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投稿者:竜二 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピカソといえばニ十世紀絵画を代表する画家だ。彼の絵画は破壊的で、想像的だった。彼の活動はある間隔をおいてめざましく変化している。それを本当に一人の人間が書いたと思うほど、旺盛に彼は活動した。納めきれないかと思われるほどの彼の活動をたった一冊の文庫本にまとめてしまった。どこを見ても違う発見がある。
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(2012.04.24読了)(2007.05.27購入)
新潮美術文庫の一冊ですので、32枚の絵画とその解説、画家の小伝、年表という構成になっています。
ピカソの略歴
1881年10月25日、スペインのマラガに生まれる。
1897年、マドリードの美術展に「科学と愛」を出品、受賞。
1904年4月、パリに定住、洗濯船に住む。
1907年、「アヴィニョンの娘たち」を制作
1917年、バレエ「パレード」の装置、衣装を制作
1934年、「闘牛」連作を描く
1937年、「ゲルニカ」を制作
1947年、陶器制作に没頭
1951年、「朝鮮の虐殺」制作
1957年、ベラスケスの「宮廷の侍女たち」による連作
1964年、「画家とモデル」連作制作
1973年4月8日、死去、享年91歳
日本では、印象派の展覧会と同様、ピカソの展覧会も割と頻繁に開催されます。
ずいぶん見てきました。純粋なキュビスムの作品は、ブラックの作品と見分けがつかず、あまり好きにはなれないのですが、それ以外の作品は、割と楽しく見ることができます。色彩がよかったり、形がおもしろかったり、テーマが心地よかったり、ピカソが楽しんで作品の制作している様が伝わってくるようです。
とはいえ、この画集に納められている作品は、個人的にはあまり好きな作品はありません。粟津さんの好みと大分違うようです。
ピカソが結構制作している版画、彫刻、陶器の作品が全く取り上げられていません。残念です。
●眼を開ける(76頁)
ピカソには、眼を開き、おのれの肉眼によって、ちょうど手で物に触れたいという、執拗な欲望が燃えたぎっているように思われる。
●エルンスト(77頁)
エルンストは、木の葉その他さまざまな現実の事物の上に紙などをのせ、それを鉛筆やコンテなどでこすり、そこに浮きだした形をおのれの想像力の出発点とする「フロッタージュ」という手法を編み出しているが、物に紙をのせてこするなどという作業は、まさしく、事物そのものに眼を重ね合わせることにほかなるまい。エルンストは、このような作業を通して、事物を、現実的な意味の網の目から解き放ち、それらを恐ろしく喚起力に富んだオブジェと化するわけだ
●ピカソの制作品の時代区分(81頁)
美術史家は、便宜上、ピカソの制作の諸時期を、「青の時代」、「桃色の時代」、「キュビスムの時代」、「新古典主義の時代」、「シュルレアリスム時代」といったふうに分類命名している
☆関連書(既読)
「人間ピカソ」瀬木慎一著、日本放送出版協会、1973.04.20
「ピカソを考える」坂崎乙郎著、講談社、1979.11.26
「ゲルニカ物語」荒井信一著、岩波新書、1991.01.21
「青春ピカソ」岡本太郎著、新潮文庫、2000.07.01
(2012年4月25日・記)