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紙の本
過去と現在をむすぶもの
2001/09/11 00:31
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投稿者:たけみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回はファッションに関しての本ではなく、ご自身の少女時代の記憶やご両親など家族との関係を感受性豊かに描いた、エッセイ的短編集です。
誰しも幼少の頃は家族の影響を強く受けます。 また成長すると性格面や学業面など色々な面で自分に向けられた親の期待と自分の本来の性質との乖離を感じ、家族そのものから確固とした理由もなく遠ざかりたくなるものでしょう。
著者が25歳の際に著者の父親が亡くなってしまわれたことにより、今まで反発してきたことや父親を理解してあげられなかったことに対する後悔をことさら感じてしまう。その感情を40代になり家族をもった著者がつづる文章には、思わず涙してしまいます。
私も今年で25歳ですが、ひとまわりも上の年代である両親が日々抱いている感情に対しては恐らく全くといっていいほど理解していないでしょう。ましてや子供である自分に対して両親が抱く感情などは理解しようもありません(子供もいないですし)。
でも理解していようといなかろうと、今の自分の背後には両親や兄弟との交流や影響があり、それを好きであろうと嫌いであろうと切って捨てることはできないものなんだなあ、それであれば大事にするほうが幸せだよなあ、などということをこの本を読んで感じます。誰しも家族に複雑な思いを持っているんだと感じる本でした。
また著者が自分自身に対して「生意気で気が強い」と思っているという点も、その著作から日々の生活を楽しむ繊細な感性をもった人であるという印象を著者に対して持っていた私からすると驚きでした。でも、著者の「気の強さ」は自分の価値観や好みをかたくなに守ってしまうということであって、その価値観に基づいて色々なことに感性が働くのですから、気が強いということと感受性が豊かということは矛盾しないのかもしれませんね。
過去を踏まえて現在を満たしていく、という意味で「現在」が実りを待つ季節なのかな、とも思いました。
著者の文章力の確かさや著者の背景など、色々な面を垣間見ることのできる一冊です。
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