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紙の本

酒に溺れた日々の先に……

2016/01/26 22:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うつぼルテナント - この投稿者のレビュー一覧を見る

パトリック・デウィット処女作の舞台はハリウッドのバー。常連は酒に溺れたアル中ばかり。ウイスキーを飲み続ける警官コスプレ男、ウォッカをがぶ飲みするカップル。そして、二人称によって語られるバーテンの主人公〈君〉もまた、スコッチとアスピリンの濫用で身体はボロボロときています。

くり返し描かれる酔態に反感を抱くのか同情するのかは、読者の「お酒の付き合い方」が影響するかもしれません。〈君〉はというと、目の前で泥酔する常連たちを嫌悪しはじめ、人生を修復するプランをたてます。が、この方法がまた邪道中の邪道なのです。

同じく二人称小説で、コカインに溺れたニューヨークの青年を描く『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』(J・マキナニー著/高橋源一郎訳)とはラストが対照的です。ニューヨークの〈君〉には人生の再起を期待させる一文が添えられますが、バーテンの〈君〉がアルコールの日々から抜け出した先に、決して「良い生活」が待っているとは限らない。そんな幕引きが、なんともいえない味わいを残してくれるアル中小説です。

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紙の本

泥酔文学・・・

2015/09/27 23:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る

昨年2014年末に刊行された『シスターズ・ブラザーズ』の著者の処女作。前作は実に「ヘンな小説」で、まるでアルコール中毒者の妄想を縷々綴り立てたようだったが、実はこの作家は正真正銘ダメな酔っぱらい出身だったらしい。本作はまさにそんなアルコール中毒者の妄想と現実が展開されていく。

原題は"Ablutions: Notes for a Novel"。
abulutionは「洗礼」の水をかぶる部分、ということだ。Notesというだけに、今後小説を書いていく上でのスケッチ的な作品である、というメッセージもありそうだ。

本書の場合、水の代わりに全身に酒をかぶったような酔っ払いの様々な痴態が、やっぱりアルコール中毒者のバーテンダーの目線で描かれていく。基本的にこういう話は、酒を飲まない人や飲酒を嫌う人には理解不能だろう。だから、とりあえず飲酒に良くないイメージがある人が読んでも、きっと面白くもなんともないと思う。まずそこは確約できる。お酒なんかダイッキライ!ていうタイプの人は読んじゃダメ。

で、酒をよく飲む人(ワタシのような)にとってはどうかと言えば、これはこれでかなり耳が痛い話が展開されていく。酔ってどうなって、ああいうことをしてこういうこともする・・・アイタタタ、て感じ。とりあえず楽しくはないが、相当リアリティーはあった。

背景になるバーは、入り口に屈強なセキュリティー担当者を置いて、マネージャーにバーテンダーなど5~6人くらいは働いているような、そこそこ大きな店だ。場所がハリウッドなので、最近の日本のように飲酒運転が徹底管理されてもいないし、ドラッグ関係もはるかにおおらかに濫用されている模様。
日本でも無いとは言わないが、もうちょっと管理が行き届いた状況ではあろう。こうした彼我の違いも面白い。

なにより一番興味深いのは、店の雇われバーテンダーが、なんだかんだと常連客にタダ酒を振る舞いまくる部分ではあった。実際その結果、店は潰れそうな感じなのだが。日本の場合、バブル期のディスコだのカフェバーだのではあったのかもしれないが、最近はあまり聞かないパターンだ。

そんなグダグダな話が、それなりの流れ(ストーリーでもないが、それに近いもの)を持って流れていくので、案外スッキリと読み切れてしまった。二作目を先に読んだイメージからすると、そこは非常に意外だった。Notesというわりに、各エピソードがユルユルといい加減に連携している。

第二作目のほうがヘンでミョーな話なのは、背景がバーじゃないからなのかもしれない。
そういう見方をすると、この作家は今後「泥酔文学」の道を究めていくのかもしれませんなあ。

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2015/04/15 23:59

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2015/02/06 16:26

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2015/03/16 07:19

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2015/05/15 20:03

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2015/01/14 15:59

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