晶の製造販売を手掛ける中企業、山峡ドルジェの社長、藤岡が精度の高い水晶振動子の開発の為、インドを訪れた所から物語は始まります。
観賞用の水晶細工ではなく、産業用水晶の為、マザークリスタルと呼ばれる高純度の水晶を手に入れる必要がありました。

 大企業なら社員が行く所、山峡ドルジェ社は社長みずからが海外を飛び回っています。

 インドの田舎村で、素晴らしい水晶とめぐりあい、買い付けるのですが、そこまでが実に綿密に長く描かれていて、日本の一企業がインドに入り込むのがいかに難しいことか、大変な事か、がびしびしと伝わってきます。

 藤岡は、インドの採掘会社の社長の接待を受けますが、そこで、メイド兼性接待の為、夜、部屋にきた少女、ロサと出合います。

 身分の低い階級の孤児、ロサが実は素晴らしい記憶力、分析力、理解力を持っていることに気がついた藤岡は、なんとかロサが教育を受けられるようにならないか、と思う。
鉱山産業は、採掘権や法的権利、地元民、政府、行政などが複雑に絡み合うのに、ましてやインドの田舎村です。
根強い迷信や反政府軍、テロリスト、盗賊などが跋扈し、インド人との仕事感覚、金銭感覚、文化、歴史、言語の違いなど問題は盛りだくさん。

 たくさんある問題をひとつひとつクリアする藤岡のビジネスマンぶりを描く企業物でもあり、なんとかロサをメイドから解放して、教育を受けさせる人に預けますが、ロサは不思議な才能を持つ、神秘的というかよくわからない部分がいつまでたっても払拭できない過程が描かれます。

 篠田節子さんの入念な執拗とも言えるほど細かく調べぬいたリアリティあふれる文章に圧倒されて長い物語ではありますが、目をそらすことができません。

 カースト制度、貧富の差、根強い信仰や迷信、テロリストや反政府軍がいつ襲ってくるかわからない環境・・・そこを日本の一企業が乗り込んでいくことの難しさと大変さがびしびしと伝わってきます。

 海外へ企業が進出する、と書くとなんだか格好いいような感じもしますが、言葉よりもまず、体力勝負であることが藤岡社長という人を通して描いています。
外交力、交渉力、体力、判断力、メンタルの強さ、グローバリズムに必要な物は言語だけではありません。

 しかし、この物語を書くきっかけになったのは、ネパールに今でもある風習、選ばれた幼女が、生き神様となる風習を知ったからだそうで、ただの虐げられたインドの美少女と日本のビジネスマンの出会いは書きたくなかった、と作者が言っている通り、ロサは一筋縄ではいかない秘密を持っています。
インド、カースト制度の中で、貧しい階級の女性の立場は非常に低いものでした。
どこか人を扇動するようなカリスマ性を持つ不思議な黒い女神、ロサ。

 安直なグローバリズムに警鐘をならす企業ものであり、ミステリでもあり、女性問題も描き、これだけの要素をひとつの物語に収める手腕はさすが篠田節子さんです。

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紙の本

インドの記憶が鮮明に蘇る

2016/03/13 19:42

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:suka - この投稿者のレビュー一覧を見る

「発展の裏側でこの国の闇はどこまでも深い」という本文に、初めてインドを訪れた時の衝撃を思い出した。私達は自然の法則のなかで生きている。開発は町を潤す様に見えて、本当は町を蝕んでいる。
貧困から救い出すという、ソトの人間の使命感は、実はエゴではないかと思わせる作品である。

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2015/05/18 23:51

投稿元:ブクログ

【要旨】人工水晶の製造開発会社の社長・藤岡は、惑星探査機用の人工水晶の核となるマザークリスタルを求め、インドの寒村に赴く。宿泊先で使用人兼売春婦として働いていた謎めいた少女ロサとの出会いを機に、インドの闇の奥へと足を踏み入れてゆく。商業倫理や契約概念のない部族相手のビジネスに悪戦苦闘しながら直面するのは、貧富の格差、男尊女卑、中央と地方の隔たり、資本と搾取の構造―まさに世界の縮図というべき過酷な現実だった。そして採掘に関わる人々に次々と災いが起こり始める。果たしてこれは現地民の言う通り、森の神の祟りなのか?

