紙の本
激動の歴史ドラマと恋愛悲劇
2002/08/08 03:27
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投稿者:土星のご隠居 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は面白い。一気に読んでしまった。1968年のチェコスロバキアにおける社会主義を保ちながらの民主化運動、いわゆる「プラハの春」。主人公である在プラハ日本大使館職員青年と美しい東ドイツ出身の女性との恋愛をからませ、鮮明に「プラハの春」の激動を描ききる。作者は本当に当時在プラハ日本大使館に勤務していた外務省職員なのだそうだ。歴史的背景についての説明も詳しく、予備知識がなくても充分楽しめ、歴史への興味が湧く。美しいプラハの街をいつの日にか探訪したい気分になる。
紙の本
1968年チェコスロバキア
2002/07/22 12:58
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投稿者:みひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「プラハの春」
世界史の授業では「民主化運動」と「ソ連の軍事介入」ということだけで終わってしまう。
なぜプラハの春が起こりそして潰されたのか。
その当時外交官としてチェコにいた筆者が「事実を基にしたフィクション」として描いているのが本書である。
歴史を記録している作品として読むのもよし、日本の外交官堀江亮介(これは筆者であろう)とカテリーナの悲哀の物語として読むのもよし、読み手側の受け止め方次第であろう。
「日本国民である本パスポートの所持人を通路故障なく旅行させ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する」と記載されているパスポートの保護要請文から当時除外されていたのは北朝鮮と東ドイツ。
その東ドイツのカテリーナとリョウの数奇な運命は…。
2002年、宝塚歌劇星組によって舞台化された。
紙の本
本日のお勧めメニューは、外交の恋愛包み揚げ。
2004/06/30 00:50
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投稿者:Ryosuke Nishida - この投稿者のレビュー一覧を見る
冷戦終結直前期のプラハにおける民主化運動=プラハの春と外交官堀江亮介の恋愛をからめて描く歴史小説。作者が元外交官と言う事もあり、史実、国際情勢の分析が詳細で臨場感があるにも関わらず、巧みな恋愛エンターテーメントに仕上げてあり勢いで読める。現代世界史の概観にもいいかもしれない。下巻と続編『ベルリンの秋』上下巻に続く。あえて難点をあげるとすると、だらだらと続くナルシシズム的なセックス描写がくどい点か。
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日本人青年外交官の堀江亮介と東ドイツの反体制活動家カテリーナ・グレーべが出逢い、歴史の大きな歯車に翻弄されながらも一途に純粋に互いを愛する姿に胸が熱くなった。
宝塚で上演されるのをきっかけに予習用として読んでみたけれど、これを読んでいなければ私はチェコスロバキアという国の辛く悲しい歴史を知る事は無かったかも知れません。
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ヨーロッパをバックパックを背負い回って一番好きな街になったプラハ!一度、その美しい街を訪れた方はぜひ読んでみてください。街の歴史がわかります。
悲しいラブロマンス。
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上下巻あわせた感想。
チェコ・・・激動の戦後を経験した国。
百塔の街と呼ばれるこの街でかつてこんなことがあったなんて・・・といった衝撃です。
民主主義の希有さを改めて認識させられます。
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冬の厳しい社会主義国に訪れた一瞬だけ訪れた春のような自由化の波。
はかなく散っていく姿にせつなくなります…
「ワイルド・スワン」と同じく、社会主義国家中枢の残虐な弾圧は、もう、目を覆うばかりです。
ひとって信じるもののためには、そして信じていなくてもただそこで生き残るために、感情や自分を消したり押さえたりできるんだなと、おもいます。
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プラハに行く前に読んだ本。
作者が外交官として当時のプラハにいた経験からか、
あまりに共産主義国に対して口汚すぎる気がします。
あと、しょうがないんだろうけれども、「美人」の表現がなんか古い。
でも、クライマックスあたりはとてもテンポが良い。
革命期のプラハ市民の活動には胸を打つところがあります。
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レビュー200越えを記念して再び自分が非常に印象に残っている本を紹介します。
プラハの春という言葉(出来事)をご存知でしょうか?
