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みんなのレビュー4件

みんなの評価2.4

評価内訳

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紙の本

暗室とは光を定着させるために闇で処理する場所、そこには人の闇も潜んでいる。

2001/03/25 20:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:澤木凛 - この投稿者のレビュー一覧を見る


 日の当たる部分がまぶしいのはあたらない部分の暗さがあるからだ。黒い部分があるからこそ白の部分が際だつ。同じ白さでも隣にある色がもっと白いか、もっと黒いかで見え方が変わってくる。闇があるから光がまぶしい。その闇には一体、なにが潜んでいるのか。

 この本の構成は非常にわかりやすい。題名の通り、全くの暗闇である暗室を描くことで、光に照らされた部分を切り出そうとしている。彼が描きたかったのは普段日があたることのない「陰」の部分だ。小説は自分の周囲にあった話をモチーフに7つの短編から描かれている。全てが写真に関わる人々の話であり、彼らの共通項として存在しているのは暗室だ。現実の断片を切り取る写真、それは撮っただけでは切り取ったことにならない。一度暗室という一切光を遮断した闇の世界で「処理」して初めて白日にさらされる。写真という現実を達成させる瞬間が闇であること、それ自体がきわめて暗喩的である。

 この作品に出てくる人々はどこか心に闇を抱えている。いや、全ての人が心に闇を抱えているのだろう。それを暗室という真っ暗の世界が引き出してしまう。普段はけっして出てこない闇の部分。それはひどく醜い形をしているし、奇怪でもある。ただ、それを描くことで初めて人間の光の当たっている部分がまぶしく見えるのだ。小林氏はそういう人間の陰の部分を「写真」と「暗室」という二つの視点で切り取っている。実にわかりやすく、それでいていろいろ考えさせられる。

 闇をもたない人間は薄ぺっらに見える。写真と同じでコントラストが小さいと単調になってしまうからだ。だが、度を超すとそこにうつる姿はコントラストの強すぎて不自然さを残してしまう。すべてのものが強く隈取りされたような歪なものとして目に映る。闇の部分を描くことは非常に難しい。それを出すことで明るい部分は強調されるが、あまりにも出しすぎると見る方は目を背けてしまう。この作品集が全体的に暗い感じで仕上がっているのは、あえて闇の部分を切り取ったために全体の明度を抑えたからだろう。これ以上のコントラストは異形になる。それがわかっているのは氏が写真家だからだろうか。

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紙の本

せっかく暗室なんだからエロにしちゃった方がまだ潔いよ

2002/08/20 17:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:じゃりン子@チエ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小林紀晴の代表作である「アジアン・ジャパニーズ」を私は読んでいないし、話題になった「写真学生」も読んでいない。だから、この作者のことはよく知らないのだが、この本を読むと興味が失せる。小説はあまり読まないのだが、あまりにも適当じゃないか、これ。いいのか?
 突然だが、私も大学で写真部に所属していた。だから、この本にでてくる人間たちが、著者が何らかの形で見聞きし、経験したエピソードを元に作られているのは容易に想像できたし、実際そうらしい。この小説の特徴を人に伝えるときに多くの人は「作者自身の体験に基づいたリアルな人物像」という表現を使うだろう。
 確かにいそうな感じの人間ばっかりなのだ。屈折した人間関係とか、何者でもないことを自覚せざるをえなくてボーゼンとする人とか。しかし、
「だからなんなんだ」
 リアルな雰囲気はあるが、この本には主題がない。ただの情景描写だ。登場する人物たちは、本当に喋っているだけ、自分の感情を吐き出しているだけで、それ以上のものは何もない。ただ、暗室、写真展、という状況が少しばかりロマンチックなだけだ。下に掲載されている書評の方がテーマがある分面白い。
 一言で表すならば「小林紀晴、若気の至り」
 青春にありがちな失敗作。
 何だかな、せっかく暗室なんだからエロにしちゃった方がまだ潔いよ。「紅く染まった暗室の下で、僕らは…」とか。アホか、わたしゃ。でも、自慰的という意味ではそんなにこの本の在り方と変わらない気がするけどねえ。

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紙の本

暗室で行われていること

2001/01/17 23:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nory - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『ゼンアン』とは、完全な暗闇のことを表す写真用語らしい。その中では体の感覚というのはあるのだろうか。意識だけが浮かんでいるような状態なのだろうか。目を閉じてみても想像できないその世界を、一度経験してみたいと思う。

 すべて写真にまつわる話である。カメラマンのアシスタントや写真館の受付、暗室助手など、登場する人間はみんな失ったものの代わりを求めている。しかし自分が何を求めているのかわかっているわけではなく、ただ都会の中を漂っている。目の前にある光景に対し、瞬間的にシャッターを切るだけだ。感覚のみが流れていく。

 ここにある7つの話は、著者と関係している人たちに実際に起きたことだそうだ。物語はさまざまな場所でひっそりと展開しているらしい。薄紙にこぼれた液体がにじむように、じわじわと広がっていく。文章の間には、いくつもの暗室と首から上が切れた人間の写真が続く。

 料理人にしろ、格闘家にしろ、椅子職人にしろ、 ひとつのことを突き詰めていくと普遍的な世界があらわれるという。写真家である著者は、暗室という狭い空間ですべての出来事を現像し、焼き付ける。誰からも見られることのない作業によってこの本は仕上げられ、私たちの目の前に並べられている。

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