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レイテ戦記読んだ後に読むべき本。まずレイテ戦記であそこまで感情を押し殺していた大岡が感情をこらえ切れない所に注目して欲しい。
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俘虜記を読む前に読み終えていたのだけれど、
俘虜記を読み終わってからレビューをアップしようと控えてありました。
かつて作者が駐留したミンドロ島を訪れる旅行記「ミンドロ島ふたたび」
フィリピン島についた補充兵の心境を書き綴った「比島に着いた補充兵」
戦死した仲間を偲ぶ「忘れ得ぬ人々」
俘虜になり、収容されるまでの間について書かれた「ユー・アー・へヴィ」など
5編が収録されています。
当時を思い、偲んで綴った文章の中には、とても感銘深いものもありました。
p.144から引用したいんですが、長いので一部だけを。
「もうだれも戦争なんてやる気はないだろう、同じことをやらないだろう、と思っていたが、これは甘い考えだった。戦後二五年、おれたちを戦争に駆り出した奴と、同じひと握りの悪党共は、まだおれたちの上にいて、うそやぺてんで同じことをおれたちの子供にやらせようとしている。
きみたちは死に、おれは生きた。(中略)おれたちは大抵三五歳で、自分の惨めさを忘れるために、みんな考え深かった。しかし自分の手に持たされた銃でなにをすべきかを決定する動機がどうも見つからなかった。」
これまで、他の作品の中でも、このような感傷的で、心情を吐露したような文章はあまり有りませんでした。
また、「忘れ得ぬ人々」の中で、大岡は、「私の戦争の経験を書いたものを読んで、『苦労したねえ』とか『苦労なさいましたわねえ』とか、いう人に、私はいつも、『それは今の普通の生活と比べての話で、その時はそれが唯一つの生活だったんですから苦しいなんぞと思ったことはありませんねえ』と答えるのを常とした」と言っています。
それだけに、このようなメッセージの持つ意味が深く思われました。
さて、もう戦後65年が経ちます。
私たちは幅広い知識と、懐疑心を持ち、物事の分別をつけられるようにしていなければならないのです。
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読んだ時に、亡くなった戦友へ語りかける言葉がストレートに書かれてあることにすごく驚いた。大岡昇平は普段は冷静な語り手だと思っていたからである。その分、読んでてどこか忘れられない印象を残す。
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「ミンドロ島ふたたび」大岡昇平著、中公文庫、1976.06.10
257p ¥580 C1193 (2019.10.21読了)(2009.08.01購入)(2002.07.05/10刷)
【目次】
ミンドロ島ふたたび
比島に着いた補充兵
忘れ得ぬ人々
ユー・アー・へヴィ
改訂西矢隊始末記
あとがき 1969年11月 著者
解説 中野孝次 1969年12月
☆関連図書(既読)
「野火」大岡昇平著、新潮文庫、1954.04.30
「俘虜記」大岡昇平著、講談社文庫、1971.07.01
「レイテ戦記(上)」大岡昇平著、中公文庫、1974.09.10
「レイテ戦記(中)」大岡昇平著、中公文庫、1974.10.10
「レイテ戦記(下)」大岡昇平著、中公文庫、1974.11.10
「ながい旅」大岡昇平著、新潮文庫、1986.07.25
「大岡昇平『野火』」島田雅彦著、NHK出版、2017.08.01
「太平洋戦争 日本の敗因(5)レイテに沈んだ大東亜共栄圏」NHK取材班、角川文庫、1995.08.10
「レイテ沖海戦」半藤一利著、PHP文庫、2001.09.17
(表紙カバーより)
戦後二十数年、一兵士として戦った現地を再び訪れて、自らの生と死との間の彷徨の跡を尋ね、亡き戦友への追慕と鎮魂の情をこめて詩情ゆたかに戦場の島を描く「ミンドロ島ふたたび」のほか、「比島に着いた補充兵」「忘れ得ぬ人々」「ユー・アー・へヴィ」「改訂西矢隊始末記」の五篇を収める。
(「BOOK」データベースより)amazon
『レイテ戦記』執筆過程の昭和四十二年三月、一兵士として戦った現地を再訪し、自らの生と死との彷徨の跡を尋ねる。賠償問題が解決してもなお、反日感情が根強く残る時期、亡き戦友への追慕と鎮魂の情をこめて、詩情ゆたかに戦場の島を描く。『俘虜記』の舞台となった、ミンドロ島、レイテ島への旅。
文庫: 257ページ
出版社: 中央公論新社 (1976/6/10)