紙の本
本当に男って人間って…
2003/06/06 09:49
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投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る
皆さん、ヤクザ映画は好きですか?
この短編集は筒井康隆氏が書いたヤクザ映画小説です。
しかし、最近の実録物などとは違う作風ですね。
と、言いながらも「二人でお茶を」は何年か前に映画になりました。
松夫は丹義会の武闘派幹部。
杉夫は丹義会の臆病なチンピラ。
しかし、彼らは同一人物だったのです。
荒っぽい松夫と気弱な杉夫。
趣味も好みも違います。
水と油の二人がヤクザの世界で生きられるのか?
仲違い?してしまう二人の結末はどうなるのか?
このような筋立てです。
荒っぽいヤクザ、気弱なヤクザ。
それぞれを主人公にした作品はありそうです。
それを同一人物にしたら、どうなるか?
実験的な意味合いも含まれているようです。
周囲の人々を巻き込んでのドタバタや、
ヤクザ社会の悲哀も楽しめます。
この短編集は映画好きな方に、お奨めします。
題名はジャズの名曲…
設定は東映任侠映画…
執筆が筒井康隆氏…
「暗喩」「ダブルミーニング」などの技法で
読者を引きずりまわしてくれます。
最初は癖がありますが、最後まで読み通してください。
人間って何て…と、切なくなります。
1973年に雑誌に連載されていました。
1974年に徳間書店から出版されて、
新潮文庫から再版されています。
紙の本
筒井的ノワール
2001/12/20 11:12
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投稿者:犬 - この投稿者のレビュー一覧を見る
筒井康隆はミステリーを書かせてもうまいが、本作はかなり本格的なハードボイルド連作集。酷薄で身も蓋もない人間観は、コメディとなると痛快なスラプスティックになるが、シリアスとなると、今流行のノワールのようになるらしい。
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ゲイや二重人格やエディプスコンプレックスや・・・なイロモノキャラ×ヤクザが舞台の短編集。下品でグロテスクな映像が思い浮かぶようなお話ばっかりですが、スカッとします。余韻が良いです。筒井先生の多重人格モノのテンポ感、好きです。
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アニキ的、ホモ臭い(むしろガチ)、厚い信頼関係、感動的…
短編集ですが、あらゆるヤクザの話が見れます。
逆にその題材だけでここまでたくさん書けることに、筒井康隆の愛を感じます。
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「愛とはなんでしょう」が個人的には好きです。
男女間の恋愛より、深くて純粋でした。人間らしい。筒井らしいやくざ物ですが、さらに筒井らしい恋愛の描き方が素敵です。
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コンプレックスや性癖を題材にした短編小説。
面白かったが、題材が題材だけに読後感が多少悪い。
表題作の「男たちのかいた絵」で繰り返しが起きるシーンがあったがこれはどういうことだろう?やり直したいという願望?
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筒井康隆のヤクザ小説短篇集。オナニー中毒のヤクザが出てくる「夜も昼も」、ホモセクシャルの壮絶な生きざま「恋とは何でしょう」、描写がグロテスクすぎて若干飛ばしかけた「星屑」、犬好き(というか獣姦)の男が気味悪い「素敵なあなた」 あぁ気持ち悪い、そう思いつつも爽快感すら感じる思い切った描きっぷりだと思う。
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高校生のとき、なぜか友人が無理矢理貸してくれた本。
あまり接していたくなくて(笑)
大急ぎで読んで早々に返却したことを思い出す。
様々な性格・性癖を持つヤクザたちの群像で、
各短編にジャズ・ナンバーのタイトルが付されているが、
内容はかなりお下劣。
二重人格で嗜好が異なり、
コーヒーを飲むか紅茶を飲むかで揉める「二人でお茶を」が
一番苦痛を覚えずに読めた。
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筒井先生の本なら何でも来い!って頃に読んだ本です。
わあ と思いながらも好奇心いっぱいで読んでしまいました。
やっぱり先生のお話は怖くても面白いから。
あんまり覚えてないけど、拷問の時に自らすすんでやってもらう(?)ヤクザの話が印象的でした。
こういうお話も読めるんだって思って、大藪さんや勝目さんの本をアレコレ読んだりすることになったんだ、たぶん。
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チンチン立ちっぱなしのヤクザとか、犬と深い仲のヤクザとか、変なヤクザがいっぱい登場です。
ヤクザのというか(男の?)渋さや悲しさ(聖書でいう原罪のような)を感じる短編集でした。解説が「中島梓」!昭和のあのころに気持ちの良いトリップでした。
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同時に『プリズンホテル』を読んでいることはセレンディピティと言えるかも。しかし、著者の描くヤクザの世界はかなり倒錯している。いきなりのホモ。そして終いには獣姦だ。各短編のタイトルもふるっていて良かった。
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やの付く自由業につく登場人物たちの喜劇を描く連作
よくよく思い返すと任侠モノ映画というのをみたことがないので
この分野の味わいについて思い入れがないが
示威暴力を生業とする場ならではの常識があって
そこからのズレもまたその他一般との差異が広く楽しめるものかもしれない
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変態やくざが登場するエログロ短編集。
すき間時間に読んだ一冊。
8つの短編のうち、3つはここで書くのが
はばかられるくらいのエログロ。
どこをどうしたらこういう小説が書けるのか…。
でも、父親への歪んだコンプレックスを持った
チンピラが出てくる「アイス・クリーム」や、
多重人格者の「二人でお茶を」は、切なくて、
それでいてちょっと暖まる感じもして、絶妙な
味わい。
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アブノーマルな性的嗜好をもつヤクザたちが登場する短編集です。
「恋とは何でしょう」は、ヤクザのホモ・セクシャルな純愛をあつかった話です。「解説」の中島梓が、ヤクザ映画への偏愛を熱く語っていますが、そのような世界を筒井康隆が書くと、こういう作品になるのかという納得感があります。もっとも、著者ならではの過剰なエネルギーの横溢はあるものの、パロディ作家としての著者の手腕はこの作品にはあまり見られません。
むしろそうした方面への期待は、「アイス・クリーム」という作品によって満たされるのではないかという気がします。幼少期の父子関係にトラウマをもつヤクザが登場する物語なのですが、彼の暴力性を露悪的に拡張したストーリーになっており、個人的には本書のなかでもっとも印象深い作品でした。