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ロゼアンナ みんなのレビュー
- マイ・シューヴァル (著), ペール・ヴァール (著), 高見 浩 (訳)
- 税込価格:638円(5pt)
- 出版社:角川書店
- 発行年月:1978
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文庫
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紙の本
社会は進化するのか?
2003/04/21 16:09
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投稿者:kyk - この投稿者のレビュー一覧を見る
警察小説+サイコもの、である。ただし、発表年は1965年。
つまり今とはまったく社会通念が違うのだ、と言うことがどうしても受け入れられない場合は読まない方がいいかもしれない。
社会通念は変化する、だが、この変化は進化なのか?
1年1作、10年で10作でスウェーデンの1965〜1975年(1973年発表の作品がないため)を描き出す警察小説シリーズの根底にあるのはこのことではないかなぁ。
モラルや人間の命の尊厳などなど、考えても考えても1965年と今とでは単に変化しただけで、それが進化、より良い変化である、と思えない。
いろんな意味で「社会を描き出したい」と言う夫妻のコメントを胸に読む小説であって、単に「推理小説、警察小説」と言うくくりで片付けてはもったいない。
「推理小説」も「警察小説」もすばらしい作品がたくさんある、そしてそれを融合させた名作もたくさんある。
このシリーズもそういった名作の一つであり、スウェーデンがたどった10年を知る貴重な資料でもある。
そして、私たちの社会は今日も変化をしていく、それがよりよい変化、進化であることを願いつつ、祈りつつ、それを目指しつつ。
紙の本
不朽の警察小説シリーズ第一作
2001/04/21 06:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る
警察小説の白眉とも言われる、マルティン・ベック=シリーズの栄えある第1作目である。スウェーデンのおしどり夫婦がこの物語を書いたのは1965年であった。当時としては死体のヒロイン=ロゼアンナの性格はかなり新しかったのでしょうか。フリー・セックスとか? これだけタイムラグがあると、正直言って困ってしまう。どうしても現在の警察小説と比べてしまうのだ。犯人について見れば、サイコ物とも言えるのだが、これも時代的なものかその辺りに突っ込んではいかない。頭の中はクエスチョン・マークが桜並木のように連なる。
もちろんマルティン・ベックの魅力がこのシリーズ最大の魅力なのでしょう。全く仕事に理解を示そうとしない奥さんにブチブチ言われながらも、寝食を忘れるほど事件にのめり込む。非常に人間臭いヒーローは数多の名探偵名刑事とは一味も二味も違う。超人では無いのですね。一応名刑事で通ってはいるようだが、それは粘り強いことと同義のように思える。警察小説としては、アクの強い脇役陣も魅力だろう。コルベリとメランデルとステンストルムの各刑事。マルティン・ベック自身も加え、彼らのドアの開け方からして象徴的なのだ。ノックもせずいきなりドアを開けるステンストルムは尾行の名人。乱暴にノックするコルベリは豪放磊落傍若無人でユーモアたっぷり。ところが意外と神経が細かい。キツツキのようにせわしなくドアをノックするメランデルは沈着冷静記憶力抜群で意外と皮肉屋。して、マルティン・ベックには音もなくドアをくぐり抜けるという癖(特技)がある。これにアメリカのカフカという人を食ったような名前の刑事や、ちょっと田舎のアールベリ警部(この人は良いね)その他が登場するなど、実に多彩な人物配置で読ませる。
謎解きの過程もうまい。アメリカのカフカ刑事が大活躍するのだ。といっても実体は登場せず、遠くアメリカの地から証拠を送ったり、電報を打ったりするのみ。これがまあ気が利いていて、非常に良いのである。少しずつ少しずつ進展する捜査謎解きは綿密で細やかでリアルだ。そして導き出される犯人。これが???なのである。背景が不明。動機を説明されても理解に苦しむ。病気みたいだけど、それも不明。サイコかと思えば、たぶんそうなんだろうけど、これも半端で理解不能。これだけ多彩な刑事たちがこれだけ綿密に捜査して、やっとたどり着いた犯人がこれ? ちょっとねえ。だいたいこんな年齢でサイコな初犯て納得がいかない。犯罪学的にもおかしいのでは? 時代的なものなのでしょうか。だとしても、この犯人像はいかにも中途半端な印象は否めない。サイコという分野が確立されていなかったからこうならざるをえなかったんでしょうか。
かなり期待していたので、少々がっくりきてしまった。これだけならあまり人に薦められないかな。でも、シリーズ物は好きなので、全10作読んでみるつもりなんだけどちょっと腰が引けてるかな。次作期待であります。
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