紙の本
自転車を考え、主人公の元気に励まされる
2009/05/24 21:24
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本編は高杉良の企業小説である。企業小説の中でも明確にモデルのある作品である。しかも、モデルの会社名、人物が実名で登場する。ただし、全てが実名というわけにはいかない。こういう小説もあることはたしかであるが、珍しい部類に入る。それだけに、十分な取材とモデルになった方々の同意を得た上の出版であろう。
モデルは自転車の分野では知る人ぞ知るホダカ産業という会社である。戦後しばらくは自転車は成長産業であり、作れば売れた時代であった。この分野にも大手があり、鎬を削っていた時代である。現に厳しい競争に敗れて倒産した会社もある。私が子供の頃に親に買ってもらった自転車を製造した会社はその一つである。
自転車にもそれぞれの会社の特徴があったのだが、あまり時間を置かずにいわゆるコモディティとなり、価格競争の時代に突入した。市場の動きに敏感になり、活路を見いだせなかったところは市場から姿を消していった。
本書の主人公は営業マンとして頭角を表わし、その抜群の能力を生かして脱サラの上で、この自転車産業に飛び込んだわけである。本書ではその出世物語とともに、私生活での葛藤も描かれており、全てが順風満帆ではないところも合わせて主人公の人生を語っている。
現在ではこのようなモデルを探しても、あまり適材が見つからないのではあるまいか。読後の感想として、まさに高度成長時代の出世物語のような気がした。さらに、主人公の人柄か、後援する人が必ず出てくるところに人徳があるのかも知れない。応援したいと思わせるものがあるのだろう。信頼とか信用といったものを人に抱く理由が例示されているような気もする。
現代は、10万円もする高価なモーター付きの自転車が売れるような時代であるし、自転車対歩行者の事故が急増する時代でもある。本書で描かれている時代とはかなり自転車という交通手段の位置付けが異なる時代ではある。付加価値も高まり、利用の仕方も異なる。自転車というモノの時代変遷を考えるとともに、主人公の元気の良さに励まされた。
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高杉良作品「勇気凛々」
高杉良作品の実名・実話小説です。
自転車製造、販売会社「ホダカ」の創業者 武田光司が
サラリーマンから独立、最初は赤字続きが続くが
持前のガッツさ、熱い魂で多くの苦難を乗り越え
成長していく姿を描いた作品。
私が一番印象に残っているのは
数行のみだが武田光司とイトーヨーカ堂 伊藤雅俊会長との出会いの場面。
そこで伊藤雅俊会長の懐の大きさ、そして何より
「お客様が第一」という考えがうかがえる。
ホダカだけではなく、イトーヨーカ堂の成り立ち成長も
描かれている小説なので
大企業が大企業になるまでの過程
はたまた今、この時代に転職、裸一貫で独立をしようとしている人に
うってつけ「勇気がリンリン」する一冊である。
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高杉良の本の中でも上位に食い込める本だと思う。
働き始めてからまた読み直したいと思える本。
「時は流れるものではない、時は積み重ねるものだ。」
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以前に高杉良さんの『青年社長』を読み、続けてブックオフで購入し、積読となっていた作品。
高杉良さんの作品は企業や業界の不正や腐敗を暴いたものより、創業者を主人公とし、起業して様々な困難に立ち向かいながらも主人公と企業が人間として、公器として成長していく姿を描いた作品がいい。もっとも企業や業界の不正や腐敗を描いた作品には一切手をつけたことがないが。。。
この小説(※登場人物のほとんどは実名で、フィクションに近い)で「ホダカ」という企業を知った。自転車のメーカー・卸を手掛けている埼玉の企業だが、自転車業界で有名な企業は部品メーカーとしての「ブリヂストン」、小売り、SPAの「あさひ」くらいだったので、この小説を通して熱い魂を持った創業者が作った会社を知れたことは喜ばしい。
小説としても面白い。中には「イトーヨーカー堂」創業者の伊藤雅俊さんのエピソードもでてきて、高度経済成長期を支えた自分の親世代の奮闘が垣間見える。
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主人公に感情移入できなかった。浮気したり自分勝手だったり、、、周りにいたら迷惑なタイプかも。しかも伊勢丹の社長や部長に比べて器が小さいのが致命的。
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自転車の卸売りメーカーホダカを創業した武田光司氏を題材にしたノンフィクション小説。読後かなり経過しており感想はほとんど持ち合わせてないが、残ってる印象として人とのつながりが暖かい。大変なときには誰かが優しく手を差し伸べてくれて、また武田氏も友人が困ってるときには助けた。こういう人間関係を築けていけたらと思う作品だった。
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やはり実在の商社がモデルの小説です。
企業とはこういうものという勉強にはなるので
良いのですが・・・。
ちょっと食傷ぎみですね。
高杉良の小説を続けて読みすぎました。
・・・読了していてブログに上げていないものも結構あるので・・・
ただ、全てを読んだわけではないので、
間隔を開けて読んでいこうかと思います。
そうそう、今まで読んだ作品を通して成功した企業や
企業人(サラリーマン、経営者)には共通点があって、
1.協力者がいる。あるいは信頼できる人脈、人物がいる
2.目的意識、目標意識がはっきりしている。
3.部下、同僚、上司に恵まれている。(1.に通じることですが・・・。)
4.地位に固執しない。
など。
見習うべきですね。
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和民の渡邉社長を描いた「青年社長」に似ているスタイル。
今回はホダカとイトーヨーカドーが主な登場人物。
ベンチャーからバブルを乗り越え会社を大きくしていく
サクセスストーリーの姿を叙述に描いている。
成功へと導くまでの失敗談や裏切りなどもリアルで
勉強になるが、やはり重要なのはキーとなる人との
出会いとその後の付き合いの仕方。その部分を
非常に強く主張しているような作品だったかなと。
ただこういったノンフィクション作品は登場人物の
功績などの要約が通常よりも増えて、小説としては
ストーリー展開も踏まえあまり読みやすいものでは
なくなってしまうのが少し残念。
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自転車屋を立ち上げて成長させていく話。実話ベースらしい。関係者を美化するような話で、経済小説・企業小説としてはあまり面白くない。20点。