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事件収束後にもうひとひねり
2019/04/28 04:30
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マンハッタンで連続殺人事件が発生し、絞殺に使われた絹紐の他に手がかりは無く、被害者同士の接点や共通点も見つからないため捜査が難航します。正体が全くつかめない殺人犯は「猫」と呼ばれ、誰しもが「猫」のターゲットになり得るという状況にニューヨーク市民は怯えきり、街では野良猫が絞殺される事件が多発、ついにはパニックによる暴動までもが発生します。捜査責任者に任命されたクイーン警視は息子で犯罪研究家のエラリイに協力を要請し、『十日間の不思議』での失敗を引きずっているエラリイはなかなか引き受けようしなかったのですが、ニューヨーク市長からも直々に要請されて遂に重い腰を上げます。しかしそれでも捜査は一向に進まず、第7の犠牲者の伯父で、「猫」の正体について独自の理論をもつ精神科医の権威エドワード・カザリスが市長の要請により精神医学的なアプローチで犯人を捜す捜査委員会を立ち上げることになります。それでも調査結果は芳しくなく、ついに第9の犠牲者が出た際に偶然犠牲者たちを結びつける手がかりが見つかります。それでも犯人逮捕は証拠固めが困難なために難航します。現行犯逮捕を目指して第10の犠牲者を予測し、罠を張りますが、それによって逮捕された人は実は真犯人ではなく、結末に至るまでにさらに一ひねりあります。
真犯人とその配偶者が毒で自殺してしまうので、エラリイが「また間に合わなかった」と落ち込むオチですが、彼が真相の確認のために会いに行った老心理学者セリグマン教授の「君は前にも失敗した。今後もするだろう。それが人間の本質であり、役割だ。」という示唆に富んだ言葉が興味深いです。エラリイにそれが通じているかはともかくとして。
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ニューヨークは《猫》という連続殺人鬼の存在に怯えていた。犯人が現場に残すのは絞殺に使用した凶器の絹紐のみ。被害者達に共通点は見つけられず、新聞の風刺絵の猫には犠牲になった人数の尾が描かれ増えていく。
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最後の展開が唐突に感じられた。現在進行形で事件が起こる方がいい。
全て精神異常で片付けてしまうのか。
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エラリー・クイーン・シリーズ
『十日間の不思議』事件で傷ついたエラリー。ニューヨークで起きる「猫」と名乗る犯人の起こす連続殺人事件。特別捜査官に任命されたエラリーの捜査。被害者の妹セレストと弟ジミーの協力。新聞が煽る事件。事件に恐怖する市民が起こす「猫」暴動。被害者たちの共通点に気が付き犯人逮捕に動いたエラリー。自分の推理に疑いを持ち犯人の関係者を訪ねてウィーンに飛ぶエラリー。そこで解決される事件。
2002年1月9日再読
2011年11月19日再読
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「猫」と名付けられた謎の殺人者によって、無関係な人たちが次々と9人殺される。大都市を舞台にした通り魔的な犯行は、実にエラリィ・クイーン的ではない。第一、容疑者が限られてきそうもないのだから、本格推理小説の型にはなかなかはまってこない気がする。それでも、気がついたらちゃんとクイーンの世界になっていくあたりが、お見事と言えばお見事だ。
僕らが生きている社会では、無作為に被害者が選ばれる通り魔的な連続殺人事件なんて、正直それほど意外でもないし、まして衝撃的でもない。自分の身の回りで起きたらやっまり怖いし、腹も立つだろうし、犯人逮捕を心待ちにするだろう。だけど、だからといってパニックになったり暴動になったりすることもないし、世間がそれ一色に塗りつぶされるようなことにもならないだろう。
そういう点で、やっぱりクイーンの時代の物語であって、そういう社会的な反応の描き方が前半はかなりおもしろい。サスペンスも盛り上がる。
後半、ぐっと本格ミステリ風になってくるのだけど、本当に読者を引っ張っていくのは、むしろ警察小説的なサスペンスである。この作者、こんな勢いのあることも書くんだなってちょっと意外に思ったりもするのだけど、考えてみれば初期の国名シリーズだって、案外こういう盛り上げ方はしていたような気がする。
推理小説としては「まあ、こんなもんか」ってくらい。何ヶ所か「なるほど、そうか」って思うポイントがあって、それはなかなか快い。だけど全体としては、ロジックに引きずり回されるような陶酔感にも、見事なトリックに膝を打つ快感にも欠ける。そういう楽しみ方をする物語ではない。ラストに向けての展開も、「やっぱりね」という感じであった。
というわけで、おもしろくは読めたのだけど、やっぱりちょっと物足りなさが残る作品であった。クイーンの中では異色作であるというのはよくわかるのだけど。
2009/4/30
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エラリィ・クィーンシリーズ。
