紙の本
名ごりの夢
2020/07/14 16:11
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代に幕府に仕えた桂川家に、幕末に生まれた著者が語る、幕末の文化の数々。武家としての家柄を持ちつつ、外の文化とも接してきた著者が、ゆったりとした当時の文化を語る。
桂川甫周や木村摂津守のことは知っていたが、こんなに近しい人が語るのは初めて見た。
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幕府のオランダ流外科医の家に生まれたみねが、維新後に少女時代のことを振り返り孫らに語った内容を嫁が筆記して出版された本。江戸の雰囲気が生き生きと美しく臨場感あふれて語られています。本当に江戸時代を生きた女性の口から語られた言葉。たくさんの古文書をよんでもなかなか得られない生きた江戸の姿に感動しました。
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佐賀藩士にハマって色々文献を読んでいた頃、某サイトで
“江藤新平・大隈重信・副島種臣などが語られている”
とりわけ“副島種臣に関する回想が多い”
ということが書かれてあったので、興味を持って読んでみました。
結果。この本買って良かった…!!
幕末の佐賀藩士に関する名著の多くは今や絶版もしくは入手困難となっている。そんな中でこの本はまだ購入すること出来る数少ない名著の一つなのです。
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江戸幕府の奥医者で唯一の公認蘭方医であった桂川家という名門の家に生まれた 今泉(旧姓:桂川)みね という女性が語り手の回想録。昭和10年から約3年、80歳のみねの驚異的な記憶力をもとにまとめられた、幕末の江戸を伝える記録である。
名門・桂川家に出入りする著名人の中には福沢諭吉・成島柳北・神田孝平・箕作秋坪など明治日本の近代化に貢献したお歴々が惜しげもなく登場する。
幼きころの少女・みねの目から見た彼らのプライヴェートな姿が、リアルに、そしてどこかほほえましく、暖かく語られている。福沢諭吉におんぶしてもらったり成島柳北に遊んでもらったりと、かつての偉人の生身の姿が懐かしく回想されていて、読んでいてホッコリした。(福沢諭吉の穴あき足袋の穴のスキマから松葉を突っ込んで、突っついて困らせた話とか、なにそれ超ウケる、つーか萌えるんだけど…)そしてその語り口から匂う、太平を享受する江戸のおおらかな、贅沢な文化。家に出入りする沢山の美しい芸者、清流をたたえる隅田川の桜満開の花見話などは特に、目に鮮やかに色も美しく想像された。
少女だったみねに縁談が持ち掛けられ、彼女は今泉利春という佐賀藩士のもとに嫁ぐことになるのだが、この男性が実は副島種臣の弟子というか、弟分のように親しい間柄にあたる人だったので、嫁にいってからのみねの周りには、大隈重信・江藤新平・副島種臣などの佐賀藩出身の政府高官の名前が陸続と出てくる。(…興奮せずにいられませんね!!
特に副島先生に関する記述が多かったかな?人情味たっぷりの語り口で、これらの人物のありし日の姿を遺してくれている。打ち首になる前の江藤の回想などは緊迫感と真に迫る勢いを感じさせた。
。解説を執筆している金子光晴によると「この本は、なんといってもいきのいい、なまものである。鮮度と、味を落とさないようにして食べることがかんじんだ」と絶賛している。まさにその通りの一書であると感じた。
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幕末の御殿医桂川家に生まれた女性の体験談。
若き日の福沢諭吉をはじめとする各藩から勉学の為派遣されてきた武士に幼い著者がしたいたずらや、洋行した諭吉から石鹸をもらい、包み紙を宝物として保管していたというほほえましい話の一方で、幕府の終焉に伴って幼いながらも自害の練習をしたという話もある。その後の人生も起伏の多いものだったようで、当時を知る貴重な記録。語りを文章に起こしたものだからだろうか、文章も非常に読みやすい。全般にからりと明るい印象の本である。
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徳川将軍家の奥医師の娘から見た、幕末から明治にかけてのいろいろな人々や生活ぶりが、いかにも生き生きと語られている。特に、当時の隅田川は透き通るように美しかったという語りが印象的。