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紙の本

新自由主義を批判する

2001/06/01 18:49

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ミゾ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「ホームレス」とよばれる人たちを、バブル崩壊後に駅構内や公園でよくみかけるようになったという経験ならば多くの人がもっているだろう。社会福祉を専門にする著者は、90年代に入って日本の都市部で急増し始めた「ホームレス」について、地道なインタビュー調査を行っている。本書はその調査資料を豊富に紹介しながら執筆されている。
 本書が問題とするのは、「ホームレス」それ自身ではなく、「ホームレス」を通じてみえてくる「ホームレス」を生産・再生産するような現代社会の構造と価値である。というのも著者がみるところ、「ホームレス」とは決して本人の自由な選択の結果出現するのではなく、労働市場や社会保障制度の仕組みといった現代社会の構造に規定されて出現するものだからである。以下、本書を要約しよう。
 最初に「ホームレス」状態を定義するための理論的考察が行われる。社会に一本の貧困線を引き、それより下層の状態を「普通」の貧困であるとすれば、「ホームレス」状態とは、もちろん「普通」の貧困とも共通点があるが、それだけでは捕捉できない特殊性をもつ。その特殊性とは社会から排除されているということである。そのことを導出するために、著者は本書の副題でもある「生きていく場所」という概念を準備する。「生きていく場所」の「場所」とは、「ホーム」や職場といった物理的・地理的概念であるだけでなく、人が生きていく上で取り結んでいく家庭での家族関係、地域での住民関係、職場での労働関係といった社会的関係における個人の位置=位相を指す概念として使われている。そして「ホームレス」状態とは、(1)「ホーム」を喪失しており、その結果、(2)人目にさらされやすい「可視的」な貧困であり、(3)社会=「生きていく場所」から排除されている、そうした状態のことであると定義される。また、「生きていく場所」は競争と変化の渦中にあるが、現代社会とはこの競争と変化が激化した時代であり、その中で「生きていく場所」の「確保事態がますます個人の責務に委ねられ」(本書24頁)ている社会である。そして「ホームレス」の出現はその結果であるというのが著者の認識である。
 エピローグでは、今後の望ましい展望が示される。90年代後半から日本でも行政側の「ホームレス」対策として「自立支援」といった方針が打ち出されてきている。その内容は、「労働自立」モデルと「福祉自立」モデルの2つに類型化されているが、ここでの「労働自立」とは、一般労働市場への参入が想定されており、「ホームレス」の人々がすでにそこから排除されてきた人であることを考えれば、これは現実味に乏しいと著者は判断している。それに替えて著者が提案するのは、労働か福祉かという排他的択一を止揚して、「半就労・半福祉」といったあり方を模索するなど、「ホームレス」の人ではなく「われわれ」の社会の既存の枠組みの方をこそ変更することである。
 さて、感想を述べよう。著者は日本社会の実体面とイデオロギー面の双方で観察される、<諸個人を市場経済のプレイヤーとして主体化する>という昨今の変化こそが、「ホームレス」を生産・再生産している最大の要因である、という認識を示している。評者がみるところ、これは理論面で、市場経済のロジックが全面化すると逆説的にも市場経済自体が機能不全に陥り、そこから落ちこぼれてしまう人を産出してしまう、とする最近の金子勝らの議論とも無理なく繋がるものである。こうしてみると、昨今の新自由主義的潮流に対し具体的批判をした著作として本書を評価することができるだろう。

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