紙の本
ホックのキャラクター全員集合!
2004/10/10 20:08
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投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編の名手と呼ばれる作家はいろいろいるが、エドワード・D・ホックは、短編向けのシリーズ・キャラクターを何人も創造しているのが独特。本書は、ホックのキャラクター13人の作品を、それぞれ1編ずつ集めた、日本オリジナルのコレクションである。収録作品とキャラクターを、以下に簡単に紹介する。
「シルヴァー湖の怪獣」 怪盗ニック・ヴェルヴェット、一般的には無価値だが、依頼人にとっては重要な物を、高額の報酬で盗み出す。
「ストーリーヴィルのリッパー」 早撃ちガンマンのベン・スノウが、切り裂き魔(リッパー)と対決する。
「ロリポップ警官」 広報のためロリポップを手に小学校を巡回する、制服警官ポール・タワーの活躍。
「技能ゲイム」 デイヴィッド・ヌーン神父が、教会を爆破するという脅迫電話を受ける。
「有蓋橋事件」 田舎町の老医師サム・ホーソーンが、不可解な事件を解決した若かりし日々を回想する。本書発行時点(1978年)では最も新しいキャラクター。
「死者の村」 謎めいた男サイモン・アークが、オカルト的な事件に挑む。なお、本編はホックの処女短編で、サイモン・アークはホックが初めて生み出したシリーズ・キャラクター。
「第三の使者」 インターポル(国際警察)の捜査官コンビ、セバスチャン・ブルーとローラ・シャルムの活躍。
「コムピューター警官」 近未来の21世紀、コンピューター犯罪と闘うコンピューター検察局が活躍する、SFタッチの話。
「ランド危機一髪」 英国情報部の秘密伝達局(ダブルC)の局長、ジェフリー・ランドが活躍するスパイ物。
「火のないところに」 もう若くはないうえに、重い心臓病を患っている、私立探偵アル・ダーラン。
「百万ドル宝石泥棒」 悪党の上前をはねる詐欺師、ユリシーズ・S・バード。
「危険な座」 アメリカ大使館付きの秘密諜報員ハリー・ポンダー。
「孔雀天使教団」 とある地方都市の殺人課のレオポルド警部。本書発行時点で、最も多くの作品が書かれているキャラクター。
若干の好き嫌いはあるが、どの話もそつなくまとまっていて、おもしろかった。最も気に入ったのはスパイのランド。怪盗ニックは今まで読んだ中のベストで、インターポルも結構気に入った。
ただ残念なのは、気に入ったキャラクターの話をもっと読みたいと思っても、ほとんどが雑誌掲載で、本にまとまっていない事(例外は怪盗ニックとサム・ホーソーン)。古い雑誌を1冊ずつ探し求める気にはさすがになれないし、悩ましい限りである。
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短編もので13人それぞれ主役な話
ニックで嵌って同作者の作品探したらほとんど絶版でこれくらいしかなかった。取り寄せで買ったね。変なサイズの本だった。
全部読んだか覚えてないし、行方知らず・・・
なんせ、3年くらい前の中二の頃だから
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『シルヴァー湖の怪獣』
怪盗ニック・シリーズ
シルヴァー湖で目撃された怪獣を盗むように依頼されたニック。怪獣のお陰で繁盛する宿屋の主人ラリー・パイク。怪獣の正体を捜査する中で起きた殺人事件。怪獣の目撃者であったシーリーの殺害事件。
『ストーリーヴィルのリッパー』
西部探偵ベン・スノー
誤って妻を殺害してしまい娘ベスに逃げられてしまったキンズマン。その後富豪になったが2年前から娘からの手紙が不自然になってしまった。死の迫るキンズマンの依頼でベスを連れ戻そうとするベン・スノー。ベスが売春婦として働く街で起きる娼婦の連続殺人事件。殺された2人の娘と2年前の火事の秘密。
『ロリポップ警官』
ポール・タワー・シリーズ
