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チロヌップのきつね みんなのレビュー

絵本

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みんなのレビュー32件

みんなの評価3.9

評価内訳

30 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

胸にこみあげたどこへも向けようのない怒りや思いが静かに静かに込められた作品

2009/11/29 14:54

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

「作者のことば」によると、本作品は、昭和19年の暮れに
作者が千島のウルップ島で見たことから着想を得て、
創作された物語である。

ウルップ島は、たくさんのきつねの住む島で、
番小屋に住んでいた初老の夫婦は、
「どうかきつねをかわいがってくだされや」と言い、
内地に帰っていった。

ところがきつねざくらが咲くころになって、
島のあちこちで、密猟者のワナが発見され・・・。

このとき、作者の胸には、
どこへも向けようのない怒りがこみ上げてきたという。

その忘れられない思いが、本書の源泉になっている。

本書のメッセージについて、
ほろびゆく自然、ほろびゆく動物に対する保護を訴える側面を持っていることは、
この「作者のことば」にも触れられている。

この物語では、戦争の影響は間接的ではあるが、
本書は、「戦争の本」としても取り上げられている。

タイトルの「チロヌップ」は、アイヌ語のきつねを意味する。

表紙がとても印象的だ。

青々とした草原にきつねの家族がいる。

かあさんぎつねは、2匹の子ぎつねを慈しみ、
とうさんぎつねは、家族を守るために背後を厳しい目で警戒している。

とうさんぎつねのまなざしは、この島をはるかに越えた
海の向こうを見据えているようにも見える。

表紙と裏表紙は、一枚続きの絵になっている。

裏表紙には、娘地蔵を斜め後ろから見た姿がある。

草原全体に、ぽつりぽつりときつねざくらが咲いている。

ところで、「きつねざくら」だが、
これは、北海道の宗谷・北見地方の呼び名で、
「さくらそうに化けそこねた花」の意味だそうだ。

裏の見返し部分に花の絵があり、そのような説明がついていたのが印象的だった。

表紙・裏表紙が鮮やかなカラーであるのに対し、
中の絵は、基本はデッサンで、色がついている部分は少ない。

きつねたち、子ぎつねの赤いリボン、そして・・・。

色が伝えるメッセージは深い。

とうさんぎつね、かあさんぎつね、ぼうやぎつね、ちびこぎつねの家族。

とうさんぎつねは、子ぎつねたちに、えもののにおいをかぎわけることを教えていた。

ぼうやぎつねは、とうさんぎつねがかくしたえものをすぐにかぎまわったが、
ちびこぎつねは、ちょうちょを追いかけながらいつもどこかへ行ってしまう。

娘地蔵に魚が取れるようにお願いに来た老夫婦は、
その隣にいるちびこぎつねを見つけた。

丘のふもとまでついてきて帰ろうとしないちびこぎつねに、
おばあさんは赤いリボンをつける。

老夫婦になついていく、ちびこぎつねの様子がなんともかわいらしい。

登場するときに「ふかい きりの むこうから,くろい かげが ちがづいてきた」という言葉で表される
兵隊の見回りの船は、まさにきつねを脅かす黒い影なのである。

その登場から場面はゆるやかに暗転していく。

老夫婦は島を引き上げ、ちびこを家族の元に返す。

きつねざくらのころにもどってくると約束して。

再び4匹のきつねのおやこのくらしがはじまったが・・・・。

文章と絵は、きつねの親子の暮らし、
ちびこと老夫婦の交流を静かなまなざしで見守っている。

暗転後のきつねの親子との距離感も、
遠くから淡々と見守るような静かな静かなものなのである。

それは、きつねの親子をめぐる季節であり、自然であり、
包み込む白い白い雪のようなのだ。

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紙の本

戦争の虚しさを静かに語りかけてくる一冊

2006/12/14 13:27

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:レム - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この絵本には、キタキツネの親子の愛情物語りを通じて、ある重要な主題が存在している。つまり、戦争の虚しさが描かれているということである。
 戦争が激しくなってきたころ、離島の番屋で夏だけ働く漁師の夫婦がいた。そして一匹の子ギツネと仲良くなるのだが、かわいそうなことにこの子ギツネがわなにかかってしまう。私は、ここから、時代という鎖につながれて翻弄され、そこから逃れられずに戦火に散った人々のことを思うのである。子ギツネを守る母ギツネの愛も虚しく、寒い冬が訪れて親子ギツネに雪がしんしんと降り積もる。時代という名の雪からは誰も逃れることはできないのだ。
 やっと戦争が終わり、歳を重ねてしまったその夫婦が杖をつきながら島に戻る。海岸にたたずむ二人から、戦で死ぬのは若者で、残されるのは老人という図式そのものが見えてくる。久しぶりに景色を眺めると、変わらないのは山ばかりとある。私は、砲撃で山の形まで変えられた沖縄戦や硫黄島での戦いの地にいた方々は、いかなるお気持ちであったことだろうと思う。そして今日の日本や世界をどうご覧になることだろう・・・。
 二人は、キツネの親子に何が起こったのかは露知らず、ぼろぼろにさびた鎖とその傍らの花に何気なく目をやる件がある。戦の道具だった鉄も用が済めばこのように朽ちてしまうのである。悲しいかな、そこには感情も湧かない。私たちにしなければならないことは、朽ちた鉄くずを増やすことではなく、希望の花をもっと増やすことなのだ。
 文章とともに、霧の中から浮かびあるような絵も雄弁ですばらしい。さざ波と風の音が聞こえてくるようだ。この本は、戦争の虚しさを静かに静かに語りかけてくる一冊である。

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紙の本

いつまでも忘れないでほしい…親子の愛情、動物保護を描いた素晴らしい絵本

2001/03/15 12:28

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かれん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 戦争が激しくなった年、チロヌップという北の小さな島で2匹の子狐が生まれました。夏の間だけ、島に渡ってくるじいさん、ばあさんの様に、狐や生き物を大切にする人ばかりならいいのに、この島では、密猟者が後をたちません。島中にある 密猟者が仕掛けたいくつものワナ、自然の多い島なのに、狐にとっては、危険がいっぱいです。

 夏の間、じいさんとばあさんの子どもみたいに育ったちびこも、冬が近づくと親元に帰りました。そして、密猟者のワナにかかってしまいます。…人間が近づいてきます。何の罪もない、子狐をどうして殺さないといけない…同じ人間の仕業でありながら、悲しくなります。ちびこを守る為、自ら飛び出し鉄砲で撃たれたとうさんぎつね。その傍で母さんぎつねは、必死の思いでちびこを隠します。ワナで身動きが出来ないちびこの為に、雪の降る寒い冬は、母さんギツネが毛布となり、ちびこの身体を温めます。読んでいて、とても胸が苦しいです。

 この絵本は、小学生の頃に一度読んだことがあります。タイトルは、忘れていましたが、ずっと心に残っていたストーリーです。親子の愛情は勿論、動物愛護の面でも考えることの多い絵本です。こういう素晴らしい絵本が、子どもたちへ、そして、その子どもたちへと受け継がれる事を願います。

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2004/12/20 10:08

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2005/09/29 16:41

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2006/01/11 17:10

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2006/11/22 09:10

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2009/11/03 00:38

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2010/07/14 20:47

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2011/02/26 02:07

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