世界史を学んだことがある人はきっと知ってるでしょう。
第二次世界大戦後にアメリカ、ロシア(資本主義と共産主義)の陣営に分かれて冷戦がはじまりました。両者は互いを敵としてパワーバランスを保ってきましたが、だんだん共産主義陣営の国でも民主主義に移行しようという運動が市民を中心にして行われました。
当時チェコスロバキア(現在はチェコとスロバキアに分かれた)でも同じように民主化運動がなされ、冷戦の雪解けがあるように思われました。
しかしロシアの意向によりワルシャワ条約機構軍が侵入し、この運動を打ち砕くという事件がありました。1968年のことでした。
これがこの小説の背景です。
主人公は日本大使館書記の堀江亮介です。彼は、東ドイツの反体制派(民主化運動をしている)カテリーナ・グレーベという美しい女性と出会う。
互いに愛しあっていく2人は時代に大きく翻弄されていく。
著者の春江一也さんは元外交官で、プラハの春を体験した人です。ソ連の侵攻を日本に打電をしました。この体験を元に書かれているので小説だけでなく歴史としても面白さがあります。
僕は泣ける小説なんて謳い文句はだいたい信じてませんが、こればかりは本当に感動できます。東欧、ヨーロッパへの興味を持ちました。
この本を知ったのは受験生の時に使った『川本センター政治・経済講義の実況中継』で、著者である川本先生が自分が読んだ中でベスト3に入る小説と書いてあったのキッカケです。
当時、浪人生でしたが代ゼミの帰りに古本屋で買ったのを覚えてます。
僕は何か小説を一冊紹介してくれと言われたら迷いなくこれをおススメします。
実は続編もあって『ベルリンの秋』というのもあります。プラハの春を読まれた人はぜひこちらも同じくらいおススメです。
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1968年冷戦時代ドゥプチェク政権の元腐敗し停滞する従来の社会主義の改革(プラハの春)を推し進めようとするチェコスロバキア。それを軍事力によって阻止しようとするソ連とその周辺諸国。そんな歴史の激流の中27歳の在チェコスロバキア日本大使館の書記官の亮介とドイツ民主共和国(西ドイツ)の反体制活動家カテリーナの恋を描いた史実に基づいたフィクションでした。
主人公の亮介が27歳で僕とほとんど変らないからある程度共感しながら読めました。同時に本当に27歳?と疑うほど知的で冷静で情熱的で・・・。フィクションと分かっていながら絶対にこんな人なんてたくさんいるはずとかおもってなんだか28歳でありながらまだまだ未熟な自分を感じてしまった。またこの本からは気品あふれるプラハの町並み、静かに流れるモルダウ川などまだ見たことがないプラハの町並みが浮かんできました。いつか行ってみたい場所です。
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大学の先生からいただいた本
まだ上巻しか読んでいないけど
この本には他の本と違った魅力があると思う
小説なのに、小説とは思えないリアリティ。
作者が元外交官で実際にスロバキアにいただけに実はノンフィクションなのではと思ってしまう。
歴史の勉強にもなる
そして何より国を超えた愛。
叶うはずのないその愛が叶うといいなと願ってしまう そして平和の素晴らしさ、歴史の難しさを知る そんな本です。
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1968年、民主化運動に揺れるチェコスロバキア。反体制側にいる女性に恋してしまう、外交官・堀江。歴史の深さと愛を絡め取った秀作だよ。現役外交官が書いたってんだから実話に近いのか?
プラハとか気になる人、これはぐんぐん読んじゃう。続編もあるしー。
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これがあるとプラハが倍楽しめるはず!
土地の名前もお店も名産も書いてあって、
実物を見ると興奮する。
複雑で解らずにいた、この頃の情勢もだいぶ解りやすく書いてある。
カテリーナにまつわる表現がすてき
自分にしては分厚いのを読んだけど、
割と難なく読めた。
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本職を別に持ちつつ書いたものとしては、とても良く書けている。ヨーロッパ行きの飛行機の中の時間潰しとかに最適だろう。
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歴史にも政治にも疎くて、情けないけれど「プラハの春」だってほとんど言葉しかしらなかった。関係が難しすぎてアタマがパンクしそうな世界だし。でも、物語に埋めて、解るように書いてあれば(とても簡単に整理されていたとしても)、やはり歴史の重み分の面白さはあるのだった。
この小説は、「プラハの春」当時、外交官としてチェコスロバキア大使館に在勤していた著者が、体験をもとに書いた処女作。カテリーナとの恋はともかく、そのまま堀江亮介の
視点をもって過ごしていたのか? 「体験をもとに」と知れば、あの激動の時を、外交官として母国の国益のために働く気持ちはどんなだったか。行間にも多くの思いが詰まっていそうな気がする。
横軸が歴史・政治なら、縦軸は紛れもない人の生き方。真摯に生き抜こうとする人々の葛藤の中にすごい力を感じ、引き込まれた。外交官という仕事も大使館の役割も初めて知ったような……。
そんな硬質な展開の中、オアシスのように、時に音楽の話が実に美しく語られる。クラシック音楽にも疎い私だけれど、その情景にうっとり。図書館に行ったついでに、CDコーナーを覗いたらスメタナの「わが祖国」があった。見れば、作中と同じノイマン+チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のもの。ウォークマンに入れて(スピーカーで聴くより何倍も音が良い)、機会ある毎に楽しんでいる。出だしのハープの部分を聴いただけで、もうアタマが別の世界に行ってしまいそう。
以前ものすごく感銘を受けた小説「存在の耐えられない軽さ」のミラン・クンデラの名が一カ所だけど出てくる。この後はこの小説とリンクするのか……とかいろいろ想像される。