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紙の本

人それぞれのエロティシズム

2001/09/29 08:58

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YASU - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ミステリー、ホラー、SFといった様々なジャンルの12人の作家達がエロティシズムを軸に描いた短編集。

 私の場合、作品に触れたことのある作家とこれまでに全く縁のなかった作家が半々であったが、全編を通して新鮮さを味わえた。
 牧野修氏の「インキュバス言語」に関しては、その手に関しての言葉の羅列の部分が多いが、普段の氏の作品の方によりエロティシズムを感じられる様な気がする。これは、直接的な表現ばかりが色っぽいというわけではないのだということをあらためて知った一編だった。
 有栖川有栖氏の「恋人」は、全編の中でも独特の雰囲気を持った作品だ。そのフェティシズムに少々恐ろしさも覚えたが、実害のないところは有栖川氏らしい優しさを感じた。
 初めて目にした作家のお一人皆川ゆか氏の「荒野の基督」には度肝を抜かれた。こういうテーマでは女性の方が大胆になれるものなのか(賞賛しているのです)……かなり直球で倒錯的な世界を堪能できた。
 京極夏彦氏の「鬼交」は、いつもの如く独特の妖しい作品だ。直接的な表現もまずはなく、気怠い異世界といった空間を漂うような雰囲気は健在だった。
 
 とにかく色々なタイプのエロティシズムにあふれている本なので、きっと読者それぞれに気に入る作品は違うのだろうと思う。言葉であろうが、肉体であろうが、どういう箇所にエロティシズムを感じるかというのは結局は個人の感性であるように思う。

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2006/12/10 17:09

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2006/08/18 20:00

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2023/02/25 09:34

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