相変わらず、ものすごい量の文章を圧倒的な筆力でグイグイ引っ張って行って飽きさせないのがすごい。
いつものように、読んでいて何が正しいのか、何が間違っているのか、どうとらえればいいのか、考えが二転三転振り回される。
結局何が正解だったのか。
最後まで藤岡とロサの考え方が平行線だったのが面白い。
人間、生まれ落ちた場所、育った環境、国、生活習慣、宗教と違えば、考え方も常識も価値観も違う。
人は自分が持っている物差しで回りを計る生き物だものね。

2015/04/13 13:40

投稿元:ブクログ

数年前のインド旅行を思い出しながら読み進んだ。
巨大なインド、様々な民族、宗教、カースト、言語、・・・
物語、作家軒からを感じさせる力作。

2015/05/17 21:20

投稿元:ブクログ

1ページ読み始めると500ページ読み終えてしまうタイプの本。
しかし、冒頭でほとんど動きがないにもかかわらず読まされてしまうのはなんでだろう?
☆が100個。すさまじい。

2015/04/17 22:21

投稿元:ブクログ

題材といい、舞台といい、キャラクターといい、まさに篠田節子氏の本領が存分に発揮された作品。
謎のヴェールに包まれた少女・ロサが登場してくるくだりでは、いかにも篠田氏らしいな、と思うのと同時に、ひょっとしたら硬質なはずの物語に水を差す結果になりはしないかな…と若干不安を抱いたものの、まったくの杞憂に終わりホッとするとともに、最後のページまで堪能させていただいた。
水晶ビジネスやインド国内の通俗等の描写についても、緻密な取材に基づくものであろうことが窺い知れる。
西アジアの空気が醸し出す何某かの影響か、「弥勒」や「ゴサインタン」などを少し髣髴ともさせるが、今作は充分に救いが用意され、真っ暗なトンネルの先に一筋の光明が見える結びになっているのが印象的だ。

2015/04/17 00:55

投稿元:ブクログ

篠田さんらしい世界に目を向けた作品だったがインドの問題を描くのか不思議なちからを持つ少女を描くのかまたは日本の企業について描くのかちょっとどっち付かずかなぁ。
全く知らないインドのことはとても興味深く読めたけど。

2015/02/27 10:31

投稿元:ブクログ

自然界にある物質を利用する産業というのは原料の入手にピリピリしそうで落ち着かないもんだね。
安定供給されればいいけれど、一定の品質も必要となると難しい。そこへきて、立ち入りにくい場所にあり習慣の違う人達とのやりとりが発生すると……。
人は、何か価値があると思うと欲が出てきてしまうものなんだな。
しかし、ロサは人を惹きつける力が強い人なんだな。これだけ周囲を惹きつけるって凄い。

2015/11/08 17:29

投稿元:ブクログ

外国資本による誘惑。砕かれるクリスタル。クリスタルのかけらに導かれ、鉱夫や暴徒にジョブチェンジする原住民たち。

辺境での原料調達を魅力少なめに伝える一冊。インドに行きたくなくなる。今日も日本は平和だなぁ。

2015/05/12 13:55

投稿元:ブクログ

 デビュー当時は、面白い作家が出てきたと思って出る作品を次々と読んだものけれど、『女たちの聖戦(ジハード)』で直木賞を獲った辺りから、久しくこの作家から足が遠のいていた。

 大体この作家のジャンルが、およそわかって来て、小説自体も新しみが失われてきたばかりか、ストーリーにダイナミックさがなくなって堅実になったというか、もともとこの作家にぼくが求めていた面白さは、むしろ逆方向なわけで、人の向かないところに興味を見出すというところに魅力を感じていたので、それがある程度読めてきてしまうと、自然とこだわるべき理由がまくなったように感じられたというわけだ。

