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2016/09/19 17:22

投稿元:ブクログ

ジョルジョ・アガンベンのイメージ関連の論文、評論を集めた論集。大きくはⅢ部に分かれる。
正直なところジョルジョ・アガンベンの文章は、難解な哲学的華々しさがあると同時に意外性のある単語の組み合わせが多々出てきて理解するのが困難な部分も多いのだが、ジョルジョ・アガンベンの生政治論の土台となっている思考に触れることができて、それなりの知的興味は感じることができた。

第Ⅰ部「ニンファ」では、イメージとは「情念定型」であるとするアビ・ヴァールブルグの論を前提に展開する。イメージは停止したものではなく、時間を負荷されたものであり、それがわれわれの中に記憶として留まり生となっていることを出発点として、ヴァルター・ベンヤミン(弁証法的イメージ)やアリストテレス、演劇(ビル・ヴィオラ)、文学(ジョヴァンニ・ボッカッチョ)、舞踊(ドメニコ・ダ・ピアンチェンツァ)、絵画(ヘンリー・ダーガー)など一見多種多彩で雑多な例を引きながら、イメージとして形作られたものを辿り返し意味を宙づりすることにより、もとのままの不安定な状態に戻す可能性について考えている。

「それらはみな、たしかに女性だが、おしっこをしない」(ジョヴァンニ・ボッカッチョ)

第Ⅱ部「イメージについて」は、映画、舞踊、それにムーサについての5評論が収録されている。
これも各論的な評論の寄せ集めのようにも思えるが、『ギー・ドゥボールの映画』の解説によると、ドゥボールの『スペクタクルの社会』にある「人々のあいだの社会的関係が、諸イメージによって媒介されてしまった」スペクタクルという社会体制を、もう一つのスペクタクルである映画が持つモンタージュの超越論的条件である反復と停止により働かせなくする可能性について論じており、同じくもう一つのスペクタクルである舞踊での「身振り」もスペクタクルという社会体制を破壊し、もともとある形で提示される可能性について論じているとのことである。

第Ⅲ部の「絵画をめぐって」は、それぞれの絵画についての評論15篇を収める。どれもアガンペン好みの一回転して理解するしかなさそうな絵画についてを題材にしている。彼のイメージ論にもとづく各評論は、それを還元する形で新たな芸術作品が試行されているともいい、イメージをもとのままで曝け出すというその企ては芸術分野での大きなスパイラルに昇華しているともいえるだろう。

精力的に芸術から哲学の分野を一体として思考するジョルジョ・アガンベンの可能性に今後も注視したいと思う。

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