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脳と生命と心 みんなのレビュー

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みんなのレビュー2件

みんなの評価4.4

評価内訳

  • 星 5 (0件)
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  • 星 1 (0件)

高い評価の役に立ったレビュー

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2001/02/10 15:14

熟読玩味すべき書

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 脳や生命や心をめぐる現象と認識について考えるとき、「from soup to nuts」という語句が威力を発揮するのではないかと思う。たとえば、茂木氏の志向性の概念を「from 〜 to 〜」と、クオリアを「〜」とそれぞれ対応させ、計見氏のいう肉体もしくは内臓(「こころ」とその枕詞である「むらぎも」の語源がともに内臓の意をもつことから)や団氏の「物質の雑音状態」等々を「soup」に、そして郡司氏、池田氏が論じている記号(郡司氏の場合はサインでなくシンボル)や団氏の「生命=安定状態」等々を「nuts」に関連させることで、本書全体のラフな見取図が描けそうだ。

 あるいは、質料から形相へ、可能態から現実態へ、普遍性から個別性へ──そしてギリシャ語の「ヒュポスタシス」(サブスタンスにつながる「実体」の意味とともに「固体と液体の中間のようなどろどろしたもの、濃いスープ」の意味をもつ)からラテン語の「ペルソナ」へ(坂口ふみ著『〈個〉の誕生』参照)──などと読み替え、これを、素粒子は豆を煮たスープのようなもので、それを観察すると煮る前の豆に戻る云々と天外伺朗氏が語っていたこと(茂木氏との共著『意識は科学で解き明かせるか』)と組み合わせることで、天外氏の比喩がもつ遡言的かつ反エントロピー的な含意も含めて、本書のもう一つのテーマである「物質の問題」(松野氏)を考える上で欠かせない視点が導かれる。

 さらにいうと、その経験の確立に時間を要し、つまり再現性が弱く、いいかえれば一回性や個人性の要素が強く、したがって同一性の特定が困難な触覚的知覚を「soup」に、本来触覚との協働を抜きにしては考えられないにもかかわらず、いったん成立すると身体性から抽象され、無時間性や再現性や反復可能性や公共性が強くなる傾向をもつ視覚的知覚を「nuts」にそれぞれ置き換えてみることで、分量・内容ともに本書の骨格をなす茂木氏と郡司氏の二つのセッションを架橋する軸をしつらえることができそうだし、本書のハイライトの一つである澤口氏と茂木氏の応酬がもつ意味を解き明かすヒントが得られそうに思う。もっとも、編者による簡潔にして要を得た総括が示されているのだから、これ以上、言葉遊びに類する駄弁を重ねるのは控えたい。

 それにしても養老氏の「まえがき」と「あとがき」は感動的なまでの刺激に満ちたもので、討議を終えて興味をもった根本的な問題として氏が綴る文章──「たえず変化していくものとしての生物というシステムと、それ自体は変化しないという性質を持つ情報とが、どのようにして関係しているか」──の含蓄を吟味し玩味するためにこそ、本書は熟読されるべきである。

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低い評価の役に立ったレビュー

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2000/10/06 15:21

さまざまな専門的見地から生命や心を探る。構造主義や脳科学界などの諸氏によるシンポジウムの記録

投稿者:ブックレビュー社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は1999年11月に東京大学で行われた,第1回養老孟司シンポジウムの記録である。参加者は,池田清彦,郡司ペギオ幸夫,計見一雄,澤口俊之,団まりな,松野孝一郎,茂木健一郎,養老孟司という,構造主義や脳科学界などで名だたる各氏である。
 主催者の養老氏は,特に主題をおかずに「絶えず変化していくものとしての生物というシステムと,それ自体は変化しないという性質をもつ情報とがどのように関係しているか」を,生命,時間,記号,伝達などを軸に探り,またそれらを全体として意識しながら各専門的な議論をどこに位置づけるかを模索している。一見複雑な議論になるか物別れに終わりそうなものだが,互いの立場を尊重しながら本音でぶつかり合い,生命や脳へのアプローチに新たな発見を醸し出している。
 普段,脳科学や生命,進化などの研究発表で個別に感銘することはあっても,そこからさまざまな事象とともに全体的にとらえることがどれほどできただろうかと考えると,本書の意義深さが強く感じられる。
(C) ブックレビュー社 2000

