紙の本
ゴシップとガイドとドンキホーテ
2000/07/19 04:47
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投稿者:ぴょん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴシップ的好奇心を刺激し、なおかつ本の購買ガイドとして使える、となればやはり買う価値はあるんじゃないかな。
例えば、ゴシップに関して言うなら、作品評などについて著者に激しい反論をぶつけた柳美里の評価は何点だろう、とか、政治的姿勢が似ているように見える石原慎太郎はどんなふうに評価されているだろう、とか、こちら側が勝手に想像を逞しくして楽しむ要素は結構ある。そして、もちろんブックガイドとしたって使えないことはない。そもそもそのための本だしね。
ただ、僕が疑問に思うのは、著者があちこちのインタビューなどで語る動機のほうである。要約すれば著者は、文学というものに対する共通の審美眼の再構築を目標の一つにしており、この本もそのために投じられた一石ということらしい。
けれども、ホントにそんな価値観の再構築が起きるのだろうか? 崩れたものは残念ながらもどらない、という実感を持つ僕としては、そこが一番信じられない。まあ、それは考え方の相違ということなんだろうけれど。
ともかく、そんな著者のドンキホーテ的(サンチョを思い出すのは禁止)チャレンジとして、読めば、それはそれで面白い。
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これは秀逸ですねー。作家もすごいが、出版社もすごい。とても率直に、辛口に評価しています。あの作家がこんな点なんて……と驚く場面続出。思わず読みたくなる本急増。
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ミシュランガイドのように判りやすく、身も蓋もなく、現代エンターテイメント作家と現代文学作家100人の作品を点数付けをし、発売された当時話題を呼んだ本です。
一人の作家につき平均六作品ずつ批評してあるので、まさに本を選ぶときのガイドになります。
では中でももっとも私の心に残った一文を抜粋しますと・・・六本木で雨の中で酔いつぶれている男に、「あんた、ハッピーじゃないじゃない」などという言葉使いでオートバイに乗った娘が声をカかける・・・こうした光景に耐えられるのなら、あなたは藤原伊織の作品に近づくことができる・・・
で、できない・・・
ちなみに各作品は点数付けがされていて、90点代の作品は世界文学の水準で読みえる作品。30点以下は人前で読むと恥ずかしい、もしも読んでいたら秘密にしたほうがいい作品。などと細かく面白く分類されてます。もちろん上記の人の作品は・・・
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ぽっちゃりだけど実は若手の論客にして書評家の福田和也が存命の作家100人(エンタメ&純文両方)の作品計数百点に点数をつけてみるという壮大な企画。これは・・・勇気は買うが正直あんまり面白くない。というのは100点満点でつけられても、1点の重みがわかんないから。それからいろいろ極端なんだよなあ。あと石原慎ちゃんをベタ褒めするのは何か政治的配慮を感じる。つまり何が言いたいかというと、点数評価という極端なやり方と、大胆に切る彼のキャラが合ってない。キャラが点数評価を選んだのかもしれないけど、普段おとなしい人がやれば面白いけど、普段から意気軒昂な人の点数なんかあんまり楽しくない。「後発で皆がやってこそ意味がある」と言っているのは分かるけど、それなら最初から共闘して何人かでやればよかったんじゃなかろうか。自分の好きな作家を酷評されて(例えば船戸与一とか)怒るのは芸がないけど、その基準のあいまいさゆえいに、腑に落ちない書評になっているのは確か。池澤夏樹の酷評は自分の感想に確認ができてよかったけど、読んだことある本で「それは言いすぎだろう」というのは多い。村上春樹の最高傑作はねじまき鳥クロニクルだというのに異論はないが、全般的に長編ありがたがりすぎな気もする。とりあえず漢字の勉強になったのでよしとする。もっと落ち着いた書評家にやってほしい。ってそんなのいないか。
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いきなり読むと筆者の好みもあるのでブックガイドとして頼るとその後の読書傾向に影響が出そう ただし筆致は冷静だし単純に読み物として面白い 悪趣味といえば悪趣味だがこういうことも重要
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発行当時の出版事情を知る上での良い資料。
発行当時に健在である主要作家を、エンターテイメントと純文学にわけて代表作と共に紹介。
評論家の著者の、褒めるだけではなく、時には厳しく辛辣な評価を、点数付で読める。
その評価に賛同するか否かは別として、本選びの手引きともし得る一冊。
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賛否両論ありますが、日本文学界を俯瞰する為の手引きになります。
