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紙の本
生きる意味
2006/06/14 04:37
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者：濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「生きる」意味、「何のために生きるか？」これは、私の思春期から私に突き付けられた疑問である。私は、私なりの答えを３６歳の夏に見出した。あれから、１０年、別の知識人の意見も聴きたいと思い、本書の題名「生きるとは何か」に目が止まって本書を手にした。
「生きる」という事は、日々毎日我々に突き付けられる命題である。単に日常の生活に追われ、唯生きるのも「生きる」と言う事だし、「生きる」という事に意味を見出そうと、あげきながら生きるのも「生きる」という事である。私は、知性と理性を持った人間として生まれてきて、後者を良しとして生きてきた。本書は、「生きる」という事に明解な答えを我々には提示していない。ただ、「生きがい」という事に対し、ある意味答えを出している。それは、「居がい」「行きがい」と著者の造語とも思える章で述べられていた。「居がい」とは、その人の造った家庭であり、人間関係である。「行きがい」とは、その人の行動様式である。「居がい」の中に面白い表現が有った。それは、人は、旅に出る時、誰もが、家を出る直前、重苦しい心情に襲われるという事である。私も旅に良く出るが、納得出来る、事象である。それを著者は、こう解説している。常日頃の「居がい」の場所を離れる不安から来ると。家を一歩外に出ると、この重苦しい心情は、一騎に晴れて、晴れやかな心情になるという。私も体験から納得である。
また、著者は、「癌は告知してはいけない」と主張しているが、私自身については、これには賛成出来ない。それは、常日頃、「死」と面と向かって生きていない人達への提言だと思う。私は、「生」を真剣に考えるという意味で「死」を見つめて生きている。従って、決して「死」は恐れるものでは無く、「生」の一部なのである。死刑宣告である癌の告知が有った場合、私は、癌と正面から向き合い、その治療の可能性等から総合判断して、その後の「生」を考えると思う。廻りに騙されて、無駄に生きるなんて、御免蒙りたい。
本書は、精神病理学を専門としている。他にも読みたい著作が多々有るので、機会が有れば読んでみたい。
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