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紙の本

熟読玩味すべき書

2001/02/10 15:14

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 脳や生命や心をめぐる現象と認識について考えるとき、「from soup to nuts」という語句が威力を発揮するのではないかと思う。たとえば、茂木氏の志向性の概念を「from 〜 to 〜」と、クオリアを「〜」とそれぞれ対応させ、計見氏のいう肉体もしくは内臓(「こころ」とその枕詞である「むらぎも」の語源がともに内臓の意をもつことから)や団氏の「物質の雑音状態」等々を「soup」に、そして郡司氏、池田氏が論じている記号(郡司氏の場合はサインでなくシンボル)や団氏の「生命=安定状態」等々を「nuts」に関連させることで、本書全体のラフな見取図が描けそうだ。

 あるいは、質料から形相へ、可能態から現実態へ、普遍性から個別性へ──そしてギリシャ語の「ヒュポスタシス」(サブスタンスにつながる「実体」の意味とともに「固体と液体の中間のようなどろどろしたもの、濃いスープ」の意味をもつ)からラテン語の「ペルソナ」へ(坂口ふみ著『〈個〉の誕生』参照)──などと読み替え、これを、素粒子は豆を煮たスープのようなもので、それを観察すると煮る前の豆に戻る云々と天外伺朗氏が語っていたこと(茂木氏との共著『意識は科学で解き明かせるか』)と組み合わせることで、天外氏の比喩がもつ遡言的かつ反エントロピー的な含意も含めて、本書のもう一つのテーマである「物質の問題」(松野氏)を考える上で欠かせない視点が導かれる。

 さらにいうと、その経験の確立に時間を要し、つまり再現性が弱く、いいかえれば一回性や個人性の要素が強く、したがって同一性の特定が困難な触覚的知覚を「soup」に、本来触覚との協働を抜きにしては考えられないにもかかわらず、いったん成立すると身体性から抽象され、無時間性や再現性や反復可能性や公共性が強くなる傾向をもつ視覚的知覚を「nuts」にそれぞれ置き換えてみることで、分量・内容ともに本書の骨格をなす茂木氏と郡司氏の二つのセッションを架橋する軸をしつらえることができそうだし、本書のハイライトの一つである澤口氏と茂木氏の応酬がもつ意味を解き明かすヒントが得られそうに思う。もっとも、編者による簡潔にして要を得た総括が示されているのだから、これ以上、言葉遊びに類する駄弁を重ねるのは控えたい。

 それにしても養老氏の「まえがき」と「あとがき」は感動的なまでの刺激に満ちたもので、討議を終えて興味をもった根本的な問題として氏が綴る文章──「たえず変化していくものとしての生物というシステムと、それ自体は変化しないという性質を持つ情報とが、どのようにして関係しているか」──の含蓄を吟味し玩味するためにこそ、本書は熟読されるべきである。

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紙の本

さまざまな専門的見地から生命や心を探る。構造主義や脳科学界などの諸氏によるシンポジウムの記録

2000/10/06 15:21

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブックレビュー社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は1999年11月に東京大学で行われた,第1回養老孟司シンポジウムの記録である。参加者は,池田清彦,郡司ペギオ幸夫,計見一雄,澤口俊之,団まりな,松野孝一郎,茂木健一郎,養老孟司という,構造主義や脳科学界などで名だたる各氏である。
 主催者の養老氏は,特に主題をおかずに「絶えず変化していくものとしての生物というシステムと,それ自体は変化しないという性質をもつ情報とがどのように関係しているか」を,生命,時間,記号,伝達などを軸に探り,またそれらを全体として意識しながら各専門的な議論をどこに位置づけるかを模索している。一見複雑な議論になるか物別れに終わりそうなものだが,互いの立場を尊重しながら本音でぶつかり合い,生命や脳へのアプローチに新たな発見を醸し出している。
 普段,脳科学や生命,進化などの研究発表で個別に感銘することはあっても,そこからさまざまな事象とともに全体的にとらえることがどれほどできただろうかと考えると,本書の意義深さが強く感じられる。
(C) ブックレビュー社 2000

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