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紙の本
超能力があれば
2002/01/19 00:25
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投稿者:たむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
超能力が特殊だ、と思うのは、ぼくらには超能力がないからだ。手があれば物をつかむだろう。眼があれば物を見るだろう。念力放火能力があれば、物を燃やすだろう。そういうことなのだと思う。
あるいは、足がなくなれば歩けない。心臓がなくなれば死ぬだろう。では超能力がなくなれば…。
超能力が、超能力者自身にとっては特殊でもなんでもないからこその、苦しみや哀しみもあるのだ。そう気づいたとき、この本をSFとは呼べないようになった。
紙の本
ここから始まった
2004/07/16 07:37
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投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
「鳩笛草」宮部みゆき。「朽ちてゆくまで」「燔祭」「鳩笛草」の中短編3作からなっています。主人公が全て超能力者として描かれています。超能力者の悲しい過去、超能力者の犯罪者、超能力者の刑事とそれぞれ立場を変えたパターンで書かれ、「燔祭」はのちの作品「クロスファイア」に繋がって行くようです。
超能力で物事を解決していくようなお手頃ストーリーではなく、それぞれテーマを持ちながらのミステリー仕立てで楽しめます。中短編は余分なところを省いて凝縮されたストーリーで程良く区切りがつけられて読みやすいですね。一気に1編ずつ読めますものね。読み終えた今「理由」であったり「模倣犯」など近作品に通ずる底流が見えてきて面白かった。満足できる1冊ですね。
紙の本
平凡な超能力者
2002/06/29 10:57
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投稿者:塔ノ上 - この投稿者のレビュー一覧を見る
特殊な能力を持った女性が登場する、三つの短編が納められている。能力があるゆえに、その能力が、あまりに、人生のおおきなウェイトを占めるために、彼女達はそれに翻弄されてゆく。そのなかで、懸命に自分の本当の姿を探そうとする彼女達が見えてくる。「超能力者」と言えば聞こえはいいが、実際そんな力が、ごく平凡な生活をおくる人のなかに存在したら。それは、大きな枷となって、その人の人生を狂わせてしまうのかもしれない。しかし、彼女達のように、特殊な能力というものではなくても、誰しも、なにかの枷を引き摺りながら生きているものである。そういう意味で、この三つの作品は、特別な人々の物語ではなく、ささやかに毎日を生きる私達にも、充分に共感できるものだと思った。
紙の本
こんな能力があったなら
2001/09/20 13:04
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投稿者:はなきち - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本に収められている話の主人公(そうではない人もいるのですが)は、特殊な能力を持っているが故に、悩み苦しみ、そして自分のすすむべき道を模索しています。その能力をどう使うかは、彼女達の心ひとつで全く違ってくるのですが、簡単には割り切れないものなのでしょう。個人的には鳩笛草が好きなのですが、それは能力を失いつつも希望を持つ未来に落ち着けるから。燔祭は悲しい結果が見えてしまうので(「クロスファイア」を先に読んでいるため)辛いですね。
彼女達の悲しい運命に触れてみませんか?
紙の本
基本的「宮部ワールド」の世界
2001/08/13 02:01
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投稿者:浅倉南 - この投稿者のレビュー一覧を見る
期待を裏切らないミステリアスでどこか人間的で、結末は悲しささえ覚える3部作です。表題作は読心術を持った女性刑事の物語で、その特殊能力を兼ね備えた故の不安と恋心に揺れる普通の女性の感覚が非常に絶妙に描かれています。「宮部ワールド」にでてくる主人公は本当にこういう人がいるんじゃないかと錯覚を起こさせるような、現実的な話の展開がとても好きです。
紙の本
超能力者の苦悩とは
2000/08/16 03:23
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投稿者:コウちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
超能力者を中心とした三作品。
『朽ちてゆくまで』は、ふとしたことから自分が幼い頃、超能力者だったことを知り苦悩する主人公を描いた作品。やがて精神的に追い詰められ自殺を計る主人公が助けられた後に知る真実と超能力に対する気持ちの変化がうまく描写されている。タイトルもよく作品に合っていると思う。
『燔祭』の青木淳子は自分が超能力者であること、自分の超能力で何が出来るのかを自覚している。その上で「自分は装填された一丁の銃である。だから武器として自分を使って欲しい。」と、女子高生拉致殺人事件で妹を殺害されたこの作品の主人公の前に現れる。そして超能力を使い容疑者(実際は犯人)を殺害しようとするが…。
超能力を持つものと持たないものの気持ちのズレや、主人公の苦悩がよく表現されている作品。自分が、その立場だったらと考えてしまう。後の『クロスファイヤ』に物語は続いている(『クロスファイヤ』も読むべし)。
タイトルにもなっている『鳩笛草』は、他の二つの作品と比べると、どこか「ほのぼの」とか「ほんわか」したムードがある。扱っている超能力の種類にもよるし描かれた主人公の性格のせいもあるだろうが、おそらく結末が希望を含んだ結果を見せているからだろう。
主人公の女刑事は超能力で人の心を読み、事件の捜査をしていたが、いつしか自分の能力の衰えを感じ始める。自分の持つ超能力が無くなった時どうなるのか、主人公の不安が描かれた作品である。
3つの作品は超能力を扱っているが主人公の立場は異なっている。超能力に対して主人公たちが、受け入れ(『朽ちてゆくまで』)、使用し(『燔祭』)、失っていく(『鳩笛草』)といった段階が描かれているのが興味深い。
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主人公ではない超能力者、この試みは成功か否か?
2000/07/25 11:05
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投稿者:あつぼん - この投稿者のレビュー一覧を見る
超能力ものを三つ集めた中編集(?)。
うち「燔祭(はんさい)」は後に「クロスファイア」に引き継がれる。
ただし主人公(視点)が違うので印象はかなり異なる。
こういう超能力ものも、社会問題ものと同じく彼女の作品によく出てくるモチーフである。
異端者・異能者の心の動きの描写が見事さが彼女の特色であると言えよう。
上記「燔祭」は超能力者を主人公から外して描くという試みを行なっているが、
「クロスファイア」を先に読んでしまったので感情移入できず、その試みが成功したかどうか判断は難しかった。