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小学生の頃から、国語の(授業ではなく)テストが好きで。評論の文章が好きなんですね。「ああ、大人のテストする側の人は、こういう文章が面白く感じるんやね」とか余計なことを考えていたかも知れない。
そんな子供が大人になるとやっぱり本質は変わってないようで。四択から正しいものを選びなさいという長文問題の出典を、いやらしく覚えておいて前後の文章も見てみたい的なリファレンス。
てっきりこの評論は男性が書いたものだとばかり思っていましたが著者は1926年東京生まれの女性。ロンドン大学で社会人類学を出ておられるというのを見て納得。凄く科学者然としてるもんな。
昭和53年の内容ですが古臭さは皆無。世代間と甘え、慇懃無礼と非礼、集団隠れ蓑、反論を楽しむインド人など、テーマのフレキシブルさからは、マルコム・グラッドウェルを彷彿させてくれる一冊でした。驚き。
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(1997.07.23読了)(1982.06.19購入)
(「BOOK」データベースより)amazon
日本では法よりも社会的規制によって人々の行動は律される。『タテ社会の人間関係』で著者が提示した「タテ社会」というモデルを動かすメカニズムを、全人格的参加、無差別平等主義、儀礼的序列、とりまきの構造など、興味深い事例で解明、日本社会のネットワークを鮮やかに描き出す。外的変化に柔軟に対応する軟体動物的構造の再認識に国際化の扉は開く。
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『タテ社会の人間関係』(講談社現代新書)が日本的集団主義の特質をスタティックに記述したのに対して、本書はそのダイナミズムを分析することに焦点が当てられています。
著者は、日本人の「タテ社会」が、ルールに基づいて誰もが入ることのできるような集団ではなく、小集団における「タテ」の関係に基づくパーソナルな関係が積み重なって更生されていることに目を向けます。その上で、全体の頂点に立つリーダーは、その成員の全員に対して命令を下すことのできる権限は持っておらず、むしろ小集団同士の力学を調停する役割が期待されていることや、一部の小集団の動きに引きずられるようにして全体の意思決定が進んでいく独特の運動法則が明らかにされます。
いくつかの興味深いエピソードが語られていますが、どちらかと言えば抽象的なモデルについての議論に終始しており、やや具体性を欠くような印象を持ちますが、集団主義の一つのモデルとして、それなりにおもしろく読めました。