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紙の本

日本人は尾崎秀美と和解していない

2001/11/30 21:43

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 祖国日本を裏切り、宿敵ソビエトに日本を売り渡した反逆者尾崎秀美(ほつみ)。本書はその裏切り者の息子が書いた事件のドキュメント。国際共産主義者としてソビエトのスパイであったゾルゲの手先となり、朝日新聞記者として得た情報を惜しげもなく敵国に流し続けた尾崎は、戦後の共産主義全盛の中で売国奴から一転して正義の士、殉教者に祭り上げられた。
 しかし幾ら共産主義者が尾崎を持ち上げようとしても、かれが売国奴であった事実は永遠に消すことが出来ない。そしてそのことを日本人は決して忘れていない。日本人はまだまだ尾崎とは和解出来ていない。心の底から尾崎が行った犯罪を許す気にはなれない。彼は結局反逆者だったのだ。それ以上でもそれ以下でもない。尾崎を信じて彼を自分のブレーンとして引き入れた近衛文麿は、尾崎が実は敵国のスパイだったと知ったとき、さぞ動転したことだろう。さぞ悔しかったことだろう。どこの国でも、何時の時代でも例え幾ら美辞麗句を並べ立てたところで、裏切り者は決して尊敬されることはない。かのドイツの名宰相オットー・フォン・ビスマルクは言っている。「私は裏切りは大好きだ。しかし裏切り者は大嫌いだ」。尾崎よ、聞いているか!

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2012/12/29 23:12

投稿元:ブクログ

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