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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.4

評価内訳

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

2015/11/10 17:26

投稿元:ブクログ

「イミテーション・ゲーム」を観て、チューリングのことや暗号について知りたくなったので。
上巻は幼少期からエニグマ解読に挑むまで。
アランとジョーンの関係は憧れるなあ。

2015/07/31 22:53

投稿元:ブクログ

アラン・チューリング。
コンピュータ科学の父とも、人工知能の父とも言われる。
第二次大戦時、ドイツ軍の暗号「エニグマ」の解読に関わり、成功を収めたが、その業績は長く秘密にされた。チューリングマシンやチューリングテストなど、コンピュータ科学や人工知能の萌芽となる概念を考え出すとともに、生物の形態形成や数理生物学にも興味を示し、学問の境界を越えていく稀有な知性の持ち主だったと言えるだろう。
1952年、自宅に泥棒が入ったことをきっかけに、当時の英国では許されぬ性癖、すなわち同性愛の事実が明るみに出る。チューリングは拘束か薬剤療法かどちらかを選ぶよう促され、その頃、同性愛の「矯正」に効果があるとされていた女性ホルモン療法を受けることを選択する。
このことが精神状態によくない影響を及ぼしたのかどうかは定かでないが、1954年、彼は自宅で死亡しているのを発見される。死因は青酸中毒。ベッド脇には囓り掛けのリンゴがあった。かつて彼は「白雪姫」の映画を見た際に、毒リンゴで倒れる場面に感銘を受けたとされており、このシーンを真似たとも言われる。いずれにしろ、自殺というのが定説だが、彼の母や友人は事故だと信じていた。

昨年、このチューリングの映画(「イミテーションゲーム」)が公開されたが、本書はその「原作」と言われている本である。
最初の版は1983年に出版されているが、その後、何度か版を改め、本書は映画公開に合わせて改定・改稿されたものを底本としている。ホッジスによるチューリング評伝の和訳としては最初のものである。2015年2月に上巻が出ているが、下巻は8月31日刊行予定である。上巻はチューリングがエニグマ解読に取り組むあたりまでで終わっている。

映画は映画でよく出来た作品だったのだが、上巻を読み終えて、よくこの原作からあの映画を組み立てたな、というところにまずは感心する。チューリングの変人ぶり、秘められた「ロマンス」、国家による陰謀などがテンポよく配された、ある意味、非常にわかりやすいストーリーとなっていたからだ。
本書の趣はいささか異なる。静かで、複雑で、さほどわかりやすくない。稀代の天才であるチューリングの内面へと、温かく、しかし鋭く迫っていく評伝である。
著者は数理物理学者であるとともに、ゲイ解放運動の活動家でもある。チューリングを描くのに、まさにうってつけの人物と言えるだろう。
ある箇所ではチューリングマシンの概念やエニグマの構造について解説し、ある箇所では社交的とは言い難いチューリングの、同僚たちとのぎこちない交流を描き、ある箇所ではバーナード・ショーの戯曲やホイットマンの詩を語る。
こんな離れ業は誰にでも出来るものではないだろう。
だがこの多層さが、チューリングの人格の多様さに分け入っていく一助となっている。
数学に長け、生物の中のフィボナッチ数の存在に惹かれ、強靱な肉体を持ち、しかしどこか不器用であった、1人の孤独な天才の。

この本はおそらく、読む人を選ぶ。
自分もこの本に非常に適した人物とは言えないだろう。
しかしそれでも、謎に満ちた知性��どのような道をたどり、偉大な業績を生み出したのか、天才の人となりを感じ、何某かを思い浮かべることは可能である。

不思議な本だ。
下巻刊行を待つ。

2015/05/16 08:16

投稿元:ブクログ

オバマによる英国議会の演説で、世界の科学に貢献した3人のイギリス出身の偉人として、ニュートン、ダーウィン、チューリングをあげたという。はたして僕たちは、彼なくしてコンピュータの開発はありえなかったという、この人のことをどこまで知っているのか? 内容は難解です。ながら読みでこの本に立ち向かえば、撃破されるのは必至。

2017/03/19 20:45

投稿元:ブクログ

○この本を一言で表すと?
 アラン・チューリングの生涯と、コンピューター創成期の本


○この本を読んで興味深かった点・考えたこと
・暗号技術やコンピューターのようなアラン・チューリングが直接関わった分野と、同時代に他の学者が関わった分野が併せて書かれていて、現代技術史としても充実した内容だったと思いました。

