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「釣りとは竿の向こうに魚がいて、竿のこちらに馬鹿がいる状態である」とは本文からの一節、秀逸。
本編では釣りを題材に世界中を旅しており、 その国々の美しさや生きる躍動感溢れる人々の描写だけでも十分楽しめる。
こういう本をこそ読むべき。
写真も美しい。
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開高健の釣り旅行記、とでも言えば良いだろうか。釣りをやるわけではない、と言うよりは、生まれてからほとんどやったことがなく、またあまり興味もないのだけれども、それでも、すごく面白い本だった。繊細と包容と洗練と泥臭さと憂鬱と快活、その他の要素がごちゃごちゃになっている。開高健が絶妙な独特の語り口で釣りを旅行を語る。
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(1991.02.11読了)(1990.01.13購入)
☆開高健さんの本(既読)
「夏の闇」開高健著、新潮文庫、1983.05.25
「もっと広く!(上)」開高健著、文春文庫、1983.12.25
「もっと広く!(下)」開高健著、文春文庫、1983.12.25
「破れた繭」開高健著、新潮文庫、1989.12.20
「夜と陽炎」開高健著、新潮文庫、1989.12.20
「知的な痴的な教養講座」開高健著、集英社、1990.03.10
「シブイ」開高健著、TBSブリタニカ、1990.05.08
「ベトナム戦記」開高健著、朝日文庫、1990.10.20
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釣りの趣味なんてないし、ましてや魚はあまり好きじゃない。
なのに、とても楽しく読めてしまった。
一緒に旅してる気分になれる本。
緑いっぱいの森に流れる川、静謐でひんやりした空気を感じられるシーンがいくつかあって、癒しがあった。
開高健って、親しみやすいけれど、スマートな魅力があって、とても好きだ。
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釣りは、小学校の卒業旅行で友達のルアーに「釣られて」以降全くやっていないのですが、またどこかでやる機会を探してみようかと思わせてくれた本です。
「輝ける闇」の息もつかせぬ濃厚な描写とはまた違って、少し肩の力を抜いた、飲んでばかりの開高健による「世界を釣る」的な紀行文。
アラスカからアフリカ、アジア、そして日本と各所で異常なまでの?コネとコミュ力を使って素敵な釣りを楽しむ。色々な所にふと招待してもらえるコミュ力、きっと開高健と飲んだら最高に楽しいんだろうなぁ。という開高健のプラスの面を魅せてくれる本です。
(筆致が軽いとこうなのですが、「最後の晩餐」は逆だったなぁ。。)
世界各所の自然を描写していくその筆致もまた素晴らしく、秋元カメラマンとのタッグもまた絶妙な息の通じ合いぶりで、読んでいて心地よく感じます。
装丁も写真対応の光沢紙を全編に奢っていて、秋元さんの写真が引き立っていて現場の空気が伝わってくるようです。
本著の影響を受けて、久々にウイスキーが飲みたくなって、戸棚の奥底から変な形の瓶を取り出して飲んでしまって、久々の度数の高さに明日の宿酔いを心配してしまう次第です。。
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古本屋で発見された、美品。元の持ち主はこの本を開いたことがないどころか、本棚に差したまま一度も手にしなかったと思われる。平成7年の36刷は20年以上経ているわけだが、読まれた形跡がないというのも、やり切れないね。
開高健、丸谷才一、山口瞳、思いつくまま福永武彦、遠藤周作、辻邦生、石川淳、安岡章太郎、阿川弘之、野坂昭如、皆なかなか地方の古本屋では見かけなくなって久しい。
永井龍男なんか見たことない。関係ないけど、倉橋由美子も手に入らない。
吉行淳之介だけ、文庫で一応揃えて捨てずにいてよかった。まさかこんなに入手しづらくなるとは、思わなかった。
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格好いいなあ、と思った。全編を通して。
『子は成長して言葉やアルコールで心身をよごし、無数の場所で無数の声を聞きつつ緩慢に腐っていく』
それでも子は父の言葉を生涯忘れないだろう。
『着手したらさいご一人でたたかえ。やりぬけ。完成しろ』
僕も父親に釣りを教わった。生涯忘れることのない言葉をもらった記憶は無いけれど。僕の父は無口で、それこそ釣りをするにも釣り場で何かを教えてくれるわけでもなく、ただただ釣りをしていただけだった。それでも僕は、父と釣りに行ったことは忘れない。それだけでじゅうぶん。
本書で語られる釣りは、主にマス類を対象にしたルアーフィッシング。僕にとってルアーフィッシングといえば、始まりはマス類を対象にしたそれで、いまでこそバスフィッシングを連想するけれど、というのも釣りに夢中になり始めた頃の僕の周囲の環境下では、バス類は身近な存在として認識していなかった。バスは夢の中の魚だった。とはいえマス類なども、子どもだった僕には現実的な対象魚とは言い難く、ルアーフィッシングに憧れててはいたものの、実際に釣り場に立つ機会は皆無だった。「いつかは。大人になったら」憧れる気持ちは抑えきれず、ルアーを買い集めたり入門書を読み耽ったり、当時の僕は純粋だった。
西東社という出版社から出版されていたルアーフィッシングの入門書の、著者の西山徹氏が、僕の心の師匠だった。夢中で読んだなあ。夢中で読んで、あれこれ想像したものです。
この本は数年前に購入して、ずっとそのままになっていました。偶然書店で見つけて、記念のつもりで購入したのです。昨年末からの、僕の読書熱の高まりから、この本の存在を思い出し、あらためて読んでみることにしたのです。『オーパ!』という姉妹本?があるけれど、その本は学生時代にどこかの図書室で見たような記憶があった。内容までは知らなくて、釣りのことの本だとしか認識がなかった。実際釣りの本なのだけれど、釣り人…アングラーの流儀を説く文章などは、とても心地良く読むことができた。レイチェルカーソンの『沈黙の春』に触れた箇所があり、環境や生態系の問題など、実際にはわからないことも多いけれど、現在でも何ら改善された印象がなく、この何十年も人や社会は、この問題を蔑ろにしてきた印象しか無い。それは僕自身にも言えることなのだけれど。ただただ恥じ入るばかりです。