山田詠美『色彩の息子』に出会えただけでも読んだ価値はありました。
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有名作家の代表作が100点満点で点数付けされていて、ブックガイドとしてよさそう。高橋源一郎の『さようなら、ギャングたち』が気になった。
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現代日本の作家を100人選び、その作品群についてそれぞれ100点満点で福田和也が評価する。
私はブックレヴューとして活用しています。本を買う時の参考にしたり、作家のバックボーンを調べるのにとても役立つと思います。
この本については賛否両論ありますが、私は賛成です。
ただ、ちょっと内容が古いのでこの10年で伸びてきた作家や発行された作品をカバーできていません。
わざわざ新しいのを買う必要はないが、古本屋で見つけたらぜひ買ってほしい本です。損はない。
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「悪の・・・」シリーズの作者ということでこの本を見つけました。ここまで赤裸々に(得点までつけて)文学作品を批評した本を私は他には知りません。なのである意味とても貴重な本だと思います。個人的に好きな作家だった池澤夏樹や島田雅彦を批判されたのは少し納得がいきませんが(^_^;)
2000年発行の本ですので最近の本についても批評したものが読みたいです。
読んでみたいと思った本
小島信夫「うるわしき日々」
山口雅也 「生ける屍の死」
佐伯一麦 「ア・ルース・ボーイ」「木の一族」
矢作俊作 「あ・じゃ・ぱん」
町田康 「くっすん大黒」「夫婦茶碗」
有栖川有栖 「46番目の密室」
北杜夫 「楡家の人びと」
吉行淳之介 「暗室」
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こういうのに高評価ってのもナンセンス、って思いながらも、好きなもんは好きだから仕方ない。20年以上もBURRNを愛読しているのも、レビューの存在が占める部分が少なくないし。ただまあこの本がやや弱いなって思うのは、同時多発的に複数人がレビューしていない、ってところかも。一人の意見をして”ああそうですか”は危険だし、また著者もそれを望んではいないだろうけど。ただの模倣はダメだろうけど、他の筆者による類書が見てみたいと思いました。あと、ここで世界水準と讃えられるほどの高い評価を得た作品群もかなり興味あり。ブックガイドとしても使えますね。これから先も、繰り返し手に取ることになりそう。
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50の作家の作品について100点満点で点数をつけて評価するのは野心的で面白い。著者はその作品に「文化的に意味があるか」、「テーマや手法に新しさはあるか」で判断を行っており、必ずしもエンターテイメント的に面白い作品が高得点なわけではない。その点は注意すべき。
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1ページ1ページ丹念に読み込む本ではないよと周りに笑われながらも全ページ読んだ。
当代きっての批評家の評価が100人分読めるわけで、これほどありがたい本もない。
矢作俊彦の評価が高かったのが嬉しかった。
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ずいぶん昔に買ったんだけど、たまに再読。なので新しめの作家はいないよ。
エンタメ、純文学に分けて、作家を論評。
えー、この作家好きなのにー
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本書の目的と「ブクログで誰かをフォローする目的」は重なる。外食店選びの「Retty(レッティ)」と同じだ。(高級レストランを探すわけじゃないので「ミシュランブックガイド」ではないし、みんなの評価を確認したいわけじゃないので「食べログ」とも異なる)
胃袋と予算、大事な人と過ごす時間などの制約がレストラン産業にあるように、読書においても何より時間の制約は大きい。
「評価」という風雪に20年以上耐えて「傑作」ポジションに辿り着いた作品ほど図書館に集まるのである。現代小説はこれらの日々増え続ける傑作たちと忙しい現代人の可処分時間を取り合う代替財なのだ。
だから、センスが評価されている人が、自分への評価を賭けて、あえて文化的作品に点数をつけるという蛮行を冒してくれている水先案内人はありがたい。
僕は小説に限らず、経営、哲学、歴史、経済学、心理学、社会学、数学、プログラミングなど、ブクログで「タグ」管理しているあらゆる概念において「○○の教科書」「○○図鑑」「○○事典」の類を最初に通る。
そのフィールドの広さを上空から眺めてから、実生活にその考え方の導入を試みようと着陸するのだ。実際の経営に踏み出したり、相手の言動を哲学や心理学の文脈から、あるいは社会現象を歴史や社会学のフィルターを通して読み解こうとする。
現代小説も同様に著者の世界観や文体に触発され、背中を押されるように自分の生活を見渡して自分の感受性のセンサーの解像度をあげようとしている。