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紙の本
小振りとはいえ「全作品」「部分拡大」も載っており、「解説」も斬新、廉価
2000/07/09 17:17
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投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フェルメールは、なぜか周期的に「ブーム」が訪れる。今回は何度目かは知らないが、画集や研究書が目立つ。良い傾向だ。ヤン・フェルメール(1632〜75)は、オランダのデルフトに生まれ、同地で没した画家である。1655年、画商だった父の死後、市庁広場にあった店を継ぎ、商売を始める。しかし画家としての経歴は、1653年、画家組合に登録されたところまでは分かっているが、その後は謎に包まれており、いまなお不明のまま、従って、彼の手になる作品はわずかに35点、それも大半は小品ばかりである。19世紀半ば、トレの研究によりフェルメールの偉大さが発掘され、今日では「明るく深い色彩、静謐な構図、宝石のように画面」と、高く評価されている。「初期作品『女衒』などはユトレヒト画派やカレル・ファブリティウスなどの影響が見られるが、その後の室内画及び若干の寓意画、風刺画では<物語性>が排除され、客観的かつ精妙な描写に支えられた透徹した美が達成されている」と『新潮世界美術辞典』にあった。ぼく自身もフェルメールが好きで、中山公男編著『フェルメール全作品』(中央公論社)まで持っているが、この画集、大判で重くもあり、滅多に開いたことがない。そこへいくと本書は、小振りとはいえ「全作品」「部分拡大」も載っており、「解説」も斬新で、とてもよく出来ている。1800円との廉価も実に有難い。中でも「1章 端正な室内はいかに構成されたか」(小林頼子)、「3章 フェルメールの絵画に聴く音風景」(藤原怜子)、「4章 画中画は語る」(阿部純子)などを面白く読んだ。『フェルメール論』(八坂書店)、『フェルメールの世界』(NHK 出版協会)の著書もある小林頼子は最後に、「作者を問われる四点の絵」を挙げ、(1)『ダイアナとニンフたち』、(2)『聖女プラクセデス』、(3)『赤い帽子の女』、(4)『フルートを持つ女』を真作ではないと書いている。特に(1)を真作でないとするのは著者一人、(3)も真作とする研究者が多いらしい。その理由は「前二著」にあるというので、この二著も是非読んでみようとの気になった。(3)(4)は、ぼくもワシントン・ナショナル・ギャラリーで見たが、今回、著者の掲げる写真をじっくり眺めると、二人のモデルは同一だが、「顔付き」がフェルメールものではないような気がした。
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