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人間的な苦悩を芸術的情熱の火で浄めてゆくシラーの姿を浮き彫りにした「悩みのひととき」。精神的には優れたものを持ちながら、実生活の上ではみじめな馬鹿おどりをしているにすぎぬ「道化者」。その他「幻滅」 「幸福への意志」 「予言者の家で」など清新な創造意欲の息吹にみちたマンの初期短編から17編を収録。(表紙の解説から)
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とりあえず『トリスタン』だけ読みました。やっぱり自然描写がステキ。あと、音楽が聞こえてきそうですね。
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マンの初期作品集。
やはりうまいなぁと思わされたかと思うと、
急におもしろくなくなったり。
おそらく自分の集中力不足が原因です。
古典や名著はかなり神経も想像力も使うからよい訓練になるよね。
●道化者
【人間の内的体験というものは、その人間が外的に束縛されていない超世間な平穏な生き方をしていればしているほど、ますます心を疲らすようになりはしないか】
【活動の人になることを避けたところで、どんなに閑寂な荒野へ引っ込んだところで、人生の転変は内面的におそってくる】
【俺は作中のどんな人物をも感情で理解して、その中におれ自身を認めようとする】
【俺は豪も社会に奉仕することなく、あえて己自身の生活を行くことにしたとき、無論社会とは絶縁し、社会をあきらめてしまった。もしおれが幸福であるために、世間の人たちを必要としていたなら、今時分は立派な商売人になっていたはずだ】
【おれは低いところに座ったなり、あの貴重な及びがたい人が、あんなくだらないやつと、しゃべったり笑ったりしているのを遠くから闇の中からうらやましく眺めるばかりだ】
【この恋はずっと前から、苛立ち悩んでいるおれの虚栄心が生んだものではなかろうか】
【社会の蔑視と黙殺とをこらえるのはあまりに見栄坊だし、社会の喝采なしには暮らせない、このおれは】
【世間の人たちは、自分のことをあまり熱心に没頭しているから、本気になって他人についての意見を持つ暇がない。】
【みんなは、君が安んじて君自身に表するその尊敬の度合いをそのまま喜んで受け入れてしまう】
●小フリイデマン氏
【いっさいが享楽に値すること、そして幸福な体験とか不幸な体験とか区別するのがほとんどばかげていることを彼は悟った】
【こんな香りがいまさらなんであろうか。今まで自分の幸福をなしていたもの、それをみんな自分にとっていまさらなんであろうか】
【心配しそう警告するすべての声をそれこそ筋肉を働かせて、心に中に押し付けながら彼はきっぱりと決めた】
●幸福への意思
【こんなに長い間死を征服してきたのは、ただひとえに幸福への意思のおかげだった】
●ルイスヒョン
【いったい自分で自分を軽蔑しているくせに、卑屈と虚栄から愛想を良くしよう、人に気に入られようと思っている人間ほどみっともないものはない】
●飢えた人々
【自分のあこがれている人をほんの一瞬でも暗い気持ちにさせ、これはと考え込ませ同情させたいというひそかな望みとともに、黙って昂然としてすてばちに逃げ出すことに慣れきっていた】
【地上のすべてが迷誤なのではあるまいか】
●ある幸福
【自分が今どんな気持ちでいるかそれを夫がみてくれればいいのに。そうすれば自分に関係のある感情が、せめて夫の胸に宿るわけだから】
【幸福というものが、その間を憧憬があちこちとさまよう二つの世界がしばらくの間、おぼつかなく相よっては一つになるときに限るのだから】
●預言者の家で
【みんな言葉の値打ちを知っているので黙っている】
●悩みのひととき
【自分が苦悩と試練の時代だと思っていた、あの貧弱と無名の年月こそ実は豊かな多産な時期だった】
【混沌の中へ陥らぬことだ。すくなくともそこに停滞せぬことだ】
●殴り合い
【他人から尊敬されるには、ただ自分で自分を重んじればよい】
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サウンド文学館・パルナス「トーマス・マン 衣裳戸棚 幻滅」北杜夫訳
退屈だった
衣裳戸棚:短い人生に絶望した男が死んだ。
幻滅:利己的で残酷で何もかもに幻滅している男の話。追い求める物を間違えているから幻滅しか手に入れられないんだ。
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難しい感じがして、途中で集中力が途切れた。
けれどそれは、本の問題というより、自分の問題なのだと思う。最近の本の書き方とは違う気がするので、慣れていないだけだと。
そこはかとない狂気だなというのが最初の印象。それぞれの短編を読んでいくうちに、印象がころころ変わる。哀れだったり、自分に照らし合わせてひやりとしたり。
時間をおいて、また読んでみたい。
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マンの初期短篇17篇。最後の「鉄道事故」が、私には最も印象的でした。私が初めて手にしたマンが、この本だったはず。誰か或る作家のものを読もうとするとき、最も有名なものからか、そうでなければ短篇集か詩集から入る、というのが、いつのまにか私の習慣になっていました。いきなり長篇、は、敷居が高すぎるような気もして(それで挫折したら悲しいし)。「今、何を読んでるの? と訊くと、貴女は必ず、何々を読んでるじゃなくて、誰それを読んでる、って答えるんですね」と言われて初めて、気づきました。たしかに私は、同じ人の書いたものを、まずは少なくとも2〜3冊以上続けて読んでみます。それで気に入ったら、そのとき手に入る限りのものをまとめて読むし、その後も新刊が出たら手にとることになる。いつのまにか、そういうことになっていました。さて、この短篇集はもちろん、ヴェニスに死すとかトニオ・クレーゲルに至るため、勝手に「入門」と決めた1冊でした。20年以上前に読了したというサインが入っています。
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ううん…面白いのかなぁ?古典系は文体で好き嫌い出ますよね、もしかしたら訳者が合わないだけかもしれないけど。
「神の剣」の「知とは深刻な苦悩ですよ~…」ってくだりが好き。何も考えない方が愉快かもしれないけど、最後の最後で救われないかもしれないことを(いろいろ考えても悩むもののようにも思いますが)「知=煉獄の火」っていったのですかね。
「小フリイドマン」に妙に心惹かれた。オスカー・ワイルド的ななにかを感じる。
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幻滅、神の剣は本当に素晴らしい。幻滅は言葉が心に響き、神の剣はひたすら美しかった。訳が古いのが、逆に味があって良い。
救われない、沈鬱な物語が多く、短篇であっても、実にトオマス・マンらしい。
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長編「ベニスに死す」と同じく、短編も途中で哲学的な方向に暴走するのがトオマス・マン難点。愛犬家が読んだら激怒しそうな「トビアス・ミンデルニッケル」と、乱歩や夢野久作を思わせる幻想的な「衣装戸棚」の二編が傑作。
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誤解を恐れずに言ってしまうと
やっぱり長編作家なのね、でしょうか。
なんか「あ。これは、アレの前振りね」「これはアレの習作かあ」みたいなのが多くて・・・
だってだって「魔の山」とはいかなくてもヴェニスかトニオくらいのは期待しちゃうじゃないですか・・・
一番面白かったのは「神の剣」かなあ。
ちょいと変わった傾向の話で、研究者的に面白いのでしょうか、論文がいくつもネットでひっかかりました。