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紙の本

地べたの星

2008/09/12 23:38

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

まず小説のうまさに唸る。主人公はスリを生業とする男。戦地からの引き揚げ後、技術を学び、スリグループを率いるまでになり、息子と若い妻を養っている。小悪党というところだろうが、彼にとってはスリが犯罪かどうかは問題ではない。大事なのは技術だ。スリは現行犯でなければ逮捕できない。これまでに3度の逮捕歴があるが、それは技術の未熟さのためだ。
これは一人の職人芸、というよりむしろ名人芸の世界の話なのだ。だがやはり世間をはばかるものであることにも違いなく、決して人からは認められることのない、裏の世界でだけの芸人談だ。
とにかく彼の日々の頭の中は、妻子とスリ仲間の生活を将来にわたって維持する戦略、技術の伝承、かつて彼を逮捕した宿敵とも言える刑事との対決などでいっぱいだ。ここに倫理や社会性などといった観念が入り込む余地はない。すべてが猛スピードで飛び去っていく。流れを乗り切るだけでいっぱいいっぱい。この緊迫した毎日が、味わい深く、しかしスピード感を損なわずに描かれるのを読み進めて、人情に微笑み、敵の裏をかくスリルに震え、裏切りに泣きながら、しかしその底で主人公が緻密な哲学を育んでいることに気がつく。
大阪という街の時空間に、仕事をして逃げ切るまでの一本の細い先を引いていくこと、いくつものグループや暴力団や警察の力関係を読んで次の策を弄していくこと、技術の伝承のための訓練方法を技工的観点と精神的観点で組み立てていくこと、こうした諸々の思索の端々からこぼれ落ちていくのが、その哲学だ。哲学として構築されるのではないが、現実を組み立てていくための(そして実際に組み立てた)論理体系であり、それらを成り立たせるための「構造」なのであって、すべてが事実と実績の裏付けを持つ、強力な哲学である。はい、それが現場のオッチャンの底力ってやつですね。
しかし如何せん彼は孤独だった。彼を愛する人は少なくなく、彼を尊敬する人もあまたいるのに、それでも孤独ってことがあるんですね。街はどんどんきれいになって、人々は洗練されて、こういうアクの強い人物が生きる場所は狭くなっていくというわけだろうか。仕方のないことなのでしょうか。そういう時代の進む方向性のことは、心に留めておきたい。

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