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池波正太郎の短編集。
30代半ば〜40代半ばに書かれた作品集となっているため、エンターテイメント性の強い力作ぞろい。
収録8作品、全てにハズレがない。
「ごろんぼ左之助」は、新撰組の隊士原田左之助を描いた作品。
虚実入り交じった物語となっているが、読了後に「こんな人物だったかもしれない」と納得させられてしまうような、説得力を持った作品。
「かわうそ平内」は、親の敵を撃つために江戸に出てきた兄弟がお世話になる道場主の老人を描いた作品。名人と噂されながらも、腑抜けた老人にしか見えない道場主の実力とは・・・。
「ごめんよ」は、本書の中で最も素晴らしい作品。
武家の家に育った兄弟の熊之助と源次郎。
幼い二人はある日、酔っぱらいの博徒にからまれ、屈辱を受ける。
その日以来、兄熊之助は人が変わったように剣に打ち込むのだが。。。
正直、この作品にはグッときました。
暇つぶしに読んだ短編集ということで、気持的に油断していた事もあり、読了後は押し寄せてきた感動の波に無抵抗で包まれてしまいました。
時代小説の苦手な方にこそオススメしたい一冊です。