・全体を通して、アラン・チューリングが子供の頃に読んだブルースターの「自然の不思議」の記述が出てきますが、かなり高度な内容に思えて内容に興味があります。

・コンピューターの生みの親はフォン・ノイマンだ、と単純に考えていましたが、実際にどのようにコンピューターの考え方が生まれ、作られていったのかがかなり詳しく書かれていて、今では当たり前なこともゼロから生み出すにはどれほど苦労するのかがよく伝わってきました。

・当時の法律で、同性愛者の性行為は同意があっても性犯罪と扱われるというのは、今のLGBTの議論からすると隔世の感があるなと思いました。

・アラン・チューリングの友人であり続ける条件として「同性愛者であることを許容できること」が挙げられますが、特にこの時代ではかなりハードルが高いながらもこの条件を満たす人がかなり多く、みんな器が大きいなと感じました。

・アラン・チューリングの母親が、常識人でありながら、同性愛者ということ以外でもかなり変わっているアラン・チューリングを許容し、息子として愛していた様子が全体を通して描かれていて、この本に登場する人物のなかで一番器が大きな人物だなと思いました。


<Ⅰ 論理的なるもの>
・アラン・チューリングの少年期について、パブリックスクールのシャーボーン校での生活を中心に詳しく書かれていました。その画一的な教育内容に影響されながらも染まらなかったアラン・チューリングの成績が評価されていなかったのは、他の人物の伝記でもよくありそうな話だなと思いました。(1 集団の精神)

・インクを自作するなど、理論と実験・実践を併せて行う資質は幼少期から見られたのかなと思いました。同級生のクリストファー・モーコムに同性愛の対象として、また尊敬の対象として憧れ、その死について触れて章を終えていました。(1 集団の精神)

・クリストファー・モーコムの死後、その家族と何年も交流し続けたことが細かく書かれていました。クリストファー・モーコムの死後、アラン・チューリングはその目標や生き方を受け継ぐように学業にも適応して取り組むようになり、ケンブリッジのキングズカレッジに上がって、その場で同性愛が許容される文化だったことでそちら方面でも開花されていったことが書かれていました。(2 真理の精神)

・アラン・チューリングの「チューリング機械」が数学の理論を解明するための理論的機械を想定したものとしてスタートしたというのは興味深い話だなと思いました。(2 真理の精神)

・アラン・チューリングの「チューリング機械」を論文として発表しようと準備しているときに、同じような理論でアロンゾ・���ャーチが「解決不可能な問題」を示す内容ですでに論文を出していたことなど、そこに至るまでの過程が築かれていればその上に立つ理論が同時に複数個所で生まれ得るのだなということと、白熱電球の発明などのほぼ同時期に異なる場所で発明が生まれたことなどが似ているなと思いました。後者は一部、模倣の疑いもあるかもしれませんが。(3 新しい人びと)

・アロンゾ・チャーチの研究を知ることも含めて、アメリカ留学でアメリカのプリンストン大学に行って、そこでの交流などが書かれていました。当時のイギリスとアメリカの差などが大きく出ていることなどが興味深いなと思いました。アメリカでフォン・ノイマンと直接の交流はほとんどないながら、論文の解釈等で認め合っている様子なども、面白いなと思いました。アラン・チューリングが数学者として軍に関わり始める端緒が章の最後で述べられていました。(3 新しい人びと)

・ドイツの暗号機械「エニグマ」の構造の説明と、その解読方法について、それぞれが判明した理由を含めて述べられていました。暗号作成の労力と暗号解読の労力では圧倒的に後者が大きいと考えていましたが、当時でもそうであって、総当たりで当たっても必要な時間内にはとても解読できず、ある程度当たりをつけて解読するというのは妥当だなと思いました。(4 リレー競争)

・同じ単語で始まる気象情報などを手掛かりにして暗号を解読すること、重みづけ・尤度などで100%の解読ではなく、ある程度の確からしさを目指していたこと、その解読割合の低さなどは、単純に歴史上、連合軍がドイツの暗号を解読したという話から全てを明らかにしていたものと考えていた先入観とは大きく異なるなと考え直しました。(4 リレー競争)

・暗号解読に成功していても、その解読内容がうまく海軍に伝達されず、また活用できなかったという組織的な面と、そのことでUボートから受けた被害の大きさについては初めて知りましたが、どのような組織でも起こりがちな話だと思いました。(4 リレー競争)

・同性愛者のアラン・チューリングが女性のジョーン・クラークと友人関係を築き、結婚を申し込んでいたというのは驚きで、その後の話を読んでから振り返るとなお一層例外として際立っているなと思えました。感情的な問題を置いて実際に結婚していれば、かなりその未来は変わっていただろうなと思いました。(4 リレー競争)


