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紙の本
理想の科学者と現実の科学者の差
2001/06/13 00:33
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投稿者:福田 健吾 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画やマンガに出てくる科学者像は、どういうわけかマッドサイエンティストである場合が多い。これらマッドサイエンティストの、最も古い人物の一人がメアリー・シェリーの小説フランケンシュタインの怪物を作り出したヴィクター・フランケンシュタインである。彼の名を関したこの本は彼に代表されるマッドサイエンティストがどのようにして成立したかを探る。
科学の黎明期、まだ科学が魔術とも哲学とも密接に結びついていた時代から科学が同伴者であった魔術と近い位置を保ちながら発達を遂げ、やがて哲学を切り捨てて機械的な自然観を打ち出した結果として現在の専門化され、一般人には近寄りがたいものへと変化していく過程が克明に描かれる。この歴史において、背景にあるのは魔術である。決して専門知識を持たぬ人々には科学が哲学を切り捨てていることを知らず(或いは忘れて)全能性を求めてしまう。病気になったら医者には絶対に自分を治して欲しいと望むのも、その一端やも知れぬ。
が、全能性があるわけも無く、それは見果てぬ夢に終わらざるを得ない。そこに、科学と別の道を歩み始めた魔術、オカルトが入り込み得る。そして、オカルト者達の語る神秘に求める科学者像がかぶってしまったとき、そこにマッドサイエンティスト像が成立する。こうして行きついてしまったマッドサイエンティストの実際の姿がオウム真理教の科学省幹部達であったのではないかという指摘は、大変興味深い。
本書はマッドサイエンティストの成立を追った歴史書と言っても良いかも知れぬ。
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