紙の本
時代冒険活劇
2001/03/29 10:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桐矢 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時間テーマのエンターティメント巨編。帯によるとすでに映画化が決まっているそうだ。
量子テクノロジーによって開発されたタイムトラベルで、14世紀フランスで行方不明になってしまった教授を探しに、助教授と3人の大学院生が、時空を超えた冒険に旅立つ。
波乱万丈はらはらどきどきで最後まで一気に読んでしまった。読者をぐいぐいひきつけるテクニックはすごい。それより驚くのは、量子テクノロジーがメインテーマではないということだ。十分にメインテーマになりえる、これだけの知識と仕掛けが、中世フランスでの冒険を描くためのただの道具でしかないのだ。だから、科学に興味のない読者でも十分楽しめる。恋あり、友情あり、典型的な悪役もいる、冒険活劇だ。
投稿元:
レビューを見る
タイムマシンネタ。前半のノリは良かったんだけど後半は中世での戦いがメインになってしまっていまひとつ盛り上がれなかった。
投稿元:
レビューを見る
せっかく量子論を使った時間旅行という魅力的なアイデアが物語の筋に活かされていない。これはどうなるんだということが示唆されているのに展開されていないので,欲求不満になる。物語の本筋の救出劇は良くも悪くもハリウッド映画。次から次へと危機が襲うので、読んでいる間は飽きないが,なぜこれが必要だったのかというと、見せ場を作るためという以外の理由はないので、再読する気にはならない。
投稿元:
レビューを見る
アリゾナの砂漠のド真ん中で、一人の老人が発見された。あっという間に熱中症で死んでしまうような環境の中を彷徨っていたその老人は、病院に搬送されて間もなく死亡した。MRIで調べたところ、死因は熱中症ではなく、体のあちこちで組織がずれているという。そのために循環器系が遮断され壊死したのだという。
その老人は科学者で、ITCというハイテク企業で働いていた。そこで行われていたのは、量子テクノロジーの研究だった。そしてITCでは量子テレポーテーション技術を開発していた。それは、タイムトリップもできるものだった。
現代と、中世フランスを舞台に繰り広げるアドベンテャー。量子テレポーテーションで騎士が戦いに明け暮れる中世フランスへ送り込まれた教授と学生たちが、無事に現代に戻ってこられるのか?
パソコンゲームや、映画化されているらしい。
中世の戦闘シーンや、テレポーテーションなど、映像化されたら見ごたえがありそう。
投稿元:
レビューを見る
歴史を研究する大学の調査チームが、14世紀のフランスへ出かけて行って、困難に巻き込まれるという話。
あらすじにすると、コニー・ウィリスの『ドゥームズデイ・ブック』とほぼ同じ。
しかしこれはコニー・ウィリスよりも科学寄り。
量子力学を元に、タイムトラベルではなく、多世界を使って過去へ行く。
時折リチャード・ファインマンの理論がもっともらしく差し込まれていて、笑っちゃう。
私にとってのファインマンはいたずら好きのちょっと変なおじさんなのだけど、やはり伊達にノーベル物理学賞をとっていないのだな。
ただ、事の発端が営利企業の思惑で極秘に研究されていた多世界間移動であるという割には、理論的根拠や安全性があまりにずさんで、引いてしまう。
何人もの人間がこの研究で命を落としているのに、そのことに対してあまりにも無責任。
ましてや学生たちにろくに説明もしないまま14世紀に送り出すなんて。
600年というのは、人類という生物種にとってはそれほど長い時間ではないけれど、文明・文化的にはまるで違う世界がそこにあることになる。
言葉も、価値観も、肉体の在りようも違う。
学生たちは無事教授を見つけ出し、あとは現代に戻るだけ、と思っているが、現代の方では不慮の事故で受け入れ準備ができない状況。
さて、下巻ではどのように物語が動くのだろう。
まずは、なぜ教授が行方不明になったのか。
その理由を明らかにしてほしい。(だって大人げないふるまいすぎないか?)