 この作家のジャンルは広く、ホラー、芸術家小説、ホームドラマ、国際冒険小説と、ぼくは無理やり大別してしまうのであるが、本書はこの最後の国際冒険小説の流れの一冊である。『弥勒』『インコは戻ってきたか』『コンタクト・ゾーン』と続く第三世界を舞台にした日本との文明観の隔たりを材に取り、スリリングな非日常を描き出す物語作風となっているものである。

 本書はタイトルの通り、人口でも産業でも最近新たな<大国><脅威>として注目されるようになったインドの物語。しかしインドと言えばカースト、その広さはヒマラヤの麓にまで及び、教育やカーストの埒外に置かれる先住民族的世界をすら抱合する。もちろん篠田節子が描くのはインドの近代的一面の方ではなく、辺境の物語の方だ。

 国際冒険小説の巨匠・船戸与一であれば、辺境を描くときに日本人らしい日本人は描かず、敢えて日本に背を向けたはぐれ日本人を主人公に描くことが多いのだが、篠田節子の場合、あまりにも日本人らしい日本人を辺境に置くことによってその油断を衝いて現出する異質な文明観や価値観の隔たりを特化させた小説となる。日本人が不通だと思っているごく当たり前の価値観が、理解できない価値観で構築された別なる世界との軋轢を経て葛藤するのである。

 本書はクリスタル、つまり水晶の原石を求めて辺境の村に鉱脈を開発する計画を持つ山梨在住の人工水晶開発会社の社長が、インドで経験してゆく商談、開発、欺瞞、暴力、裏切り、革命の物語である。大河ドラマと言っていいスケールであり、中でもこの小説で描かれるヒロイン、少女ロサの人物造形はインドの辺境文化そのものと言ってよく、彼女が西欧近代社会や日本文化と触れ合いつつ成長してゆく様子を物語の縦軸としながら、村そのものの成長と行く末を生きもののように活写してゆくドラマチックで壮大な展開がたまらない。

 篠田節子版『闇の奥』とさえ言いたくなる本書のラストは圧巻。読みにくい展開のなか、最後までミステリアスで魅力的なヒロイン、ロサの存在感が圧倒的に光る一冊であり、篠田節子の最高傑作と言ってよさそうな力感たっぷりの巨編である。

2015/06/12 14:07

投稿元:ブクログ

エンタメ小説のくくりに入るのだろうが、質量ともにかなりの重厚さである。
500ページ強の2段組。舞台は水晶を巡るビジネス。
だが吸引力は相当だ。

水晶を原料に精密機器を製造する中小企業の社長、藤岡は、インドのある鉱山から出た原石に興味を惹かれる。透明度の高い美しさ。だが彼が価値を見いだしたのは見た目の美しさではなかった。結晶の規則正しさだ。最先端技術にも使用されうる精密な人工水晶の製造には、核となる良質の天然水晶が欠かせない。
その原石の結晶は非常に規則的で、また使用に耐えうる部分の割合も他の産地のものとは比べものにならないくらい高かった。
藤岡はこの鉱山を突き止め、原石の輸入を試みることにする。
通常、宝石としては比較的軽視されている水晶に、実はどれだけの潜在的な価値があるのかを伏せつつ、海千山千のインド人たちを相手に、原石を無事に日本に送り出すことが出来るのか。
これが物語の1つの軸である。

もう1つの軸は、「ロサ」という1人の少女である。
藤岡は取り引き相手の家で働く彼女に出会う。下働きのようなことをしながら、少女売春もさせられているらしい。彼女はいわゆる部族の出身で、「生き神」として祀られた過去があった。初潮前の少女を「神」として崇拝する独特の信仰だ。少女たちは生き神である間はかしずかれ、隔離されて生き、初潮がくるとお払い箱となる。「生き神」となった女と結婚すると災いが起こるとする迷信もあり、役目を終えた後、社会に上手く溶け込めない例もままあるという。
憤慨する藤岡。接するうちに彼女には並外れた知性が備わっていることもわかってくる。何とかゴミためのような環境から救い出し、高等教育を受けさせることは出来ないのか。
だが彼女の雇い主は、藤岡を冷たい目で眺めつつ、「あれは邪な種を秘めている」という。その意味するところは何か?
藤岡は彼女の過去を知り、行動をともにするうち、彼女の持つ異様な力にも気づいていく。

