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紙の本
10年後、20年後の暮らしはどうなっているんだろう?
2000/07/10 20:49
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投稿者:坂口緑 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今日、福祉が「ひとごと」ではすまされなくなってきた。介護保険制度の発足や年金制度の見直し議論を目の当たりにすると、私たちは自分がどのように歳を重ねていくのかをイメージせずにはいられない。新聞やテレビで断片的な知識を手に入れることはできる。しかし、10年後、20年後の暮らしがどうなっているのかはなかなか想像できず、不安になる。そんなとき、このような最新の「教科書」が役に立つ。
本書は、社会福祉士を目指す人のために書き下ろされたテキストである。コミュニティ・ワークという「地域援助技術」を中心に、わかりやすい解説が並ぶ。地域のニーズをどうやって把握するのか、活動計画をどのように立て、どのように住民や自治体の承認を得、実施できるのか。またその評価をどうするのか。社会福祉士になるための、また社会福祉士として実際に活動するための基本的な知識が詰まっている。
しかしユニークなのは、本書が「教科書」としての役割を超え、未来の暮らしの青写真を見せてくれる点である。たとえば、「コミュニティ」に関する視点である。社会福祉の領域では、「コミュニティ」は長いあいだ「地域社会」と理解されてきた。これは「コミュニティ」を地理的な概念として定義したものである。したがって、「コミュニティ・ワーク」も、行政が区分する地区を担当するもの、という前提があった。しかし本書は、コミュニティが実は「開放的でしかも構成員相互の信頼感のある集団」である内実に目を向ける。これは「コミュニティ」を関係性の概念として理解しようという提案である。したがって、「コミュニティ・ワーク」もまた、地理的な区分のみにこだわらず、人々の連帯意識や関心、共感といった「共同性」をくみ取る必要性が強調される。あるいは「ネットワーカー」として、積極的にネットワーク作りに参加する重要性が強調される。
地理的な概念としての「コミュニティ」がなくなるわけではない。行政による区分が不要だというわけでもない。けれども、コミュニティが一枚岩の「地域社会」だけでないという発想は、とても重要だと思う。ボランティアや住民参加といった、今後ますます重視されるだろう理念が、理念としてだけでなく現実のものとなるには、出入り自由でありながら共同性をもつコミュニティが成立しなければならないからである
。
高齢者向けの食事サービス、訪問看護のシステム、食物アレルギーをもつ子どもたちのサークル、知的障害者のための自立支援施設。実例も豊富に紹介されている。本書で学んだ「コミュニティ・ワーカー」たちと一緒に、私たちが10年後、20年後の暮らしをプランニングできたなら、少しは不安も解消されるだろう。 (bk1ブックナビゲーター:坂口緑/大学講師 2000.7.11)
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