妻子を失いロリポップ警官として再起を図るポール・タワー。高校生にカツアゲされたトミー。奪われた10ドル札。カツアゲした高校生の父親の死。父親の生前語っていた金儲けの話の謎。
『技能ゲイム』
デイヴィッド・ヌーン神父シリーズ
聖モニカ教会にかかってきた電話。日曜の礼拝の時間に爆弾を爆発させるという予告電話。電話を受けたヌーン神父。毎日電話をかけてくる男。男を説得しようとするヌーン神父。
『有蓋橋事件』
サム・ホーソーン・シリーズ
雪の降る夜馬車で有蓋橋に入ったハンクが消えた。現場に残された轍。目撃者ウォルト・ラムジーの証言。ラムジーが世話をしていた牛。発見されたハンクの射殺体。ミリーをめぐるラムジーとハンクの対立。
『死者の村』
サイモン・アーク・シリーズ
73人の村人全員が崖から飛び降りた村。取材にきた「私」が出会った謎の人物サイモン・アーク。燃やされたアウグスティヌスの『告白』。アクシダスという名の男。隔絶された村に起こった新興宗教。村が壊滅後に配達された手紙の秘密。
『第三の使者』
インターポール・シリーズ
スコットランドヤードからインタポールに転職したセバスチャン・ブルー。航空犯罪の専門家として期待される。太陽教団の資金を運ぶ使者が2名連続で失踪する。飛行機から降りた形跡のない二人。イスタンブールの空港で待っていたソル・デイヴィッド。事件の依頼をしてきたソル・マイク。今回資金を運ぶソル・ジョージの失踪。アヘンを栽培することを禁止する法律の成立と教団の持つ土地と事件の関係。
『コムピューター警察官』
コムピューター検察局・シリーズ
コンピューター検察局のカール・クレイダーにもたらされた依頼。何者かが自分のコンピューターを使用して株を購入し損失を出させているという退役軍人キッシンジャー。事件と青い月教団との関係。青い月教団の集会に潜入したクレイダーを襲った男。月を侵略しようとする考え。
『ランド危機一髪』
ジェフリー・ランドシリーズ
俳優であるバートン・オニールがロシアのスパイとして暗号帳を盗み出そうとしているとの通報がもたらされた。捜査に当たるジェフリー・ランド。犯人として逮捕されたイワールはロシアのスパイと思われる。「しらなすぎたスパイ」の悲劇。
『火のないところに』
私立探偵アル・ダーラン・シリーズ
心臓の病気により引退を決意した私立探偵アル・ダーラン。彼の下にもたらされた依頼。マガー美術館の館長ウィルマー・ブライズ。美術館に展示している作品を狙ってやってきた女ローラ・フェイン。占い師をしているフェインを訪ねたダーラン。美術館の作品が贋作であるとの情報を得て友人であるサム・キャダンに潜入を頼むが・・。殺害されたサム。美術館で起きた火事。
『百万ドル宝石泥棒』
詐欺師ユリシーズ・S・バード・シリーズ
ホテルのロビーで出会った医師ハガーに詐欺師ユリシーズを目撃したと知らされたサミュエル・ロングマン。百万ドルの宝石を守るためにハガー医師と金庫のカギを取り換えたロングマン。強盗に襲われるが無事に終わったと思ったが・・・。
『危険な座』
秘密諜報員ハリー・ポンダー
カスピアで反政府勢力に捕えられたハリー・ポンダー。政府に捕えられた3人の死刑囚の解放を求めるハマダン。3人の中にいるロシアのスパイ。解放されなければハリーを殺害すると交渉するハマダン。ロシアのスパイの正体と爆破された3人の乗った飛行機の爆破。
『孔雀天使教団』
レオポルド警部シリーズ
アメリカに潜入した第二次世界大戦中にドイツ側に立ったスパイ・ヴェニス。彼の捜査に当たっていた捜査員ウォルター・ムーンの殺害事件。ヴェニスが侵入しているとみられる孔雀天使教団の聞き込みを行うレオポルド警部。ヴェニスを目撃した唯一の人物トニー・ワイルダー。イラクでヴェニスを殺そうとしてアメリカが行った爆撃の謎。
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1994年5月31日 再版発行、背ヤケ、カバスレ、帯無
ハヤカワ・ミステリー1298
2014年2月25日伊勢BF