・ドイツの「エニグマ」自体は堅牢でも、その抜け道としてUボートの拿捕や気象用暗号の入手で解読をショートカットでき、そのおかげで解読が間に合っていたことなど、歴史の本に一行で「連合軍はドイツの暗号の解読に成功していた」と書かれていたような単純な話ではなかったのだなと改めて感じました。論文の内容かぶりがきっかけになって渡米した経験から、イギリスの暗号解読技術をアメリカに伝える役目をアラン・チューリングが果たすことになったことなど、物事の因果関係は思わぬところで繋がるものだなと思いました。(架け橋)


<Ⅱ 物理的なるもの>
・アラン・チューリングがエニグマの解読に不要な人物となってから、独自に無線通信の仕組みを考案し、機械も自作��て「ディライラ」を完成させたのはすごいなと思いました。そういった発明が世に出て広まることがなかったのも、アラン・チューリングのように広める気がなければ埋もれてしまうのだなという今にも通じる一般的な事例の一つとなっているように思いました。(5 助走)

・アラン・チューリングの構想した汎用コンピューター「ACE」が、現在のコンピューターに繋がっている発想で、ゼロから思いついた流れはまさにコンピューターの創成期だなと思いました。記録媒体がテープくらいしかなかった時に、処理中の高速に保存・取り出しができる記憶媒体の検討がされていたこと、その処理のためにブラウン管や水銀が検討されていたことなど、CPUだけでなく記憶媒体についてもゼロからで、それらのことが同時に検討されていたというのは非常に興味深いなと思いました。(6 水銀の遅延)

・「ACE」が人工知能についての倫理的な論争に繋がったり、予算制約などで開発が滞っていることなど、プロジェクトにありがちな不確定要因が、この頃では致命的な要因として話が進まないというのは、当時の関係者、特にアラン・チューリングにとってはもどかしかっただろうなと思いました。その研究から離れる休暇を取り、その間にマラソンで結果を出すなど、アラン・チューリングの多彩なところも出ているなと思いました。(6 水銀の遅延)

・アラン・チューリングが汎用コンピューターを目指す「ACE」から離れ、コンパクトながらまず稼働することを目指すマンチェスターの「ベイビーマシン」のチームに移籍し、その中でプログラミングによる汎用的な動き、サブルーチン等の考えを提唱しながらもほとんど受け入れられず、研究分野を生物学に変えてその検証をコンピューターで行う、というような研究対象の転換を行うことなど、通常の学者ならとてもできないような転換を思い切りよくやってしまうところは、なかなか変わった人物だなと改めて思いました。(7 グリーンウッドの木)

・活発な同性愛者として動いていて、当時は性犯罪とされていた同性愛者としての性行為を楯に自宅の物を盗まれ、特に性犯罪に該当するとは考慮せずに警察に訴えたことで自身が捕まる、というある意味アラン・チューリングらしいエピソードが章末で書かれていました。(7 グリーンウッドの木)

・アラン・チューリングの性犯罪者として訴えられながら、誤ったことはしていないとして自分を弁護しない様子や、むしろ周りが必死になってアラン・チューリングを守ろうとしている様子は、ある分野においての天才がそれ以外を疎かにする傾向がもろに出ているなと思いました。(8 渚にて)

・性犯罪者として有罪判決が出ながらも社会に許容されるほどの実績を積んでいたこと、その後も生物学者としての研究成果を積んでいたこと、同性愛者としての活動も変わらず続けていたこと、他者からは動機が分からぬ自殺をしたことなど、最後まで「天才」らしさが、本人の自覚があったかも知れぬままに貫かれていたように思いました。(8 渚にて)

・ジョージ・オーウェルの「一九八四年」を読んで共感していたことは、この自伝の内容と「一九八四年」の内容から、確かにありえそうだ��と思いました。(8 渚にて)


○つっこみどころ
・アラン・チューリングは同性愛者だった可能性がある、ということは何かでちらっと聞いたことがありましたが、そのアラン・チューリングの伝記で主題となるくらいの本物だったとは初めて知りました。おかげで、これほど感情移入できない伝記もなかなかないと思えるほどで、読み辛さに繋がりました。

・アラン・チューリングが同性愛者だった、というだけで非難されたことに著者が異議を唱えているのはわからなくもないですが、アラン・チューリングは割と節操なく手を出しまくっている印象で、仮に異性愛者として同じ行動をしていたら性豪・ロリコンとして非難されてもおかしくないレベルではないかと思いました。

※下巻の内容含む

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