過去を憂い、連続殺人を解明のため自分の限界を尽くす、エラリィ。
謎解きよりも、後半に近づくにつれ、濃くなっていく
精神論、描写に重点が置かれている。
エラリィの心の中に立ち込める霧は、最後の言葉で晴れるのだろうか。
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クイーン後期作品の中でも人気の一品。ミステリってよりはホラーとかサスペンスってジャンルの方が相応しい気がする。
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エラリイ・クイーンの数ある作品の中でも、自分的には三本指に入る大好きな作品です。謎解きとか、トリックといったものを楽しむというよりは、その「なぜ」の部分を深く問う作品だと思います。
個人的には後期クイーン作品の中の傑作の一つだと思っています。
今では「フーダニット」よりも「ホワイダニット」を問う作品が少なくないですが、この作品が発表された当時はもっと衝撃的だったんじゃないかと思います。「探偵」と「連続殺人犯」というありきたりの登場人物が、ありきたりではなくなる稀有なミステリ。
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後期クイーン作品で最高傑作。
連続殺人犯は誰か?だけでなく、被害者の共通点は?動機は?など、現代の作品にもひけをとらない作品だと思う。
しっかり、犯人は憶えているのに、動機などはぜんぜん憶えていな(笑)
エラリー・クイーン読本に、ニューヨークが主役だと書いてあったので、再読しようと思う。
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本格というよりは警察小説の色合いが濃い作品。ミッシング・リンクものなのだが、同時に社会的テーマも扱っていて、既読のクイーン作品とはまるで雰囲気が違う。
チームで捜査したり、また気の遠くなるような広範囲から犯人を絞り込んでいく様は正に警察小説の展開。でも推理のプロセスはばりばりの本格。エラリイが見つけた小さな手掛かり。読者でも容易に気付くそのヒントをどのように発展させるのかと思いきや──いや、参った。これだけきれいに繋がるとぐうの音も出ないわ。作家自身がベスト作品と評するのもわかる。
異色の作品なだけに、生粋のファンから見ればそこが違和感だったりするのかもしれないが、クイーンの別の面を堪能できるポイントはそこそこ高いのでは。心理学的な動機づけや、人間描写に重きをおいた展開など、“意外”な要素がすべて面白く感じた秀作。
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個人的にはクイーンの中で一番好きな作品である。
推理小説としては正直それほどでもないと感じたのだが、
後半のエラリーの苦悩、犯人が殺人を犯すまでに至った経緯の描写は圧巻。
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クイーンファンを自認しながら、本書はその梗概すらすっかり忘れていた・・・・・・。もうほとんど初読のような感じで読んだのだが・・・。
いやもう、完成度高い。
パズラーとしてはちょっと薄いけれど、サスペンスとしては超一級。ぐいぐい読ませる。
もちろん、中盤で「なぜこの順番で殺されていたか」を説明するシーンは冷徹なまでにロジカルで、読者はクイーンの真骨頂である論理の快感を味わうことができる。
ラストもちょっと泣けるなあ。ほんと、そのまま法月綸太郎みたいだった。
中盤から後半にかけて、少々間延びしている感はあるが、その瑕疵は本書全体の完成度からして、わずかなかすり傷でしかない。
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【あらすじ】
ニューヨークで組紐による無差別連続絞殺事件が発生。警察やエラリーの必死の捜査にも関わらず止まらない殺人に、メディアはネコを模した犯人像を書きたて、市民は恐怖を募らせる。やがてエラリーは、被害者の出生にある共通点を見つけ出す。
【感想】
既に何名か殺人が起こった状態で始まり、そこにエラリーが投入されるという展開で始まる。犯人の顔も被害者の関連性もなかなか見えてこず、先の展開を期待しながら読める。
被害者の共通点が判明してから犯人を追い詰める過程は緊迫感があり良い。あっさり終わったと思わせて捻りも用意されているので、読み応えがあった。
あとがきによると、フレデリック・ダネイのベスト3自著の番外編に入るとのこと。
なお、日本語版タイトルは被害者の数が読めてしまうので良くないと思う。九尾の狐をもじりたい気持ちはわかるが。
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マスコミによる民衆の扇動、容疑者との心理戦、最後のドンデン返しといろいろな要素が詰まって読み応えある。現代からするとちょっと雑な部分が残るけど、そこを割り引いても面白い。
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前半は眠い。何度寝落ちしたことか。
中盤から、容疑者が浮上して、結構楽しめたな。
ただ、フーダニットの話なので、再読はないだろう。