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紙の本
「巨大な組織江戸幕府が崩壊してゆく 嵐のような時代に、蘭学という潮流が歴史の海を切り裂いてゆく!」
2008/08/18 09:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本画の下地風の色なす中に白い蝶が何匹も飛び交っているという、加山又造の印象的な装幀に、発刊当時はまだハードカバーに箱付きだったのにまず惹かれたという覚えがあります。もちろん司馬遼太郎の長編であるというのも惹かれた理由の1つには違いありませんが、私の知る司馬遼太郎はむしろNHK大河ドラマの原作者であり、特に何作も作品を読んでいたわけではありませんでした。強いて言えば、当時最新作だったということと、医者が取り上げられていたということで買い求めたのかもしれません。
当時から買ってもすぐには読まないでいたり、ともかく買うことに意味を見出していたりしたものですから、結局この『胡蝶の夢』も「そのうち読むもの」から「いつか読むもの」になり、いつか本棚の奥に隠れてしまっていました。
思い出したのは、『空の石碑』を読んだ時でした。幕末の幕臣の蘭学医・松本良順の姿を知り、「これは確か『胡蝶の夢』ではなかったか」と再確認したのです。奥から取り出した全5巻のきれいな装幀は相変わらず眺めているだけでも満足してしまうのですが、ともかく改めて松本良順について知りたく思ったのです。
それが何と、話は伊之助なる人物から始まるではありませんか。本の帯にも良順の弟子・島倉伊之助なる人物も登場人物として書かれてありますし、司馬遼太郎のいくつかの作品はそれこそ大河ドラマであり、何人もの人物がある時代を織り成していくのを描写するのを特徴としているわけですから、これはやむを得ないことかもしれません。しかし私の知りたいのは良順であり、登場してくるのが30ページほども話が進んでからというのでは、いくらか興趣をそがれます。しかも、読んでいけばいくほど、どうも話は良順ではなく、伊之助を主にして進んでいくようです。
この伊之助という人物がまた変わり者と一言で片付けることもむずかしいような、特殊な人間だということがわかってきました。司馬の描写からは、特殊な才能を持った人間が特殊な環境で育てられたが故に、周囲との折り合いをつけることが難しい変人となったかのように読めますが、どうも今で言う発達障害者ではないかとも思えます。
第1巻は、伊之助の生い立ちから江戸へ出てきて良順と巡り合い、さらに佐倉の順天堂へ行くことになるくだりと、一方良順は奥医師に列せられていくところから長崎海軍伝習所御用医になるところまでです。まだ物語りは始まりといったところでしょうか。
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