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論理の構造 下 みんなのレビュー

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紙の本

普遍的論理学へのビジョンを描く

2002/01/07 06:13

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 概念・カテゴリー・思考原理を論じた上巻に引き続いて,下巻では「判断」(第6章)と「推理」(第7章)へと進む.上巻以上に記述の「断片化」が著しいのは仕方がないことかもしれない.それでも,洋の東西をまたぐ論理学の普遍的構造を見ぬこうとする著者の姿勢は変わらない.

 概念間の関係と形式的にみなされる「判断」の問題をもっと日常的な文脈に立ち返って再考しようという主張(p.14)に私は同意したい.判断や推理の問題は形式論理学の前に人間の日常生活の中から生まれ出たことは確かだからである.日常生活のどのような文脈のもとに,人間の判断や推理の規則ができあがってきたのかを考えるみることはきっと必要になってくるだろう.

 下巻では,言語学的な言及が随所に見られる.とくに,日本・中国・チベットなどの東洋諸国と西洋との差異を「言語文法」に帰すことによって説明しようとする立場がうかがえる.認識における「普遍」を重んじたインドに対し,中国や日本における「個物」重視の傾向が指摘されていて興味深い(pp.136-7,147).西村三郎『文明の中の博物学』で,中国・日本の分類学の特質として挙げられていた「正名思想」——徹底した個物重視主義——は本書においてインド哲学の観点からさらに詳しく論じられている.

 また,著者は,仏教論理学を踏まえて,推理という行為を「自分のための推理(すなわち推論)」と「他人のための推理(すなわち論証)」とみなしている.推論には演繹的推論と帰納的推論があるが,著者は仏教論理学の推論規則を西洋論理学の「ことば」に翻訳することで,両者の類似と差異を明らかにしようとしている.詳細にわたる論理式の展開はかなりつらいが勉強になる.

 上巻と下巻を通じて,著者は,いわば「比較論理学」とでも呼べる新しい研究課題を残したことになる.結びの言葉:「論理学的原則の表現と適用とは,文化的伝統によってそれぞれ異なっていた」ため「東の論理学と西の論理学とはかなり性格を異にしていた」が,「両者の潮流のあいだには何かしら共通の発展過程が見られるのである」(p.582).普遍論理学を目指す著者のビジョンはきわめて広大だったことに感銘を受ける.

 決して完成された内容をもつ本ではないが,読む者はいくつもの「たね」を著者から受け取ることになるだろう.

【目次】
第6章:判断とは何か?——その構成要素 11
 第1節 判断 13
 第2節 判断と命題 33
 第3節 「わかる」と「知る」 43
 第4節 判断を構成する要素 53
 第5節 最も単純な判断の表現形式 85
 第6節 内属判断 125
 第7節 存在判断 157
 第8節 連語 193
 第9節 判断の成立する限界 207
 第10節 判断の質と量 209
 第11節 判断成立に関する学説 295
 第12節 判断の種類——断言的判断,仮言的判断,選言的判断 325
 第13節 判断の真理性 329
 付論 判断の表現形式に現われた民族の思惟方法の特徴
——言語表現を手がかりとする考察へのいとぐち 341

第7章:推理についての考察 365
 第1節 推理とは何か 367
 第2節 推理の位置づけ 371
 第3節 推理の種類 375
 第4節 即物的な推理——推理によって何が知られるのであるか 383
 第5節 間接推理(三段論法) 387
 第6節 民族によって異なる推理の表現様式 403
 第7節 理由概念に関する自覚 409
 第8節 推理の形式(格) 453
 第9節 実質内容から見た二種の推理 461
 第10節 演繹法の実践的意義 513
 第11節 三段論法の実践的意義 517
 第12節 連鎖式 523
 第13節 帰納法 557
 付言 575

和語参照文献 586
印欧語参照文献 592
著者あとがきに代えて 601
著者の略歴 [605]
索引 [i-viii]

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