おそらく相当の取材を重ねた背景は説得力に富み、ノンフィクション仕立てにも出来うる題材であっただろう。
そこを小説に仕立てたのはもちろん、著者が小説家であるからだが、そのことにより、まるでプリズムを通したかのような、さまざまな色彩が見えてくる。
日本人社長藤岡の視点から、ビジネスにおけるインド人のしたたかさ、NGOの「偽善」、部族と呼ばれる先住民の感性、崩せない階級社会、日本人も含む外国人のずるさが立体的に浮かび上がってくるのである。
中でもやはり印象が強いのは、苛酷な運命をたどったのロサの姿だろう。あるときは美しく純真な少女、あるときは迷信の犠牲者、あるときは暴力の被害者、あるときは邪な力を秘めた謎の女。藤岡同様、読者もまたあるときは彼女に惹かれ、あるときは彼女に怯える。その真の姿は聖なのか邪なのか。水晶を巡る顛末と絡みつつ、彼女の動向もまた物語を牽引する大きな力となっている。

藤岡は、インドの洞窟に潜む水晶を、そしてロサという謎の少女を、掌中に収めることが出来るのか。
怒濤のラストまで目が離せない。

篠田節子にはこれまでも���度か驚かされてきた。
本作は中でも、最大級の最上の驚きをくれる1冊だ。

2015/08/30 09:40

投稿元:ブクログ

篠田さんには、いつも安定した高レベル作品を読ませてもらえる。
今回のものは WOWOW とか Netflix でドラマ化できそうな感じ。
2015 年 第10回「中央公論文芸賞」受賞作品。

2015/07/01 18:03

投稿元:ブクログ

どれを読んでもハズレのない篠田節子さんの作品の中でも、これはかなりの傑作なのではないかな、と思う。
あらゆるものをテーマにして、一貫してエンターテイメントを描き続ける篠田さんは本当にすごい。そしてこの作品は、きっと驚くほど綿密な下調べが必要であったろうと想像せずにはいられないほどディテールがしっかりしており、一度物語の中へ入り込んだらもうそこから抜け出せない。
先端技術のための水晶=クリスタルをめぐる裏インドの商駆け引きも面白ければ、日本人の日常、常識とは別世界のインド社会の光と闇の描写もすごく面白い。登場人物に血が通っており、単なる善人、悪人のくくりでないのが素晴らしい。水晶をめぐる攻防の物語に、まさかの時事要素を盛り込んでくるのにも驚いた。社会派、とは言わないが、篠田さんの作品にいつもある社会への警鐘は胸の奥に突き刺さる。
しかしまあ。なんといってもロサの人物造形がこの作品の最大の魅力であることに間違いはない。インドという国に日本人はなんとはなしに神秘的なイメージを抱くが、ロサの描写がまさにそれを体現しているし、その神秘性が全編に渡ってこの物語を支配している。続編はきっとないし、あってもこの次は平凡な物語になるのかもしれないが、それでもまだまだ続くロサの人生の続編を、この本を読み終えた今、とても読んでみたい。

あ、いつの間にか僕もロサに操られてる???

2016/03/01 15:15

投稿元:ブクログ

水晶の買い付けがこのように権謀術数,冒険大活劇,になるとは.インドに限ったことではないだろうが,商社の大変さがよく分かる.その上,インドのカーストや男尊女卑といった根深い格差社会,村と部族にゲリラまで登場し,問題山積みの小説.そこに,ロサという特異なの力を持った少女が,核として輝きを放って存在する.最後まで,彼女の真意がはっきりしないで,読むほうも引っ張られるが,最後の最後,ホッとしてページを閉じることができてよかった.

2015/02/25 18:06

投稿元:ブクログ

複雑なんだよ。あれもこれも。ということがよくわかる。
あと、絶妙なリベラルおじさん描写に身ぶるいしてます。藤岡を他山の石に。
ヒロインのロサはゴサインタンに見えたり弥勒にも見えたり。

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