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紙の本

ウィトゲンシュタインの「青春の書」

2001/02/15 00:08

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投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る


 「私はなぜ私なのだろう」という思いをつきつめれば、「他ならぬこの私」が他者一般とは決定的にそのあり方を異にするものであることに行き着くだろう。もしそれが、哲学用語でいう独我論(唯我論)の弊に陥るものであったとしても、性急にそこからの脱出を図るべきものではない。

 「私」とは何か、そして世界とは何かをめぐって、精神の病への怖れと闘いながら徹底的な思索をめぐらせた若き日のウィトゲンシュタインは、後に『論理哲学論考』としてまとめられることとなる草稿の中で、次のようにその思索の痕跡を綴っている。

《世界霊魂がただ一つ現実に存在する。これを私はとりわけ私の魂と称する。そして私が他人の魂と称するものも専らこの世界霊魂として把握するのである。/右の見解は、唯我論がどの程度真理であるか、ということを決定するための鍵を与える。》

 ウィトゲンシュタインは、このうち後半部分を『論考』に採用し、引き続き次のように記述している。《即ち、唯我論が考えている(言わんとする)ことは全く正しい。ただそのことは語られることができず、自らを示すのである。》(『論考』5・62)《私は私の世界である。》(『論考』5・63)

 「私が私であること」の意味は、これらの断章のうちに究極の表現を得ている。少なくとも、私にはそう思える。《世界は私の世界である。》(『論考』5・641)そして、この世界でただ一つ現実に存在する世界霊魂を、ウィトゲンシュタインは「私の魂」と称し、他人の魂を「世界霊魂」として把握する。

 ここで注意しなければならないのは、ウィトゲンシュタインが、《私が他人の魂と称するものも専らこの世界霊魂として把握する》というとき、彼は私の魂と他人の魂が究極において一つのものだといっているわけではないということだ。世界霊魂と私の魂との関係は、他人の魂と世界霊魂あるいは私の魂との関係とは決定的に異なったものである。端的にいえば、私の魂は自己意識一般とは全く異なるものなのである。

 いや、より根源的に、そもそも私の魂は「他ならぬこの私」といった特殊な自己意識とも決定的に異なったものだといわなければならない。というのも、ウィトゲンシュタインが「世界=私の世界=私」という等式を示し、この世界のうちに「世界霊魂がただ一つ現実に存在する。これを私はとりわけ私の魂と称する」と記述するとき、「他ならぬこの私」をめぐる謎めいた意識の実在は、そのような認識を導く端緒あるいはそのような世界のあり方の痕跡としてのみ取り扱われているにすぎないからである。

 だが、これらのことはおそらく言葉では表現できない事柄である。なぜなら、私たちの言語の働きは、「他ならぬこの私」も私の魂も「私」一般も、したがって「他ならぬこの人」も他人の魂も他者一般も、最終的にはそれぞれの存在論的な差異を超えた意識一般のうちに分類してしまうだろうから。

 そこでウィトゲンシュタインは、「ただそのことは語られることができず、自らを示すのである」といい、「世界が私の世界であることは、唯一の言語(私が理解する唯一の言語)の限界が私の世界の限界を意味することに、示されている」というのである。

 彼は、後に言語の働きについてより立ち入った考察を加え、有名な「言語ゲ−ム」というアイデアを打ち出す。このいわゆる「後期」ウィトゲンシュタインが切り拓こうとした思索の方向には、それはそれで大変興味深いものがあるのだが、私は何よりもこの若きウィトゲンシュタインの「青春の書」をこよなく愛する者である。

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2010/05/24 15:37

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2011/10/12 21:44

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