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紙の本
工学マネジメントに主点をおいた回顧録
2000/07/09 10:09
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投稿者:上原子 正利 - この投稿者のレビュー一覧を見る
国の威信をかけて戦われるヨットレース、アメリカズカップ。著者は「ニッポンチャレンジ」テクニカルディレクターとして世界の頂点を目指し、最速の船を造り上げるという工学的な目標をほぼ達成しながらも、最後には敗れた。何故か?
表題には「テクノロジー」とあるが、本書は技術解説だけを目的とするものではない。技術的な説明だけなら、著者による96年刊『アメリカズ・カップ』がより親切だ。本書は、工学的技術を部分として含む、総合的なマネジメントについて考えながら世界を相手に戦った4年間の記録である。キーワードはテクノロジーではなく、マネジメントだ。
惜しいのは、文章が工学研究者らしい淡々としたものだという点。レースの舞台裏も、学会と衝突した若き日のエピソードも、書き方によっては広い範囲の人々の心を捕えることができるものだと思う。もし次回があるのなら、その時は優秀なライターと協同で本を作り上げて、世界の頂点に立つために必要な事を多くの人に伝えて欲しい。
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