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紙の本
まるで日本軍がとったビルマ作戦,ガダルカナル作戦そっくりではないか
2009/11/01 16:17
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1部 やまとことばと英語
第2部 モノローグ言語とダイアローグ言語
第3部 農耕稲作民と遊牧民
第4部 異文化対応と自己確認
第5部 音声訓練の方法
第6部 『中間日本語辞典』
第7部 英語苦手克服のセラピィ
著者は東京生まれ(1924-99年,享年75歳)。京都大学卒業(49年,25歳)後,北九州大学などを経て,広島大学名誉教授。『やまとことばの人類学』,『日本人の行動様式』,『のっぺらぼうの日本人』,『百済王族伝説の謎』,『日本人の心情論理』,『日本人の英語感覚』。一連の刊行物をみる限り著者は日本の専門家のようだが,この『英語感覚』が「私の著作の中で最も反響の大きかった本」だったらしい(203頁)。本書はこの続編といえる。「日本人の英語下手はまことに悪名高い。・・・本書はそのメカニズムを解明し,さらに苦手克服のセラピィをも示そうとする小さな,しかし大胆な挑戦の書である」(i,iii頁)。
とりあえず,「日本人の英語下手」は,TOEICなんかの点数で世界最低水準だということで裏付けられるのが通常だが,とりあえず著者にはこの命題の裏付けはない。米文学の碩学=大津栄一郎(東大卒,明学名誉教授)氏の“ああ,僕って英語がしゃべれない”(同氏『英語の感覚』)を裏付けとしているだけみたい。ちょっと暴論のような気もする。
本書の眼目は,『中間日本語辞典』の提示(第6部)にある。ただ失礼ながら,その要点は,日本語のオノマトペを二語以上の形容詞で表現すべきだとする提言にとどまっている。これだけなら,和英辞典の作成・編集の根本的変更こそがもっとも広範かつ効果的な結果をもたらすと思う。外野から言わせてもらうと,英語の辞典が(おもに大学に属する)英語の専門家だけによって編纂されている限り,学習と実用の面での英語力養成には限界があると思う。経済用語の校閲で大学経済学者に御座敷がかかってはいても,しょせんその舞台は本丸ではない。
私としては,むしろ,「戦後五十年,日本の英語教育は,やれヒヤリング[平成では「リスニング」と表記するのが普通―-BCKT]の能力を高めろ,やれ外国人教師を多く庸[雇]え,オーディオ・ヴィジュアルの設備を充実させろ,等々同じようなことを念仏のように唱えているだけにすぎない。まるで日本軍がとったビルマ作戦[41-45年],ガダルカナル作戦[42年ごろ]そっくりではないか」(100頁,[ ]内はBCKT)という悲嘆にうたれた。この敗北の作戦がとられていたころ,著者は京大生。いかに絶望的な気分に苛まれたか,想像するに余りある。かつ,英語教育研究者たちの大半が(“全員が”じゃないよ),英語教育の歴史についていかに無関心かが窺われようというものだ。
(1096字)
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