- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
紙の本
ねらわれた学園
2016/12/24 13:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Carmilla - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラマ、映画で何度も映像化された、眉村卓の代表作。1981年に公開された映画は、ヒロインを薬師丸ひろ子が演じたことから、記憶に残っている人は多いと思う。
本作のテーマは、ずばり「ファシズムの作り方」である。些細な校則違反を摘発するために設置された「校内パトロール制度」が、あっという間にエスカレートして、最後は自分たちに逆らう勢力は断固排除する、という恐怖の展開。しかもこの制度は、生徒たちが選んだ「生徒会執行部」によって施行されたのだ。建前上は「生徒たちの意思によって運営する」生徒会が決めた制度になっているため、教師たちもうかつに口を挟めない。この制度は日を追うごとにエスカレートし、生徒たちは徐々に反発を強めていく。主人公はクラスメートたちと一緒に、生徒会を牛耳る会長に立ち向かう。だがこの事件の黒幕には、ある少年の存在があった。
なるほど「ファシズム」というのは、誰もが「このくらいしょうがないか」と思っているうちに、気がついたときには、取り返しのつかない状態になっているということなのだな。この作品が発表されてから40年以上経過した今の日本で、ファシストのごとく振る舞う総理大臣が登場するとは、作者も考えていなかっただろう。この作品では、生徒たちは体を張って抵抗したが、現実世界に住む日本人はどうだろう?と思うと、絶望的な気分になってしまう。
併録されている「新たなる敵」は、ある科学者が科学技術の粋を集めて作った「人間」が引き起こす騒動をテーマにした、一種のホラー小説。文体が軽いのでサクサク読めるが、この作品を映像化したら、観客・視聴者は何回も悲鳴を上げることになるだろう。ある日突然自分そっくりの人間が現れ、本物はどこかに閉じ込められ、やがて「人間」が自分たちの都合のいい世界を構築する…。これは、現代社会に対する、一種の警世の作品では?と考えることも可能なのだ。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |